大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.50 )
日時: 2017/05/03 20:02
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

もしもの話
『ウサギ編』
(side:黄瀬)


「洸流!!」

今朝早くに洸流から泣きそうな声で電話があった。
『涼太……僕、おかしくなっちゃった……』って。
だから、急いで電車に乗って洸流の家に来た。
合鍵は前に貰ってたし、今日は午前中は何も予定が無いからすぐ来れた。

「洸流っ、一体どうしたんスか?!」
鍵を開けて家に入るとベッドの上で体育座りをして毛布を被り、顔だけ出していた。
オレの顔を見て複雑そうな顔をする。
「うぅ……涼太……」
子供みたいにそう言って毛布から出て来てオレに抱き付いてくる。
何で泣きそうなのかが判らない。
というか、何で室内でパーカーのフード被ってるんスか?
「どうしたんスか? 誰かに何かされたんスか?」
洸流を宥めるためにフードの上からそっと頭を撫でる。
「ふえっ……?!」
「………………え?」
何か、違和感。
頭に何か着けてるんスかね?
「洸流」
フードの端を強く引っ張ってフードが捲れないようにしてる洸流に声をかけると不安げに見上げられる。
優しく微笑んでフードの端その手をそっと握ってフードから手を離させた。
そして――――、
「やっ……!」
「――――へ?」
フードを後ろに引っ張って取った。
そしたら、洸流の頭に髪と同じ黒い――――耳が。
獣耳が。しかもウサギのロップイヤー。
「うぅぅぅぅ……!」
唸り声をあげながら頭を抱えてその場に座り込んでしまった。
いつもより何でか洸流が弱気な気がする。
いつもなら見られたくないもの見られたら怒るのに。
「可愛いっスよ?」
何で着けてるのかは判らないっスけど。
後の言葉は取り敢えず呑み込んで同じ目線の高さになるように屈む。
「可愛くないよ……」
消え入りそうな声で答えられた。
「…………」
結構クオリティ高い耳っスね……。
興味本意でロップイヤーに触れてみる。
「っ、や……」
「!?」
触ったら、耳が――――耳だけが逃げた。
しかも、温かい。本物のロップイヤーみたいに。
「え、本物っスか……?」
独り言の様に洸流に訊くと小さく頷かれた。
いやいやいや……え? 一体どういう事なんスか??
「朝……っ……起きたら……こう、なってた……のっ……」

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.51 )
日時: 2017/09/20 12:59
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――洸流―― *


朝、目が覚めたら頭に違和感があった。
最初は気づかなかったけど、視界に黒いモノが入って気になったから触れてみたら、くすぐったくて驚いた。
同時に不安になった。僕の体がおかしくなったから。
それで涼太に電話して、来てもらった。
でも、耳は見られたくなかった。
ただ寂しくて呼んだのかも。

泣きそうな僕を涼太は抱き上げてベッドに座った。
涼太の腕に包まれ、人間の方の右耳を涼太の胸に当てながら心臓の音に耳を澄ませる。
安心する音。
「事実は小説より奇なり、っスね……」
苦笑と共にそう涼太が呟き、僕の頭を撫でてくれる。
その手が心地好くて、温かい。
「実際こんな事起こるなんて有り得ないよ……」
少し眠くなりながらもそう応えると涼太にもふもふと耳を触られる。
「……そうっスねぇ……」
「むぅ……み、み……や……」
くすぐったいから嫌だと耳だけを動かして涼太の手から逃げる。
それなのに涼太は執拗に僕の耳を追ってくる。
「や、ぁ……も……」
だからフードを被って耳を隠した。
眠いのに、ってちょっと睨むとふふって笑われた。
「耳、ピクピクしてる」
この状況を楽しんでるのが判って更にムッとする。
ごつんっ、って涼太の胸に頭突きをしてみるけど全然ダメージ無さそう。
明日バイト行けないかもしれないのに面白くないし……。
「……たまには休むのも良いと思うんスけど」

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.52 )
日時: 2017/09/20 13:00
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――黄瀬―― *


耳がもふもふしてるから触ってて気持ちいい。
まあ、フードで隠されたんスけど。
面白くなさそうな顔してるなぁ……。
「……たまには休むのも良いと思うんスけど」
そういうと首を横に振って嫌だと訴えられる。
寂しがりなのにいっつも強がって甘えてくれないし。
頑張り過ぎは良くないってずっと言ってるんスけどね……。

「ウサギ、嫌なんスか?」
何で休むのが嫌なのか考えて見るけど解んなくて違う話をする。
フードの上から耳をそっとなぞると中で耳がピクピク反応した。
「……見るのとかは、好き」
眠たげな声の答えは返ってきたが、もう抵抗するのを諦めたのか洸流は耳を触られても反応を示さない。
ふにふにするとやっぱ柔らかいっスね、耳。
「…………いや……でも、流石に……ウサギになりたいとは思わない」
何か自分の中で結論を出したらしく一つ溜め息を吐いて自分のロップイヤーを触り始める。
耳が光に当たると透けて血管が見える。

「うー……ん……」
不意に耳を触るのを止め、オレに寄り掛かる。
このまま眠りそう。
「僕が寝るまで……傍に居て……」
なかなかそんな甘えられるような事を言われないから一瞬ドキッとした。
「寝てからも、傍に居るっス」
今日は火神っち達にバスケに誘われてたけど、メール送っとけばいいし。
こんなチャンス、滅多にないっスからね。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.53 )
日時: 2017/09/20 13:00
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――洸流―― *


――――――――

黒いウサギと、金色の大型犬がじゃれ合ってる。
仲良く、楽しそうに。
なのに突然ウサギが大型犬に噛み付いた。
でも大型犬は怒らない。寧ろウサギをそっと優しく舐めて宥めてる。
ウサギは怒ってる訳じゃないから。素直になれなくて、不安になってるから。
わけ解んなくなって、混乱して噛み付いただけっていう事に大型犬は気付いてた。

『ごめん』
ウサギがそう謝ったように見えた。
大型犬は『大丈夫』って笑ってるように見える。

そしてまた、一羽と一匹はじゃれ合い始める。
仲良く、楽しそうに。

――――――――

「……ん……?」
目を覚ましたら、僕のベッドで寝てる涼太の腕の中に居た。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.54 )
日時: 2017/05/03 20:07
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

(side:洸流)続き


体を起こすとフードが邪魔で視界が狭まる。
少しだけフードをズラすけどフードは被ったまま一度周りを見回す。
確か涼太は今日誰かとバスケするって言ってたはず……いいのかな?
…………ちょっとの間、寝かせてあげよう。

「はぁ……」
溜め息を吐いて膝を抱える。
確かに僕は素直に甘えたいなとは思ったけどさ。
ウサギみたいに構ってもらわなきゃストレスで死んじゃう、って言うほど構ってアピールは出来ないし。
でも、やっぱり『ウサギ』になるのはないよ。
だって、涼太は忙しくても構ってくれるし。
僕が素直に甘えられないだけ……。
動物は基本、主人に甘えてるのにな……。
……いや、別に僕は涼太に飼われてる訳じゃないけど。

普通に、甘えたいよ。
こんな風になってじゃなくて、素直に。

「本当は、もっと一緒に居たい……」
なんて、涼太に言えたなら。

――――ギュッ

不意に後ろから抱き締められて思考が止まる。
い、今の聞こえてたのかな?
心臓が段々鼓動速めてる。
「オレも、一緒に居たいっス」
そう囁かれて恥ずかしさと一緒に嬉しさも込み上げてくる。
「っ……」
どうしたら良いか解らなくて涼太の手に、そっと手を重ねた。
素直に甘えるのならこういうタイミングしかないと思う。
「あ、の……」
恥ずかしくて、緊張してるのもあって少し声が震えてる。
涼太は何も言わずに静かに僕の言葉を待ってる。
まるで、さっきの夢みたい。
「……………………っ……遊園地にデート、とか……行きたいなって……」
今まで何度かデートに行こうと企画はしたものの何だかんだ行けずに「また今度」ってなってたから。
本当は、楽しみだったりした。でも仕方無い、また今度機会が来るって。
そう思ってたけど、何回も行けないってなるとどうしてもがっかりするのが嫌で企画さえもしなくなった。
確かに涼太と居られればどこでも楽しいけど……。
でも、デートは特別な感じがするから……。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.55 )
日時: 2017/09/20 13:01
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――黄瀬―― *


いつもデートが駄目になった時に「大丈夫、また今度行こう」って笑ってたけど、やっぱり。
何となくそうかもしれないとは思っていたけど、洸流は何も言わなくて、結局オレも何も言わなかった。
そんなの、当たり前っスよね。
「本当は……もっと、素直に…………甘えたい……」
辛うじて聞き取れるほどの小さな声で洸流は本音を呟いた。

きっとそういう想いが洸流をウサギにさせたのかな、とかファンタジックな事を思ってみたり。

ホント、オレの恋人は可愛いっスね。
「洸流」
名前を呼んで振り向かせると、顔は真っ赤でうっすらと涙が浮かんでた。
――――少しずつでも、良いんスよ。
その前にオレが今以上に洸流の事を理解するから考えてる事解るかもっスけど。
そっとキスをして、上を向かせる。
熱っぽい吐息合間に漏らしつつ、少しキスを深くする。
「っ、ん……」
洸流の目がトロンとし始め、声が漏れ聞こえた。
不意にフードが外れて洸流の黒髪が露になる。
「あっ、耳」
いつの間にか洸流のウサギの耳が無くなっていた。
「無くなってる……!」
見慣れた洸流の姿に思わず笑みが溢れる。
安心したように笑う洸流の髪を優しく梳く。
「ウサギ耳の洸流も良いっスけど、いつもの洸流が一番っスね」
その囁きに洸流は顔を真っ赤にしてオレの胸に額を押し当てて顔を隠した。
「っ………………ありがと……」


その後定期的にウサギになってたりして。


『ウサギ編』完