大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【カゲプロ】カノシンばっかり【シンタロー総受け】 ( No.191 )
- 日時: 2018/08/10 08:46
- 名前: デイズ
Said : カノ
最初の内は皆急ぎ足だったけども、段々と焦りが生じて足も自然に速くなっていき、いつの間にか駆け出していた。そのおかげで、病院に着いた時にマリーがバテちゃって、セトが付いて取り敢えずソファで休ませることに。
僕とキドはぐるぐると周りを見渡して、キサラギちゃんとエネちゃんを探した。
でも、きっと病室の方にいるだろうって事になって、一旦ここで待つことにした。その間、キドが受付の人に聞いて、病室を聞き出しているっぽかった。
僕らは貧乏揺すりをしたり、そわそわとあっちこっちに目をやったりして落ち着かない気持ちをなんとか押さえようとしていた。
シンタロー君に何が起きたか分からないけど、きっと大丈夫。弱いし引きこもりだしニートだけど、芯の方は強いからきっと、きっと大丈夫。というか、そうであって欲しい。
1秒過ぎるのが遅い。少しずつ時間が進んでいくのをみると、段々不安になっていく。なんで、こんなに長いんだろう。もしかして、悪い事が起きたんじゃ。
有らぬ妄想に捕らわれ、そんなことはないと掻き消しても逆に色濃くなるばかり。
シンタロー君、無事であって。
「病室が分かった。行くぞ。」
キドがそういうと皆立ち上がった。マリーは大丈夫かとキドが聞くと、マリーは「シンタローに比べたら平気!」とやせ我慢をしているぽかった。
キドは「あまり無理はするなよ。」というと、直ぐにエレベーターのボタンを押し、3階のボタンを押した。
3階につくと、受付の近くにキサラギちゃんと黒髪の女の人が座っているのが見えた。キサラギちゃんがその女の人の肩を持っているから、きっと母親なんだろう。
僕らは直ぐに近寄り、キサラギちゃんに声をかける。
「あ、団長さん、カノさん、セトさん、マリーちゃん……。」
キサラギちゃんは僕らに気付き顔を上げた。俯いてたからよくわからなかったけど、顔には涙の痕がくっきりと残っていた。
それに隣の女の人が泣いている。
これだけで十分理解した。
シンタロー君に大変な事が起きたんだって。
キサラギちゃんは、隣の人が母だというと一言二言いって僕らを少し遠くの方へ連れていった。
「キサラギちゃん、一体何があったの。」
僕が聞くと、キサラギちゃんは悲しそうに目を伏せた。また涙が溜まってきているのか、目が潤み始めている。
『……私が代わりに話しましょうか?妹さん。』
キサラギちゃんのポケットからそんな声がして、キサラギちゃんはうん……と小さくいうと、ポケットから自分のスマホを取りだし画面を見せてきた。
そこには、泣いてはいないものの悲しそうな表情をしたエネちゃんがいた。
『……ご主人は、倒れました。それは皆さんが知っていことだと思います。』
静かに淡々と事実だけを告げるような口調。それほどのショックだったのだろうか。
『ただの貧血だと思ったんです。しょっちゅう意識を失うので。でも、今回だけは……少し、違って……』
エネちゃんの声が少し詰まる。言いにくそうに顔を歪めている。
『……ご主人、倒れ方がおかしくて。足から急にガクンッと膝カックンされるように倒れて。しかも、腕を使わないで、顔から正面にぶつかったんです。これには流石に驚いて、直ぐに救急車を呼びました。』
確かに、その倒れ方はおかしい。貧血を起こしても、そんなことはきっと起きない。ふらっとするだろうけども、顔から正面にぶつかるなんて。
エネちゃんは少し視線を逸らす。
『今先程、結果と意識も戻りご主人の様子を見に行ったんです。ご主人は特に何もなくて、元気そうでした。モモ、エネ心配かけてごめんな……って。』
それを聞いて、僕らは少しホッとした。意識は戻っているし、元気そうならそんなに問題はないかもしれない。
安心した空気が流れるが、キサラギちゃんとエネちゃんの表情が暗いままなのは気になった。
『ですが、ご主人はお母様を指差して言ったんです。……あなた、誰ですか?……って』
それを聞いて僕らの空気は凍りつく。
自分の母親にあなた誰ですか?……って、どういうことだろう。
『ご主人、わざとじゃなくて本当にそう言っていて。お母様のことを少しも覚えていないみたいでした。……確認してみたら、メカクシ団のメンバー以外全員忘れています。』
記憶喪失。
それは分かっているけど、なぜ全部を忘れていないのだろう。
なぜ僕らだけは覚えているのだろう。不思議だった。
『宝石涙記憶喪失病……ご主人は、奇病にかかっていました。』
そこの見えない深い穴に落とされたような気分だった。
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