大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.87 )
日時: 2017/09/20 13:15
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

『渡さない-決着編-』
(side:黄瀬)


少し前に会った時に彼とは連絡先の交換はしてたけど、連絡が来たのは初めてだった。
しかも、内容は挑戦状。
伊崎クンは洸流が辛い思いをしてた時、事情を知っていた唯一の人物。
彼が洸流の事を好きなのは気付いてた。
多分、洸流もその好意に気付いてる。もしかしたら告白された事があるのかもしれないし。

バスケットコートのある公園で待ち合わせる事になり、洸流と一緒にそこへ行った。

  *  *  *

「あ、来たな」
待ち合わせ場所に着くと伊崎クンが一人でスリーポイントシュートの練習をしていた。
この間とは違い、目付きが鋭くて挑発的な雰囲気な伊崎クンだった。
まあ、伊崎クンに変わりはないんっスけど。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.88 )
日時: 2017/09/20 13:16
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――洸流―― *


涼太に言われて着いてきた公園に居た友結はもう既に猪突猛進のモードに入っていて口調も荒くなっていた。

「――――黄瀬、俺と1on1で勝負だ」

まるで、中学の頃の涼太みたいだ。
青峰君に繰り返し戦いを挑んでいた頃の、涼太みたい。

確かに友結は中学の頃より断然バスケは上手くなってる。
バスケの時に猪突猛進のモードに切り替わるのは変わっていないけど。
でも、涼太はそれ以上だった。
"キセキ"の名に相応しく、そして涼太らしく。
僕は最初の頃から二人を見ていたからどれだけ成長してるのかとかも判る。
そして一時期離れていたから、余計に。
だから断言出来てしまうのだ。
"どう頑張っても、友結は涼太に勝てない"って。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.89 )
日時: 2017/09/20 13:16
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――伊崎―― *


こうなるって解ってた。
勝てるわけがないって知ってた。
でも、一度で良いからちゃんと戦いたくて呼び出した。
ちゃんと、洸流を諦めるために。
洸流はずっと前から黄瀬の事が好きだったし、二人はお互いを大切に思ってる。
俺の入る隙なんてない。
それでも好きで居たかった。ずっと、ずっと。
でも、ずっと好きでいるのは辛い。
振り返ってもくれない人を思い続けるのは辛い。
ただの友達にちゃんと戻るにはこの思いを捨てるべきだと、そう思う。
諦めるなと色んな人に教わったけど、時に諦めも肝心だ、とも教わった。
このままだと、無理矢理にでも洸流を振り返らせようとするかもしれないから。
それで洸流を傷付けてしまうぐらいなら、俺だけで全部、終わらせる。


「あーあ、負けたー」
1on1は当然俺の敗けで決着が着いたわけで。
つまりは、これで終わり。
なっがい片思いだなー。
乙女か!ってぐらいのなっがい片思い。
「伊崎クン」
黄瀬に声をかけられ顔を上げると何とも言えない表情をしていた。
普通その顔は俺がするもんじゃん?
洸流は俯いてるし。
え、何?
俺、黄瀬に敗けただけで死ぬの?
「何だよ」
たかが1on1って思って気軽に俺の挑戦受けたじゃねーの?
「…………」
黄瀬は徐に手を差し出してきた。
……あー、この間俺が握手求めたからか。
「俺やっぱ洸流から手、引くわ」
そこまで真剣な重い口調じゃなく、なるべく軽くそう言いながら黄瀬の握手に応える。
「これからは、本当にただの友達に戻る」
その言葉が、自分の言葉が胸に刺さっていく。
洸流は黄瀬と居ればきっと、辛い記憶だって少しは良くなっていくはずだから。
「…………――――」
「じゃーなー」
黄瀬が何か言おうとしたが、俺はそれを遮って洸流にも聞こえるように大きめの声でそう言った。
洸流は顔を上げて少し不思議そうに手を振ってきた。
それに軽く応え、二人に背を向けて歩き出す。

諦めも、肝心だから。
別に関係を断ち切るわけじゃない。
いつだって会おうと思えば会える。
"友達"だから、いつだって。

Re: 【黒バス】腐向け 黄瀬×(オリキャラ) R18 ( No.90 )
日時: 2017/09/20 13:17
名前: 無冬 ◆vczVbPqLLA

 * SIDE――黄瀬―― *


伊崎クンは1on1をやる前から少し様子が変だった。
挑発的なところは除外として、最初から諦めてる風で。
1on1が終わった直後も、様子が変で。
握手に応えてはくれたけど、その時に何で様子が変なのか解った。

「俺やっぱ洸流から手、引くわ」
明るく繕って、明るくそう言って、
「これからは、本当にただの友達に戻る」
辛そうな顔もせずに堪えてた。

オレは、好きな人をずっと思い続けるのがどれだけ辛いか知ってる。
オレの場合は、その好きな人が振り返ってくれる可能性があったから頑張れた。
でも、伊崎クンは。
伊崎クンの場合は、その可能性は低い。
今の洸流には、オレが居るから。
けどオレは伊崎クンに「悪い」だとか思ってない。
オレが洸流と付き合ってるから伊崎クンが報われないんじゃなくて、オレと伊崎クンは同じ人を求めて告白をした。
必ず最低でも一人はフラれる。それが伊崎クンだっただけで。
自分が幸せになりたくて洸流に告白したわけじゃなくて、洸流を幸せにしたくて告白したのならフラれた場合はただの友達に戻るべきだと、そう思って。

オレが洸流を必ず悪夢から救い出して、守るから。
でも、それはきっとオレだけじゃなくて"友達"が必要になる。
その時、伊崎クンは必ず洸流の傍に居てくれる。


「友結、帰っちゃったね」
洸流が伊崎クンを少し前まで名字呼びに変わってたのに名前呼びに戻っていた事に少し驚いたけど、まあ、いいか。
「……そっスね」
伊崎クンの決意とかはきっと、本人から洸流伝わるだろうからオレは特に何も言わないでおこう。
「これからどうする?」
特に何もする事は無い。
陽は傾いてはきてるけどもう少し、一緒に居たいっスね。
「んー……オレと、1on1とかどうっスか?」
今までちゃんと洸流とバスケした事無いし。
丁度、ボールはとコートはある。
「1on1? 勝てる自信無いけど……やろうか」
洸流は少し嬉しそうに答えて、コートの方へと入ってきた。


何試合かして、思ってたより洸流の実力は凄いって事を知れた。
で、まあ……気付いたら結構暗くなってて洸流の家に泊めてもらった。


『渡さない-決着編-』完