大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.86 )
- 日時: 2018/01/13 22:03
- 名前: デイズ
Said : カノ
「カノ…カノ、だよな?」
確認するかのように、何度も僕の名前を繰り返し言う。
その目は、奇跡の再開を果たした親子の如く、きらきらと輝いていた。
僕は呆然と見つめるシンタロー君にちかづく。
でも、そう易々とは近付けてはくれないらしい。
キサラギちゃんが僕より前に進み出て、シンタロー君に掴みかからんばかりの勢いで話しかける。
「お兄ちゃんどうして?!カノさんは…、お兄ちゃんを傷つけて、ズタズタにしたんだよ?こんな病気にもしちゃったんだよ?なのに、なんでそうも嬉しそうなの?意味わかんないよ!!」
キサラギちゃんのそんな言葉が耳に入り、僕は歩みを止める。
僕の心が、またズキズキと痛みだしたのだ。
確かに、僕のせいだと今でも思う。
僕のせいでそうなったなら、キサラギちゃんにそう言われなくても、シンタロー君の傷が癒えるまで、金輪際近づかないつもりだった。
でも、聞いたんだ。
シンタロー君の口からじゃないけど、シンタロー君の口から(あるいは心の声から)聞いた人達から。
コノハ君はシンタロー君が僕のことを、強くてかっこいいと言っていたこと。
セトはシンタロー君が、花を吐く度に僕の名前を呼び必要としていたこと。
シンタロー君はポカンとキサラギちゃんの顔を見ていたが、すぐに可笑しそうに笑いだした。
「おっ…お兄ちゃん…?」
兄を不思議な目で見ているキサラギちゃんを横目に、シンタロー君は笑いを堪えながらキサラギちゃんと向き直る。
「確かに、カノはオレの事を避けてた。その事でオレは深く傷ついたし、愛想つかされたってすっごい悲しくなった。そのおかげで、心ずきずき痛むわ、家帰ったら涙止まらないわって大変だったよ。しかも、悲しくなると花を吐くなんていう、変な病気にもかかっちゃうし……。」
……そんなこと、思ってたんだ。
初めて聞けた気がする。シンタロー君の本音。
キサラギちゃんはしてやったり顔で、こっちを見ている。
別に、キサラギちゃんに味方した訳じゃないけど、それとなく視線を逸らす。
「でも…な。」
静かに、それでも聞こえるぐらいの声で。
シンと場が静まり返る。
「それでも…好きなんだよ。カノの事が1番。オレの事を心配してるって事が分かったんなら、それだけで前のことはよくなっちゃうんだよ。」
静かに微笑みながら、キサラギちゃんに子守唄を歌うように、優しい声音で囁きかけるように言った。
僕が近くにいるからだろうか?
少し、頬に赤みがある。
「なぁ、抱き締めてくれよ。カノ。思いっきり、ギューッてさ?」
そういって、両手をこちらの方に差し出すシンタロー君。
僕は間髪入れず、その体を包み込んだ。
今までゴメンって気持ちと、許してくれてありがとうって気持ちと、そして…
― 僕も大好きだよって気持ちも込めて。
シンタロー君はキサラギちゃんの前では無理に強がったみたいだ。
僕に抱き締められて、体温を感じると安心したのか、泣き出してしまったのだ。
「おせぇんだよ…バカァ…っ!!」
「ごめん、ごめんね?遅くなっちゃって、本当にごめん。」
「悲しかった…辛かったぁ…っ!」
「うん、分かってる。ごめん。」
しゃくりあげながら、僕に言いたかった気持ちを言葉として紡ぐ。
シンタロー君は、ぐすりと鼻を啜りながら、漏れ出す嗚咽を我慢しているようだった。
「ちげぇ、よ…。オレが、聞きたいのは、そんなんじゃ、ない…。」
「……へ?」
「お前の、気持ちが……聞きたい、んだよ。」
「……!!」
そっか、僕ばっかり言わないってのはないもんね。
じゃあ、君からの要望だ。
しっかり、伝えてあげる。
「―僕も、大好きだよ。シンタロー君。」
そう言うと、君が照れたように体を動かした。
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