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*セトカノの場合*　視点・カノ


今日はクリスマスイヴ。
街中はイルミネーションで彩られ、
クリスマスの飾り付けが目に入る度に楽しい気分になる。
ああ、幸せだなぁ、って思ってしまう。

だって今、僕の隣には、大好きなセトがいるから。

セトから誘われた。久しぶりのデートだ。

珍しく今日は、ちょっとお洒落なお店でご飯を食べた。
それだけで今日はトクベツな日なんだって再認識させられて、
今こうして商店街のお店を覗いたりしているだけでも
嬉しくてふわふわと幸せな気分に包まれる。

「カノ、近くの広場に綺麗なイルミネーションがあるらしいっすよ！
折角だから、行ってみましょうっす」

「うん！楽しみ……♪」

たくさんの人が行き交う中で、こっそり手を繋いだりなんかしちゃって
自分でも、大胆になってるなぁって分かる。
でも、こんなに人がいるから気付かれないし
クリスマスだから、今日だけは許されるんじゃない？

そのままちょっと歩いて、広場についた。

二、三日前は枯れ枝を広げているだけだった植木が
今は白や青や黄色やピンクに輝いて、とっても綺麗。
中でも広場の中央にある一際大きい木は
上にいくに連れてだんだん白くなっていく
ピンクのグラデーションで、凄く素敵だった。



「カノ」

「ん？なぁに、セト」

斜め下から見上げたセトの顔は、とっても穏やかで
頬が緩んでいたりして、ちょっと可愛いな、とか思った。

「今、俺、すっごく幸せな気分っす」

「うん、僕も」

セトは繋いでいた手をほどくと、ポケットから何か取り出した。

「……俺にはこれぐらいしか用意出来ないけど……
これからも、一緒に居て下さいっす」

そう言って、僕の左手の薬指にはめられた
シルバーのシンプルな指輪。

「え……、も、勿論……！//」

前言撤回、確かに可愛いけど、僕の彼氏は世界一格好良い。

「カノ、……愛してる」

「……僕も。僕も、愛してる」

いつの間にか、優しく降りだした雪が僕らをそっと包み込んでいく。

僕らは再び手を繋いで、もう少しイルミネーションを見ていた。