大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.79 )
- 日時: 2017/12/26 07:48
- 名前: デイズ
Said : カノ
走る走る走る。
息がきれて、足が縺れても尚も走る…走る…走る…。
そんな僕の頭の中は、シンタロー君でいっぱい。
シンタロー君、シンタロー君…っ!
僕はかっこよくない、強くない…、いざというときにへたれで弱虫で、意気地無しなんだ…。なのに、君はなんで…っ!
そんな僕を…好きでいてくれるの?
どうしてどうしてどうしてどうして
自問自答がぐるぐる頭を回る。それだけで、酔ってしまいそうなくらい。
コノハ君が言った言葉と、シンタロー君の声が重なって、なんともいえない罪悪感が襲う。
そんなんじゃない…
僕は…
君が思うほど……
強くない……。
―ドンッ
「…っあ。すみま、せっ…」
自分だけに頭が一杯になって、周りへの注意が欠けてしまっていた。
他人に、肩から思い切りぶつかってしまった。荒い息を整えて、謝る。
「……カノ?」
「へ…?」
そのぶつかった人から、僕の名前が聞こえた。
驚いて顔を上げると、そこにいたのはセトだった。いつの間に、見舞いが終わっていたのだろう?
「キドと探してたんすよ。病室の外にいなかったから。」
「…はぁ、はぁ…ごめん…心配、させて…はぁ…はぁ…」
肩で大きく息をしながら、なんとか言葉を紡ぐ。
さすがの僕でも、この距離をもうダッシュは体に堪えた。節々から、痛みを帯びていた。
流れていた涙を隠すように、腕を目に押し当てる。
「なんで、そんなに走ってたんすか?珍しいっすね。」
「んーん、なんでもないよ。ただ、なんとなく、走りたかっただけ。」
「なんとなくでそんなもうダッシュするっすかね〜?」
「なんか、そんな気分だったの。」
「泣くほど辛いのに?」
「……。」
どうやら、セトにはお見通しみたいだ。
結局僕が押し黙ってしまう。
セトが顔を覗きこむ。
「どうせ、シンタローさんのことでなんかあったんすよね?」
「……ご名答。」
ピタリと当てられてしまい、気まずくなる。
まっすぐ見つめてくるセトの目を、避けるように目を逸らす。目をあわせると、なんとなくそのまっすぐな目に、眩んじゃいそうだから。
僕がいかにもダーティーだって見据えられそうで。
「まあ、話は聞くっすよ。キドを交えて。」
セトはそう言うと、スマホをポケットから取り出した。
キドに連絡を取るんだろう。
セトは暫くの間、ちょっとした会話を交わすと、通話を切った。
僕の方を向く。
「さ、近くに公園があるらしいっすので。そこにいくっすよ。」
「……うん。」
すたすたと前を歩くセトを、追いかけるように着いていく僕。
先程のダッシュのせいで、足が重い。
そんなのを降りきって、僕は引きずるようにして、無理やり歩みを進めた。
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