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更新10　視点・クロハ

コノハが、動けない俺を抱き抱えて
路地裏からはそう遠くなかったアジトに
帰ってきたはいいものの……

「コノ、ハ…？！いいから…下ろ、せ…
部屋、は、自分で戻れるからッ…！」

コノハは相変わらず無言。

いつものぼーっとしてるコノハを見てると忘れそうだが、
こいつはもとよりαなのだ。

…危ない、と本能が告げている。

俺の必死なお願いも虚しく
コノハは俺を抱き抱えたまま、俺の部屋に入った。

「かはッ…！」
ベッドに投げられて一瞬息が止まる。

ギシッ…とベッドが軋む音がして、
腕を強く押さえつけられる。

キス、された。

「んッ？！ぁ…ふぁ…あ、ン…」

コノハの舌が口内をまさぐる。
少し乱暴だけど、
さっきの男のキスより何倍も気持ちイイと思ってしまう。

急にコノハの舌が離れ、息を整えていると
俺の腕を押さえつけたまま、コノハが言った。

「クロハ…何で黙ってたの」

「…えっ…？」

キスのせいで思考がショートして回らない。
それよりも、コノハが怖かった。

「なんで…なんで、自分がΩだって、黙ってたの」

「…それ、は…ッ！」

俺の腕を掴む手に力がこもる。
「僕が…僕が知ってれば、守ってあげられたのに…！」

見たことなかった、コノハの悔しそうな顔。

「ぁ…ごめん…大丈夫、だから、
…そんな顔、するなよ」

そう言って、俺は出来る限り優しく微笑んだ。


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