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Said : シンタロー

午後の昼下がり、オレはある生配信動画がそろそろ始まりそうで、胸を高鳴らせていた。
柄にもなくそわそわと動き、1分ごとに時間をチラチラと確認しているぐらいだった。

ああ、残り5分だ。
楽しみだな、早く始まらないかな。

頭の中が、動画の事で一杯になった頃。

『生きてますかー！！ご主人ー！！』

悪魔はやって来た。

目の覚めるような青が印象的な、２次元の電脳少女、否、エネは画面一杯に手を振りながらオレに話しかけてくる。
ああ、クソッ。
あと、3分で始まるのに……っ！

「なんだよ、エネ。」
『なーんですか、その不機嫌そうな顔は〜！暇なご主人をわざわざこのエネちゃんが、構いに来てるというのに。失礼ですね〜。』
「知らねーよ。」

楽しみにしてた分、少しでも時間をロスしたくないから、早く終わらないかとイライラしてたオレ。ついつい、冷たい態度で話してしまい、エネがブーッと頬を膨らませ、ふてくされてしまっている。

しかし、エネは表情を一変させると、急に偉そうに体をふんぞりかえって話し出す。

『まあ、とりあえずアジトに行きましょ。ご主人。』
「はぁ？嫌だよ。生配信があるんだし。」
『ああ…、これですか。』

エネにしては珍しく、クルリと後ろを振り返ると生配信準備中の動画を見つめた。因みに、残り時間は1分だ。
エネはジーッとそれをしばらく見ると、ちょっと待っててくださいと画面の下へと消えていった。

一体なんだったんだ？と、気にはなったが邪魔なやつもいなくなったし、生配信を見ようと動画を見る。
すると、なんだか見覚えのないメッセージが見えた。

「えっと、"パソコンの調子が悪いので、配信は延期します"……？！」

なんだよこれっ！?
は、延期？！
なんで！！？

そんな感じで、混乱しているとエネがにやけ顔でこちらを見ていて、すぐに理解した。

「は……、まさか、お前…っ！」
『はい、お察しの通り。エネちゃん特性ウィルスでハッキング致しました♪』
「……。」

衝撃のことに言葉を失う。
さすが電脳少女というか、秘蔵フォルダ以外にもそんな方法があったというか、とにかく、呆気にとられてジーッとガン見してしまった。
そんなオレを見て、満足気に笑うとエネは笑顔で繰り返した。

『アジトに行きましょ。ご主人♪』
「……はい。」

こういうときは素直に従った方がいいと思い、素直に頷く。
エネが何故かガッツポーズをするほどに喜んでいたのには、気にはなったけどすぐに忘れてしまった。





―まさか、あんなことが起こるなんて予想もしなかったけど。



続き>>157

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