大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【カゲプロ】カノシンばっかり【シンタロー総受け】 ( No.189 )
日時: 2018/08/06 08:17
名前: デイズ

Said : シンタロー

「今日は皆さんで映画見ましょうよ!」

ある日のアジト。メンバーはキドとカノとセトとマリーはもちろんの事、オレとモモとエネの7人だった。
すぐにマリーとセトは賛成したが、それ以外のオレ達は別にいいと断っていた。
しかし、モモがしつこく言ってくるし、それにモモにしては普通の映画ぽかったので渋々オレらも了承した。早速部屋を暗くして、ブルーレイにDVDをセットした。

どうやら、このお話は本当にあった実話を元にして作られたものらしい。
まだ小学生のうちに少児癌を患い、その病と戦っていく少女のお話だった。
その少女の家族たちの奮闘と、少女にとってとても苦しくて辛い闘病生活を感じさせることなく、笑顔で亡くなってしまうシーンにはとても感動した。
周りからシクシクと啜り泣く声が聞こえる。オレも、目頭が熱い。きっと涙が溜まっているだろうと、指で目元を拭う。

「……あれ?」

違和感があった。
次は指だけじゃなくて手の平で目を包むように触る。やはり、ない……。
呆然としてしまい、そのあとの話の内容が入ってこなかった。

「あ〜、いい話でしたね〜。私、もう涙止まりませんでした。」

モモのそんな声が聞こえ、周りが明るくなる。どうやら終わったらしい。
少しだけ視線を動かして、他のメンバーの顔を見てみる。みんな、目が潤んでいて、泣いていることは明らかだった。

オレだけ……か。

「あれ、シンタロー君泣いてないの?」

気付かれたくなくて、顔を背けてたのにカノが目敏く見つけ言ってしまった。
他の皆の目が向けられる。

「え〜、いい話だったじゃ〜ん。泣いてないなんて、お兄ちゃんひど〜い。」
「そうだな。泣かないなんて、ちょっと人道的にどうなんだ?シンタロー。」
「そんなに悲しくなかったんすかねぇ〜。」
「シンタロー、泣かないなんてスゴいね!」
『ご主人だけ、感覚が違うですかね〜。冷徹ですね〜。』

「あ……、違っ……!」

皆の容赦ない言葉が投げつけられる。まぁ、マリーだけは少しずれてるけど。

違う、違う。
絶対……いや、多分。きっと違う。

泣きたかった。オレだって物凄く感動した。
違うんだ。
"泣かなかった"んじゃなくて、"泣けなかった"んだ。何故か、目頭が熱くなる癖して涙は1つも溢れてこない。今だって、皆の視線と言葉が怖くて、不安なのに……泣きそうなのに出てこない。

「もーっ!皆そうよってたかってシンタロー君を苛めないの!人それぞれ感じることは違うんだから、そうやって責めることはないでしょ!」

そういうカノの声が聞こえて、オレをギュッと抱き締めてきた。人肌の温もりを感じて、なんだか安心してきた。

カノがそういう行動を取ったおかげか、「うわぁ、ラブラブ〜」とか「イチャイチャするなよ〜」とかいう和やかな雰囲気が流れ始める。ピリッとはりつめた空気がいつの間にか和らいでいた。
どんな立場にいても、オレの事、庇ってくれるのか。

嬉しくて、カノの腕をギュッと握り返す。

「ありがとな……。」
「どういたしまして。」

その行動のおかげで、またみんなのいじりが酷くなったけど、さっきほどの不快は感じなかった。



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