大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.69 )
日時: 2017/12/16 23:06
名前: デイズ

奇病.1『花吐き病』

「キドー、お願い〜。僕に免じてさぁ〜!!」
「うるさいっ、静かにしてろっ!」
「う…っ!」

カノはキドから鳩尾にストレートをくらい、痛みで踞る。
因みに、カノはキドに当番交代について、お願いしていたが断られたらしい。当番は、買い出し。唯一ペアのやつだか、今日はオレとカノなんだ…。

まぁ、オレとカノは付き合ってる。
まだ、モモとエネしか言ってないけど…。

だから、唯一ペアの当番でカノと一緒なんて、天にも昇る心地だ。
だけど、最近カノはこういう感じに必死に誰かと変わろうとしているんだ。勿論、誰も受け付けない。
それはそれで結果的に一緒だから、嬉しいけど……。けど……。

「カノ…、そろそろ行こうぜ。」
「ああ…、うーん……うん。行こっか。」

避けられてる感じがしてるから、微妙な気持ちになる。
今だって目をそらすし。一体何があったんだよ。

前までだったら、手を繋ごうとか手を差し出してきたのに……。
かわいいと言って抱き締めてきたのに……。
オレの顔を穴が空くほど見つめてきたのに……。

今は、ない。
背中を向けたカノ。それを言えないオレ。

悲しい、寂しい、辛い。
こっちを向いてほしい、あのときみたいなカノがいい。

こうなってしまった距離感が、悲しく感じる…。

「……うっ!」

突如、ムカムカとした苦しい胸焼けと込み上げてくる吐き気。
耐えられず、嘔吐する。

「うぇえ…ぉえ…っ」
「シンタロー君…?」

やっとのこと振り向いた彼。
でも、それに構えないほど、異様な吐き気に目の前が滲む。
喉を通る、なんか……感じたことない変な感触。手に触れる感触はべちゃっとした物ではなかった。

不思議に思い、口元につけていた手を外す。
手に広がっていたのは…

「…んだよ…、これ…っ!」

オレが吐いた血に混じる、青赤黄の色とりどりの花弁。
勿論口にしたことの無いものだ。異様な光景に目をとらわれた、オレとカノ。
暫く、呆然と手の上の異物を見つめていた。

「おい、シンタローにカノ。まだ、行ってなかったのか。」

呆れたキドの声が後ろから聞こえた。
こちらに近づく足音が聞こえ、ピタリと真後ろで止まった。

「早く行け。夕飯が…っ?!」

キドが驚き、言葉に一瞬詰まる。
ワンテンポほど遅れて、キドの叫びに似た声が発せられた。

「シッ、シンタローっ!!おまえっ、大丈夫か?!…ちっ、血を吐いて…っ!」

キドはオレの背中を擦りながら、焦った様子で携帯を弄る。
どうやら、病院に電話をかけているみたいだ。

素早く予約を取ると、オレの汚れてしまった手をタオルで拭き、オレを安静にするためリビングに移動させようと手をとる。

「おいっ!カノッ!お前も手伝えっ!!」
「あ…うん。」

カノはハッとした様子で、近づきオレの体を支える。
しかし、適度に体の密着を避けながら。

悲しい。

そう思ったら、また吐き気が込み上げ、貰ったタオルを深紅に染めた。




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