大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.62 )
- 日時: 2017/05/03 21:09
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
『渡さない-邂逅編-』
(side:洸流)
今日は何の予定も目的も無く、放課後に街をフラフラと歩いていた。
暇人と言われてしまったらそれで終わりだけど、今まで何の目的も無くこうやって歩くのは難しかったから、僕にとってはとても良い変化だった。
…………暇だけど。
でも、こういう時って大体誰かと偶然会って暇じゃなくなるんだよね。
……それが涼太なら嬉しいのに。
「あー、洸流ー!」
あ、噂をすればなんとやらだ。
伊崎君がそこには居た。
「何で嫌そうな顔するのさー」
嫌そうな顔をしたつもりはなかったんだけど……。
思ったことが顔に出ただけだと。
「嫌ってわけじゃないけど……」
やっぱり涼太の方が良いなぁと思ってしまうから申し訳ない。
「どーせ望んだのは黄瀬の方だろー?」
「えっ、あっ、いやっ……」
何で解るの!?
驚いて明らかに動揺してしまう。
「解りやすいね」
苦笑いと共に言われ、更に申し訳なくなる。
「……言っとくけどさー」
不意に伊崎君が鋭い目付きになって至極真剣に囁く。
「俺、まーだ洸流の事諦めてないからね?」
そして徐に優しい笑みを浮かべて冗談みたいに「あはは」って笑った。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.63 )
- 日時: 2017/09/20 13:03
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
(side:洸流)続き-1
「お、これでもやる?」
二人して暇だったからゲームセンターに行く事になり、目の前にはフリースローゲームの台がある。
「対決?」
喧騒の中で声が掻き消えてしまわないよう少し声を大きくして訊くと頷きが返ってくる。
その表情は恍惚としていて、もう既にスイッチが切り替わっている。
伊崎君のこのモードは不完全燃焼を起こすと他で発散させられずに一日引き摺るから大変なんだよね。
「解った、やろっか」
…………伊崎君って、フリースロー苦手じゃなかったっけ。
* * *
「あぁー、負けた」
結構悔しそうに溜め息と共にそんな呟きを漏らした。
「やっぱりフリースロー苦手なんだね」
二十ポイント以上の差をつけての僕の勝利という結果に終わったゲームだったが、伊崎君は悔しそうではあるものの、楽しそうでもある。
「次何やるかなー」
もう次に心が向いてるし。
まあ、伊崎君らしくて良いんだけどね。
「洸流、何かやりたいのある?」
そこそこに広い店内を散策しながら次に何で遊ぶか決めかねている伊崎君に付いていくと不意に訊かれ、ちょっと驚いた。
「えっ? あぁ、伊崎君のやりたいゲームで良いよ」
特にこれといってやりたいゲームもないし、って言うかまずゲームセンター来るの初めてだったりするし。
「それって、結構反則じゃない?」
「……?」
僕、変な事言ってないよ?
何で反則なのか解らなくて首を傾げると苦笑されてしまった。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.64 )
- 日時: 2017/05/03 21:12
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
(side:洸流)続き-2
卓球をしたりとかボウリングをしてみたり。
あまり経験の無い事を出来て結構楽しい。
「俺、飲み物買ってくるけど洸流は何が良い?」
「ん? あー……じゃあ、お茶かな」
ある程度遊んで一息吐くと伊崎君が少し離れた所にある場所へ飲み物を買いに行ってくれる事になった。
壁際で一人、ゲームを楽しむ人達をボーッと眺める。
色んな所に涼太と一緒に行きたいな……。
男同士だし、そんなに怪しまれないとは思うんだけど……でも、少し怖い。
もしも、僕なんかと涼太が付き合っていると色んな人にバレたら、涼太はファンを失いかねない。
これは、僕の自意識過剰なのかな?
でも、何かしらの影響を与えてしまうはず……。
「迷惑だけは、掛けたくないな……」
溜め息と共に吐いた言葉は喧騒の中に掻き消えた。
「キミ、一人?」
不意に視界に影が差したと思ったら僕より少し背の高い大学生位の男性客に囲まれて声を掛けられた。
「えっ……?」
この光景、何処かで経験した事ある気がする。
でも、ゲームセンター来るの初めてなのに、何で――――、
――――お前が居るから俺はッ!
不意に昔聞いた先輩の言葉を思い出した。
あ……この光景、中学の時に良く経験したんだ。
そう自覚したとたん、体が強張ってしまって動けない。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.65 )
- 日時: 2017/09/20 13:05
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――伊崎―― *
店内に自動販売機が無くて結局外で買うはめになった。
しかも俺が飲みたいやつ売り切れだし。
だから他の自販機のとこ行って来たから帰るのに十分以上かかった。
まぁ、洸流怒らないと思うけど――――、
「は?」
洸流と別れた場所に向かっていて漸く洸流の姿が見えたと思えば、洸流は男数人に壁際で囲まれ、固まっていた。
「あんたら何してんの」
頭に血が上ってくのが解る。でも、今は冷静になんかなってらんない。
男達の間から洸流に手を差し出し、固まる洸流の腕を掴んで引き寄せる。
「何って、関係無い奴に言われたくないんだど」
ヘラヘラしてる割りに目が笑ってない。
洸流に何かしようとしてたのは目に見えてる。
「関係有るっつーの、こいつは俺のだ」
男達を威嚇し、洸流をそっと抱き寄せる。
洸流がびくりと反応したが、抵抗はせず不安そうにして何も言わない。
「はあ? 怯えてんじゃん」
怯えてんのはお前らに対してだっつーの。
苛々が募ってく。お前らムカつく。
「あのな――――」
「ゆ、う……もう、帰りたい……」
俺が怒りを爆発させそうになった時、洸流が男達にも聞こえるよう少し大きめに言うと男達の顔が不快そうに歪む。
「……あぁ、そうするか」
恋人のフリをすればコイツらは引くだろうと一瞬冷静になった頭が結論を出す。
洸流の手を引いて出入口に向かう。
その途中、男達の誰かが舌打ちしたのが聞こえたが、無視をして外に出た。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.66 )
- 日時: 2017/09/20 13:05
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――洸流―― *
体が動かなくて、怖くてどうしたら良いかも解らなくなっていたら伊崎君に助けられた。
伊崎君に肩をそっと抱かれた時、少し吃驚したけどでも囲まれてた場所から解放され少しは安心出来た。
それで恋人のフリをすれば引いてくれるんじゃないかって思ったのと、そろそろ伊崎君の我慢が利かなくなってくるはずだと思った。
「ゆ、う……もう、帰りたい……」
少し大きめの声で、声をかけた。
名字で呼ぶか名前で呼ぶか迷ったけど恋人のフリをするなら名前で呼んだ方がいいだろうと思ったものの、少し詰まってしまった。
「……あぁ、そうするか」
僕の意図もちゃんと伝わったらしく、伊崎君は僕の手を引いて出入口に向かって歩き出す。
…………あの人達は何で僕なんかに声をかけたんだろう。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.67 )
- 日時: 2017/05/03 21:16
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
(side:洸流)続き
「……こわ、かった……」
近くの公園に移動し、ベンチに座って漸く一息吐くと少し震えた声が出た。
主に、あの時の事を思い出したからだけど。
あの人達に関してはただただ不思議で驚きしかない。
「ごめん、俺が一人にしたから……」
伊崎君が申し訳なさそうに言われてしまう。
「ううん、それは別に大丈夫だったから」
ただ、囲まれたからあの事を思い出してしまっただけで。
伊崎君は何も悪くない。
僕が落ち着くまでそんなに時間は掛からなかったけど伊崎君は静かに待っていてくれた。
「あ、そうだ」
僕がある程度落ち着いた頃に伊崎君が僕に飲み物を渡してきた。
何でかなって思ったけどすぐになぜあの場で一人になったのか思い出してそれを受け取る。
「……ありがとう」
御礼を言うと何故か伊崎君に頭をくしゃっと撫でられた。
「うん……?」
視線だけで「何?」と訊くが、伊崎君は何も言わず無言で僕を見つめるばかり。
……………………。
謎の沈黙。
「えっ……な、何?」
僕はその謎の沈黙に耐えかねて改めてそう訊くと伊崎君の手が離れていった。
「別にー、何でもない」
それだけ答えて伊崎君はベンチの背凭れに体重を預けた。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.68 )
- 日時: 2017/09/20 13:06
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――伊崎―― *
辛そうな表情で溜め息を吐いてから震える声で、
「……こわ、かった……」
と呟いてた。
でも俺にはその辛さが解らないから何も出来ず、ただ隣に座って洸流が落ち着くのを待つ。
ある程度落ち着いたかな、って思ったら飲み物の存在を思い出した。
「あ、そうだ」
って、飲み物渡しておいたけど。
一瞬苦い顔をしたけどすぐ戻ったから大丈夫そう。
飲み物を受け取って洸流は少し俯く。
やっぱ辛い記憶とかは消えないからなぁ。
何となく、洸流の髪に手を伸ばしてくしゃっと撫でる。
あ、髪の毛柔らかい。
ってか、触ってて心地いい。
何この癒し効果。
「うん……?」
目で「何で?」って聞かれたけどノーコメント。
そして無言のまま勝手に癒され続ける。
「えっ……な、何?」
んー、これ以上は何か嫌な予感するから止めとこう。
「別にー、何でもない」
天然の癒し効果発見だな。
凄く変な人だな、俺。無言で友達の頭撫でて癒されるとか。
不思議そうな顔をされた。まあ、不思議だろうけど。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.69 )
- 日時: 2017/09/20 13:07
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――黄瀬―― *
今日は学校が早めに終わって洸流を驚かせようと連絡をせず会いに行こうと思ったけど家に居なくて、どうしようかと洸流の家の近くにある公園に来た。
そしたら、まあ、洸流は見付けたんスけど。
……けど…………ねぇ?
声を掛けるかどうするか物凄く迷う状態だった。
でも、迷ったけど割りと早くオレは声を掛けた。
洸流と、洸流の髪を梳いていたソイツに。
「洸流〜?」
って言うか、洸流が具合悪そうなのが一番引っ掛かる。
オレが声を掛けると徐にこっちを向いて驚きつつも笑顔になった。
「涼太……!」
オレの名前呼んで立ち上がってオレの方に駆け寄ってくる。
何これ天使を目の前にしてる気分。
「どうしたの?」
物凄く嬉しそうなのが全面に出てるけど声のトーンが割りと落ち着いてる。
「今日、内緒で会いに来ようかと思って」
素直に理由を言うと更に嬉しそうな顔になった。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.70 )
- 日時: 2017/09/20 13:07
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――洸流―― *
伊崎君の行動が不思議で一人、頭に疑問符を浮かべていた。
「洸流〜?」
そしたら不意に上方から聞き慣れた声がした。
顔を上げるとそこには涼太が居て、自然と笑みが溢れる。
「涼太……!」
立ち上がって涼太に駆け寄る。
どうして居るんだろう。嬉しいけど。いや、嬉しさしかないけど。
「どうしたの?」
嬉しすぎて表情が緩んでるからちょっとだけ意識して笑みを堪えて少しトーンを落として訊いた。
「今日、内緒で会いに来ようと思って」
嬉しさが我慢できずに漏れる。
まぁ、いっか。嬉しいから。
「そっか」
言葉はそっけなくなってしまったけど涼太がクスクスと笑ったから多分、僕は相当表情が緩んでるからマイナスな意味には捉えれてないって解った。
「…………ところで、洸流。ちょっと気になったんスけど……」
少し言い出しにくそうに涼太が歯切れ悪く言って僕の後ろに視線を遣る。
僕もその視線を追って後ろを向くと伊崎君が居る。
「あれ、覚えてない?」
涼太は覚えてないのかな。中学の時一緒だったんだけど。
「あぁ、いや、覚えてはいるんスけど……」
苦笑をしつつ、でもその視線はなぜか鋭くてじっと伊崎君を見つめてる。
「……久し振り」
伊崎君がゆったりとした足取りで僕達に歩み寄って来て、涼太に右手を差し出して握手を求めた。
何で握手?
「……久し振りっスね」
何故か少し緊張感のある空気が流れる。
二人って仲悪かったんだっけ……?
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.71 )
- 日時: 2017/09/20 13:08
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――伊崎―― *
「……久し振り」
黄瀬が来るから嫌な予感がしたのか。
俺が洸流の髪梳いてただけで嫉妬してそうだし。
少し怒っている黄瀬に俺から手を差し出して握手を求めてみる。
多分、俺が洸流の事を諦めてないの解ってるだろうし。
「……久し振りっスね」
黄瀬はちゃんと俺の握手に応えて、お互い確りと手を握る。
そして握手をしたまま無言で視線を交わす。
「………………えっと……」
不意に洸流が恐る恐ると言った様子で俺達に声を掛けてきた。
そのタイミングでお互いから視線が外れ、それと同時に手も解く。
洸流の方に視線を落とすと、自分に視線の集まった洸流は戸惑ったように苦笑した。
俺は確かに洸流を諦めてはいない。でも、俺は洸流の嫌がるような事はしない。
洸流が黄瀬に愛想を尽かして自ら来るなら当然俺は受け入れる。
一緒にいて楽しいし、触れていたい。
良き友人でありたい。
けど、どうしてもその先を求めてしまう。
- Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.72 )
- 日時: 2017/09/20 13:08
- 名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA
* SIDE――黄瀬―― *
伊崎クンから差し出された手は宣戦布告と受け取っても良さそうだ。
まあ、勝つ自信しかないっスけどね。
「……あーあ、今日は帰ろっかなー」
不意に伊崎クンが溜め息と共にわざとらしくオレらにそう言った。
てっきり今からでも対決するのかと思ったけど。
「え、帰るの?」
洸流が驚いたように伊崎クンに訊く。
あぁ、そうか。伊崎クンはオレと洸流仲良くしてるのあんまり見たくないんスね。
「んー、だから今度また二人で遊ぼうな」
二人で、とは彼氏と言う名のオレの前で堂々と良く言えるっスね。
「……うん、解った。今日はありがとうね」
良いんスか。いや……まあ、確かに洸流からしたらただの友達だろうけど。
そんな伊崎クンが帰るのにオレの横を通って行く。
「――――渡さないっスから」
伊崎クンにだけ聞こえるように言うと彼は微かに口角を上げてそれに応えた。
――――俺だって負けないし。
その囁きはオレの耳に辛うじて届いた直後風に掻き消された。
良い度胸っスね。
『渡さない-邂逅編-』完