大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.77 )
- 日時: 2017/12/21 06:31
- 名前: デイズ
Said : カノ
「なぁ、カノはいないのか…?」
シンタロー君のそんな声が聞こえた。
キサラギちゃんとエネちゃんに入ることを禁止されてるおかげで、病室の外だけども…。
一瞬、気まずそうな沈黙が起きた。
「ああ、アイツは寝てんだよ。全く、恋人がこうなってんのにってかんじだよなぁ。」
キドの取り繕った声に、もっと付け加えるようにセトがそうっすよね!という声が聞こえた。
あーあ、そんなことしたらシンタロー君、察しちゃうじゃん。
ふと通路に目を向けると、あの医者がこちらに向かっていた。
咄嗟に欺いて、姿を変える。あの医者は訝しげにこちらをチラッと見ると、シンタロー君の病室に入っていった。
きっと、奇病のことについて話すんだろう。
在り来たりな言葉を使って、冷酷に残酷に告げるんだろう。
そう思うと、耐えられない。けども、今の僕には無理だ。
黙って見えない場所で、側にいることしか出来ないんだ。
ほんと、意気地無し。
「花吐き病…?」
首を横に傾け、ポカンとしているシンタロー君の顔が想像できた。
あの医者は、そうですそうです、と啖呵を切ったような口調で話し出す。
淡々と告げられる事実に、シンタロー君の目が段々と見開かれてるだろうな…と想像しながら、近くにいられないことに罪悪感を感じる。
きゅっと胸の奥底が、痛くなってきた。
堪らず胸を押さえる。
「お兄ちゃんっ!?」
「大変だ!!また血を吐いたぞ!」
「花も混じってるっす!」
『はやく!タオルで拭かなければ!!』
急にバタバタと騒ぎ出した。
会話を聞いただけによると、シンタロー君がまた吐いたみたいだ。
はは…、僕たち悲しく思うときも一緒なのかな?
僕も君も、同じように胸が張り裂けそうなのかな…?
でも、僕は花を吐かない。吐けない。
君だけが辛い病気を患ってしまった。
君の痛みを分かったふりをして、慰めるなんて…僕にはとてもじゃないけど出来ない。
辛いんだ。
無理して偽りを演じる、君を見るのが。
「大丈夫ですか…?」
「…へ?」
突然声をかけられて、顔をあげるとそこにいたのは看護婦さん。
心配そうにこちらを伺っている。
「あ、いえ…大丈夫です。ありがとうございます。」
なんとなく顔に触れたら、ヒヤリとした湿ったものに手が触れた。
僕、泣いてたんだ。初めて気づいた。
看護婦さんは、お大事に、と言葉をかけるとシンタロー君の病室に入っていった。
その姿を目で追ったあと、病院をあとにした。
今しばらくは…、無理そうだ。
少しの間、距離をとろう。
それが僕にとっても君にとっても、いい対策だと思うから。
外から、シンタロー君の病室であろう所に目をやる。
きっと、まだ苦しんでいるのだろう。
耐えきれなくなって、顔をそらす。
ごめんね、シンタロー君。また、いつか…ね?
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