大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【GL】曖昧な線引きと平行線。【短編集】 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/06 11:34
- 名前: 玄蠢ーGenSyunnー
霊夢×アリスでも...
ーーーーー
「お久しぶり」
....誰だこいつ。
いや、誰かはとっくに理解している。
昔と今との変化を認めたくない...ただ、それだけ。
目の前の彼女は畏怖するくらいに容貌が変わっていた。整形とかそういうものではない。
容貌というか、容姿と言えば良いのか。
彼女は幾分か身長が伸びていて、雰囲気も変わっていた。....私に、そっくり。
いやいや、私も昔と比べて髪色とか変わっているし...その分では彼女と一緒なのか。
いや、しかし、あの時の彼女は“違う誰かの為に”動いていた。その時は人形みたいだなと思ったけど。
人形を操る人形だなんてね、可笑しいわ。
内面も外面も変わっているという事かしら。
「あんた誰よ?」
――――それ故、知らない振りをして誤魔化すことしか出来なかった。
その時の、彼女の傷付いたような表情を忘れられない。
吃驚したように小さくなった瞳と、怯えるように少し開いた口。
でも彼女は刹那として見せることを止めた、いや禁じた。
初めてで久しい彼女との戦闘は瞬く間に終わった。
あの頃からちっとも変わってない戦闘法。唯一違うのは本を使わなかったこと。
それ以降の関わりは虚しくも知り合い以上友人以下、だった。
私は後悔した。何故あの時に私は“覚えている”と、“久しぶり”と、気遣う言葉を言えなかったのか。
彼女の他人行儀な仕草と微笑み。私は酷く深く後悔し、傷付いた。
その彼女の名はアリス・マーガトロイドと言った。
*****
それから暫く経ったある日。
魔理沙からSOSのサインを受け、魔理沙の家へと向かうことになった。
魔法の森か....。そう言えばアリスもその森に住んでいたなぁ。
魔法の森は人間が居ちゃ駄目だとか言われているけど....。まぁ、アリスが人間を泊めている辺りは一晩くらいは大丈夫なんだろう。
そうすると魔理沙が異常だって事になっちゃうけど。
ぼんやりとそんな事を考えながらゆるゆる、ゆっくりと大空を飛んだ。
能力で飛べるなんてズルいと何度もからかわれたが、其れほど羨ましがられる能力ではないと思う。
巫女の素質があるとか天才肌とかなんだとか、沢山言われてきたけど、ね。
不意に斜め下が気になり視線を落とす。
視線の先には――霧雨魔法店。
そうでかでかと書かれた文字が目に入り、私はフッと微笑んだ。
(もう少しで通り過ぎる所だったじゃねぇか)
外面は余裕でも内心は焦る。微笑んだ顔が硬直して真顔に戻すのが辛い。
しかし私の足はそんな事はどうでも良いと言わんばかりに、その文字目掛けてゆっくりと飛行速度を落として地面に近付いていく。
足が地面に吸い込まれているみたいだ。
「__よっ、と」
引きつった笑みを浮かべておっさん臭い声を漏らしつつも、着地に成功だ。
ドン、と地盤を踏むような音がした直後、目の前の扉がバン!!と開いた。
いや、なんだなんだ。あ、でも吃驚して先程の奇妙な表情がほどけた。
...いやいや、表情の事情はどうでも良い。いつの間に魔理沙の家は音感知式になったんだ?
じろじろと扉を怪しむように見つめる。白い木材で出来た薄っぺらい扉だ。“MARISA”と書かれた看板が確りと打ち付けられている。...ふむ、普通ね。
見る限りでは何の異変も見えないが....もしかして見えない異変なのか?
そうなれば扉が犯人なのだろうが、魔理沙の許可がない限りはぶっ飛ばせない。
魔理沙は怒ると怖いからね。
「おーい霊夢ぅ〜?開けてんだからさっさと入れよ」
「あ、うん」
どうやらこの扉はただ単に魔理沙が魔法で開けただけみたいだ。なんだ、期待損だ。
異変であれば今すぐに扉をぶっ壊し、魔理沙からしこたま依頼達成品を貰えたこと間違いなしなのに。
魔理沙の声に促されるまま家に入る。
....うえっ、黴臭い。もの凄く黴臭い。茸全部に黴でも生えているんじゃないかしらってくらい。
鼻を抑えて顔を顰めていると、魔理沙から「魔法の実験中だからな」と笑い混じりの声が飛んできた。
いやふっざけんなよ。何故このタイミングで呼んだ。何故お前は平気で居れるんだ。
魔理沙には突っ込みどころが多くて困るわ。
このままコントらしき茶番を繰り返すのも気味悪いったらありゃしない。
さっさと本題に切り込むとしよう。
仮にも依頼人だし友人対応しててもね。依頼人と承った人がコントしててどうすんだよ、ってね。
..なんで私の思考はこうも脱線するのだろうか。
「....それで、本題は?」
近くにあった椅子に腰掛けながら問い掛ける。
じろりと魔理沙を見ると、魔理沙は緊迫感満載の真顔で見つめ返して来た。
........くそう、笑いそうになっちまったじゃねぇか。
「ああ、少し相談がしたくてな」
魔理沙は作業机に肘を突いて、少し困ったように笑いながらそう言った。
その目は、鋭く私を突き刺していた。