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「ちょっと？！皆、聞いてってば！！シンタロー君が……って、誰もいないの？」

アジトに行ってみると、誰もいない。
因みにシンタロー君は、始終僕にくっついていて、さすがの僕でも鬱陶しいと思ってしまった。(これを本人に行ったら、「お前が言うな」って言われそう。)

とりあえず、大声で駆け込んでもキドが出てこないなぁと思ってたら、まさかの誰もいない状態だった。
ポカンと１人立ち尽くす。

「にぇ〜、カニョ〜おにゃかすいた〜。ご〜は〜ん〜っ！」
「んぐっ///(ズキュンッ)」

ヤバい、可愛すぎる。
あ〜もう、僕の心臓が持たない〜っ！

シンタロー君はお腹がすいて、大分ご立腹なのか、ほっぺをぷくーっと膨らませ、眉間にシワを寄せ、上目遣いでこっちをゆさゆさと揺らしているのだ。
といっても、ニートの腕力では、僕の腕を揺らすだけでも精一杯だけど。

……ってあれ？
なんか、シンタロー君……縮んでない？

しゃがんでシンタロー君と向き合う。
なんか、ヒビヤ君と同じくらい縮んでない？

「ねぇ、シンタロー君……縮んだ？」
「む〜、ご〜は〜ん〜〜……ｸﾞｽｯ」
「あーっ！泣かないで！すぐに準備するから！！」

脳まで幼児化してるのかな？
お腹がすきすぎて、ぐずりだしちゃった。
とりあえず、ご飯あげなきゃな。話も、それからだ。

キッチンにまわって、冷蔵庫の扉を開けようとすると紙が張ってあるのに気付く。
チラリと見てみる。

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カノへ

シンタローの姿に驚いたと思う。
昨夜マリーが誤って、猫になる薬を
ぶっかけてしまった。

お前は寝ていたんだが、シンタロー
がお前の部屋から離れないもんだか
らほっといた。
どうやら、効果は１日らしいからど
うにかしてくれ。俺らだと怖がって
出てこないんだ。よろしく頼む。

P.S.
変なことしようとすんなよ。
生憎、沢山のカメラが設置されてい
るからな。

薬の効果について知りたかったら、
ソファの下に置いておいた。

No.1
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と書いてあった。
この文面と字体から完全にキドだ。

……なぁるほど。そういうことがあったのか。
というか、シンタロー君……僕以外怖がって出てこないなんて……っ！！
可愛すぎるにも程があるでしょっ！

そんなことあったのに、なんで僕は眠ってたんだろ？！
うまくいけば、そんな様子が見られたかもなのに！！

「カニョぉ……まぁだ…？」
「あっ、ちょっと待っててね！」

冷蔵庫を開けると、タッパーが何個かあってそれぞれにメモ書きがあった。
どうやら、キドが魚料理を何個か作っておいてくれたみたいだ。こういうときに、本当にキドは気が回る。

僕は、急いで鯖の味噌煮を取り出すとレンジで軽くあたためなおしてから、シンタロー君に上げた。

「わあっ！」

シンタロー君はキラキラした目でそれを見ると、丁寧にもいただきますと手を合わせてから、モグモグと食べ始めた。
一応箸とか用意したけど、それを使わずに直に顔から突っ込んでいる。
本当に猫みたい。

可愛いなぁ。

というか、彼の今の体じゃこの洋服は大きいみたいで。シャツはワンピースみたいになってるし、ジャージの袖はダボダボ。ズボンとパンツは今は穿いていない。
因みに、さっきシンタロー君がいたところに、落ちている。

まあ、なにはともあれ。
なんとか一段落したなぁ。

一心不乱に食べ続けるシンタロー君を暫く見ていたけど、そういえば、ソファの下に薬の効果についての何かがあるんだったけ？
そっとソファの下に手を入れると、かさりと1枚の紙に手が触れた。
それを取りだし、みてみる。

この字体を見る限り、マリーだな。

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((猫になる薬の効果))

・猫耳としっぽが生えます
・薬が効いてくると身長が縮んできます
が特に問題はありません
・なんでもかんでも素直になります
・好きな人には甘えてきます
・な行が「にゃ、に、にゅ、にぇ、にょ」
となります

((注意))

・食事はなんでもいいですが、魚の方が良
いです。
・考え方は幼児と似た感じになります
・遊んであげたりしないと泣き出します
・トイレなどは自分で出来るので平気です
・効果は１日です
・性行為紛いなことをすると人間に戻れな
くなります

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一通り読み終えて、ふぅ…と息をつく。
なるほどね。そういうことか、変なことをすんなっていうのは。

とりあえずは、１日中僕が面倒をみるのか。

頑張ろう。


続き>>146

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