大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 太中を中心に文ストBL小説が書きたいんじゃ。 ( No.1 )
- 日時: 2017/08/16 00:39
- 名前: 犬神
- 参照: 修正加えました。
*太宰×中也*
【赤ずきんパロ】
太宰→猟師
中也→狼
「おいッ、何処へ連れて行くつもりだ!さっさと離せ!」
「……」
太宰は、嫌がる中也の手を引き、無言でズンズンと森の奥へ進んで行く。
中也は抵抗として、途中で何度も太宰を殴ろうとするが、太宰はそれを判っていたかの様に、軽く避けてしまう。
流石にそれを何度も繰り返していると、中也も殴って抵抗することを諦めてしまった。
「……此処なら大丈夫かな」
そう言って立ち止まり、中也の手を離した太宰は、微笑んで中也の方に向き直った。
しかし、その目はまるで氷の様に冷たく鋭い。此の様な太宰の目を、中也は今まで一度も見たことが無かった。
「ッ……」
太宰の鋭い目に中也はほんの少し恐怖を覚えるが、それを悟られないよう、此方も精一杯睨み返した。思わず身体が震えそうになる。
「……ンだよ、太宰。態々こんな所まで連れて来やがって……」
「……中也、私、前に言ったよね?人を襲ってはいけないと。それに、此の時間帯は、狩りに出ている人が多い時間帯だ。今回は偶々私が通り掛かって、助かったから良かったものの……若し、通り掛かったのが私でなく、あのまま人を喰い殺していたら……」
きっと君は、殺されていたよ?
そう言った太宰の瞳は、何処か悲しげな色をしていた。
前、と言うのは、此の森に人食い狼の噂が流れる少し前の事だ。
人食い狼――その名の通り人肉を食す狼の事で、人間にとっては恐怖以外の何物でも無い。その人食い狼に、中也はなってしまったのだ。
――事件は、約二年前に遡る。
一旦切ります。長くなる予感…
あ、ちゃんとシリアスだけじゃなく、Rにも入りますからね!
- Re: 太中を中心に文ストBL小説が書きたいんじゃ ( No.2 )
- 日時: 2017/08/16 01:03
- 名前: 犬神
- 参照: 修正加えました。((2度目
【続き】
中也が人を襲って食べたのだ。しかも、まだ幼い子供を。
人間が森で狩りを始めてからというもの、狼の主食である草食動物たちは地形がバラバラな森の奥深く、狼にとって獲物を狩るには不利な場所へと逃げてしまい、中也は本格的な食糧不足に陥っていた。
事件が起こったその日の午後。中也はもう五日ほど何も食べておらず、茂みの影に隠れるように倒れていた。
「……俺、死ぬのか?」
虚ろな目でポツリと呟いた中也の耳に、ガサガサという茂みを掻きわけるような音が入って来た。無意識に耳がピクリと動き、音のあった方に神経を研ぎ澄ませる。
人間か?
それならば、今この状況で見つかったらマズイ。この状態じゃ直ぐに殺られちまう。直感的にそう思った中也は、逃げるチャンスを見つけようと、起き上がって音のする方を見えた。
だが、次の瞬間。茂みを掻き分け中也の前に現れたのは、まだ七つほどの可憐な少女だった。
何処かで転んだのか膝には擦り傷が出来ており、手入れされた白いワンピースも土や泥で汚れている。
その時、中也は体の内側から何かが溢れ出ていることに気付いた。
――腹が減った。
自分を支配しようとしているのは、紛れも無い、自分自身の本能だった。
その感情がグルグルと体の中を渦巻き、自分の理性を崩壊させて行く。
……俺はアイツを、人間を喰いたがっているのか?
人喰いにはなりたくない。昔友人が人喰い狼になってしまい、危険と判断され目の前で猟師に殺される所を目の当たりにしてしまった中也は、ずっと前から、友人が殺されてしまった時からそう思っていた。少女がまだ自分の存在に気付いていない内に、そして、まだ理性が残っているうちに少女から離れようと、姿勢を低くしたまま少女に背を向け足を一歩前へ進める。
――しかし。
「ッあ……」
空腹で集中力が磨り減っていたのか、足元にあった木の棒に気付かず踏んでしまう。パキッという快い音が辺りに響いた。
勿論、茂みを挟んでいるというものの近くに居た少女が聞こえていない筈も無く、少女は中也のいる方へ臆することなく、自身の好奇心だけを頼りに無防備に音のした方へと歩みを進める。
「わあ……!狼さんだ!」
初めてみたのであろう狼に興奮し、目を輝かせながら近付いて行く少女に、警戒心など微塵も無かったのだろう。何故なら、目の前にいるのは『腹ペコの可哀想な狼さん』なのだから。
何とか襲ってしまわない様に逃げようと少しずつ後退るも、少女が怪我をした箇所から漂う血の香りを、イヌ科特有のその抜群の嗅覚で嗅ぎとってしまった。思わず逃げる為に動いていた筈の足がピタリと止まり、先程と同じ、否、先程以上の早さで、本能が理性を食い殺して行く。
そして、何時の間にか少女は、中也の目の前に立っていた。
「狼さん!初めまして!」
無邪気な笑顔を浮かべた少女は、握手を求めているのか中也に右手を差し出す。
手のひらには膝と同じような擦り傷が出来ており、血の香りが中也の鼻をくすぐった。
――腹が減った。
――食べたい。
――食べタいたべたイタべたい食ベタいたべたい食べタイタベタい食ベタイ!!
もう、限界だった。
空腹と、心の奥から悲鳴をあげるように叫ぶ本能に耐え切れなくなった中也は、低い唸り声を上げ荒い呼吸を繰り返しながら、口の端からだらだらと唾液を垂らし、鋭い牙をむき出しにして少女に飛びかかった。
――その目はまるで、宝石の様に深く綺麗な色をしていた。
切ります。
完全なシリアスになっちまいましたねえ…私シリアス苦手な筈なんですが。←
ていうか、まさかの中也の過去編で終わっちゃいましたね。←
- Re: 太中を中心に文ストBL小説が書きたいんじゃ ( No.3 )
- 日時: 2017/08/16 17:41
- 名前: 犬神
- 参照: なんかいっぱい修正加えました。((3回目
【続き】*流血表現有り
少女は中也が突如襲い掛かってくるその光景に呆気に取られ、咄嗟に逃げる事が出来なかった。モタモタしている間に、本能に汚染された中也が少女に飛び掛り、そのままの勢いで少女の首に思い切りかぶりつく。鋭く光る歯が幾千もの少女の血管を破り、肉の間にズブズブと食い込ませて行った。
「ぃッ……い"だあ"あ"あ"あ"ああああああぁぁぁッ、!!?」
大きく、甲高い悲鳴が辺りに響く。その声はまるで、少女の命の叫びの様にも聞こえた。
しかし、既に理性など微塵も残っていない中也はまるで悲鳴など一つも聞こえていないかの様に、無残にも噛み付く力を強くして行き、そのまま、
――ブチッ
少女の頭と胴体を切り分けた。
その音が合図だという様に先程までの悲鳴は静まり返り、今度はぐちゃぐちゃという粗食音が辺りに響く。中也はただ、兎に角無我夢中に、ずっと欲していた肉を食べ続けた。
――少しして、中也達のいる場所近くを運が良いのか悪いのか、猟師である太宰が通り掛かった。太宰は先程歩いていた所とは違う生暖かい風に違和感を覚え、思わず足を止める。鼻先を錆びた鉄の様な匂いが擽った。
「……?血の臭い?それも、獣の血の臭いでは無く、昔から何度も嗅いだ事のあるような……ッ!まさかッ!」
ソレは紛れも無い、人間の血の臭いだった。猟師である太宰には判る。これが、獣の血かどうかという位。無意識の内に太宰の足は、臭いがするところまで歩き始めていた。
段々強くなってくる臭いに顔を歪ませながらも、茂みを掻き分け、血の臭いの原点の場所まで近付いていく。
そして、茂みを抜ける。その先の光景を見て、太宰は絶句した。
「……これは」
喉から掠れた声が漏れる。
太宰の目線の先には、自我を失い、無我夢中で何かガツガツと食い荒らしている中也が居た。
中也が喰っているものは、鹿でもなく、兎でもなく、かと言って木の実でも無く、……血溜まりの中に、人間の手の様なモノが見えた。
元は綺麗な場所だった筈なのに、今はまさに地獄絵図と化していた。若草色だった草原には赤黒い血だまりが出来ており、同じく綺麗だった筈の中也も、口元や蜜柑色の髪、そして太宰がプレゼントした獣の皮や街で買った布等で出来た服に血をべっとりと着けており、一言で言うならば赤に染まっていた。
思わず呆然としていた太宰だが、ハッと我に返れば中也に駆け寄り、
「止めろ!」
と中也を後ろから羽交い締めにして人間だったモノから引き剥がす。
中也は吠えながら暴れ、太宰の腕にも噛み付いた。太宰は痛みに思わず顔を顰めるが、その手を離すことは無かった。
「落ち着け中也!私だ、太宰だ!!」
太宰の叫び声が届いたのか、中也の動きが止まる。その拍子に段々と理性が戻って来たのか徐々に噛む力が弱まっていき、完全に理性が戻ったであろうその瞬間、太宰の顔を見た中也はポロポロと涙を零し始め、そのまま太宰の胸に顔を埋めた。
「……だざ、……俺……ごめ、なさ……」
「ッ……」
太宰は何となく、中也が態と人を襲った訳では無い事を察した。
普段は絶対そんな事をしないと誓っていた中也だ。それほど、極限状態にまで陥っていたのだろう。
しかし、どんな理由であろうと、人を喰った事に変わりはなく、その罪は大きい。本来ならば、今背中に掲げているその鉄砲で、中也を撃たなければならないのだ。危険な人喰い狼を野放しにしておくなんて、危険以外の何物でもないのだから。
……太宰にはそれが出来なかった。
二人が幼い頃から何時もの様に中也と会っていた太宰は、どうしても自分の手で中也の心臓を止めることがどうしても出来なかった。今出来る事といえば、ただ泣いて震えている中也の背中を擦ってやる事だけ。
……しかし、自身の感情に流されてばかりでは、この先生きていく事は出来ない。このまま何も罰を与えなければ、森の管理者でもある義理父に対しての裏切り行為に価する。太宰は少し悩んだ後、覚悟を決めたかの様にキッとした表情を浮かべ、「中也」と名前を呼び顔を上げさせると、
「ッ……!?」
少しの間の後、乾いた音と共に中也の顔を平手打ちした。
あまりに突然の事で、涙は止まってしまった。中也は一瞬呆然とした後、平手打ちされ赤くなった頬を片手で抑えながら何が起こったか判らない、と言った顔で太宰を見詰める。しかし、少しすると「ぁ……」と小さく声を漏らし、再び涙をポロポロ零し始めた。
「……中也、たとえどんな理由だろうと、もう二度と人間は襲うな。もし君が、もう一度人を襲うものなら……私は君を許さない」
太宰は中也を真っ直ぐ見つめながら話す。中也はただ、大粒の涙を零しながら太宰のその言葉に頷く事しか出来なかった。
――これが”前”の約束。
月日が経った今、中也はこの約束を破ってしまった。自分自身の意思で。
約束を破ったことで、中也は太宰に多少の恐怖を感じていた。
殺されるかもしれない恐怖を。
切ります。
途中から何書いてんのか判らなくなってきました←
次か、次の次くらいにRに突入します。