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Said : カノ

靴箱から靴を取り出して、履き替えてるとなにやら近くの階段から、バタバタと駆けおりる音がした。
何をそう急いでるのか分からないけど、とりあえず気になった僕は、少し首を伸ばして見てみんだ。

「うおぉっ？！」

なんか、踏み外したらしくドシーンッと、床に盛大に叩きつけられる音と大きな悲鳴が…。
かなり豪快に落ちたけど、大丈夫かな？

脱ぎかけのシューズをもう1度履きなおして、階段の下の方へ小走りで近付いていった。

「あ〜、その、……大丈夫？」

そこにいたのは僕より身長が高くて、髪の長い奴だった。
普通、髪の毛って男子はこの長さは、アウトじゃなかったっけ？

肩まで伸びた黒髪で１つ結び、着衣はこれでもかと乱れていた。きっと、着衣が乱れてんのは階段から落ちたのだけじゃなくて、彼の着こなしが多少関係してるんだろう。
見た感じ、制服は新品そうだから、新入生かな？

そう思っていたら、目の前の彼が体を擦りながらもゆっくりと起き上がった。
よかった、目立つ怪我とかはないみたい。

「大丈夫、君？階段から落ちたけど…、どう?足が痛いとかあったりする？」
「……あ？」

優しく聞いたのに、完全に敵対視されてる。
なんで？

目の前の彼は、僕の姿を見ると嫌悪感丸出しのしょっぱい顔で、盛大に舌打ちした。
それと同時に、睨みもなんとなく強くなったような……。
僕、何か悪いことしちゃった？
そんな心当たりないけど……。

「あっ、あのさ…。保健室に行ったほうがいいよ。歩きにくかったら、僕も手伝うからさ。」

そういって、彼の腕を片方取ろうとすると、パシッと跳ね返された。

「うるせぇ。テメーなんかの、世話になんかなりたくねぇんだよ。」

そして、さらっと暴言を吐いて、靴箱の方へと向かってしまった。
……はぁ？

あの子、そんなに先輩嫌いなのかな？
いや…でも、「テメーなんか」って言ってたから、きっと僕個人の事なんだろうけど…。
あの子とどこかで会ったっけ？
まず大体、恨み買うようなことしたっけ？

う〜ん……、分かんないなぁ…。




と、上からクスクスと笑う声が聞こえる。
パッと上を向くと、笑いながらこちらを見下ろしてる、キド、セトさん、マリーさん。

さっきまでの見てたんだ…。
そう思うと、苦笑いしか出来なくて、引きつった笑顔で返すことしか出来なかった。







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