大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.87 )
- 日時: 2018/01/13 22:40
- 名前: デイズ
Saib : シンタロー
そんな事があって、今でももちろん病気に苦しんでいる。
最近はテレビで共感して悲しくなったとか、思い出して悲しくなったとかでも花を吐くようになった。
血は出なくなったけど、花弁が喉を通り抜ける瞬間は、とてつもない吐き気と嫌悪感に襲われて、泣いてしまう事がほとんどだ。
たまに、そのせいで頭がやられて、無我夢中でそれを振り切ろうとした結果、喉元を掻きむしって引っ掻き傷だらけになったり、転倒したりしてどこかを強く打ち付けたり、深い切り傷をつけてしまったりと怪我をしてしまう事が多かった。
前なんか、窓の外から出ようとしたらしい。
オレには全く記憶が無いんだけどな。
そんなことを、メカクシ団の皆や医師から聞くと、物凄く不安になる。
またすんじゃないかとか、もうすぐ死ぬんじゃないかって。
物凄く、怖くなる。
その時は、アイツがいってくれるんだ。
優しくオレを抱き締めながら、幼子をあやすように優しい声音で「大丈夫だよ。」って。
今日も、何かしら仕出かしてしまったらしい。
花を吐く瞬間気持ちの悪いものが、競り上がってきてるのが分かると、そのあとから記憶がない。
その時見てた景色は、ベットに座ってカノの顔を見てた。
けど、今は割れたガラスと堂々と向き合っている。
割れたガラスは1枚じゃない。廊下に出ていたから、軽く10枚を越えている。丁度オレの目の前にある、ガラスだけべっとりと血がついている。
え…、と思った瞬間右手に走る鋭い痛み。
ちらりと見ると、血がポタポタって感じじゃなくてダーッて感じで溢れてて、オレの足元に血溜まりを作っていた。その円は、少しずつ広がっていた。
傷の状態は出欠量が多すぎて、よく分からない。けど、まだ軽くチクチクするからガラスが食い込んでいるのかもしれない。
チラリと周りを見渡すと、知らない人たちがこっちを見てる。恐怖、好奇、畏怖、疑念、哀れ、悲壮…いろいろな目で。
いやだ…、そんな目で見ないでよ。
こわい…コワイ……。
やだ…いやだ…。
「シンタロー君っ!!」
不意に響くカノの声。
自分を見つめる不振な目を、気にもせず、オレの元へ一目散に駆けてきた。
カノは割れたガラスとオレの右手を見ると、うわ…と声をあげた。
「怪我しちゃってんじゃん。ほら、先生の所に行くよ。」
「でも……血が…。」
「そんなことより、まずは手当てだよ。大丈夫だから。」
カノの大丈夫の言葉に安心して、そのまま素直に着いていった。
オレの担当の医師は焦ったような感じで、手当てをすると暫く安静にするようにと言うと同時に、感動ものの本やテレビを見ないようにと警告した。
先程の自分の病室に戻され、呆然と布団を見つめる。
ただただ不安しかなかった。
垂れた血の片付けに、割れたガラスの修理……そう考えると、どんな費用になるんだろう。
どんだけ、迷惑かけたんだろう。
カノは近くに座っている。
チラリと見やると、気づいたらしくこっちを向いてふっと軽く微笑む。
「どうしたの?」
「……ごめんなさい。」
「なんで謝るの?僕がちゃんと見てないから、シンタロー君にも怪我させちゃったし、僕の方が悪いよ。ごめんね。」
「でも……ガラス、割っちゃって。」
「あれ、大丈夫でしょ。病院にも、少しはあると思うし。そういうけい、税金で賄うんじやなかったっけ?」
「…でも、迷惑……かけちゃって…」
「もー、ちょっとお黙り!」
少し怒ったようにそう言うと、オレの口を手で覆った。
これ以上喋るなって事だ。
「確かに、やっちゃったかもしれないって気持ちはあるだろうけど、今はそんなことより、傷を治す方を先決しないと。心配しなくても、大丈夫だから。」
そう言われると、謎に安心する。
「……ギューって…してほしい。」
「いーよ。」
カノはそう言うと、オレの手の怪我を気遣いながら、優しく抱き締めた。
カノの体温と感触が服越しに伝わって、少しドキドキする。
そう思ってたら、カノが少し体を離し、顎を掴むとチュッと軽く唇を重ねた。
「これは、罰ね。ごめんなさいって言った罰。分かった?」
「……うん。」
頬が火照るのが分かる。
なんとなく恥ずかしくて目をそらすと、クスリと笑われる。
こんな感じで、いつでもいてくれる。
それがたとえ、オレへの罪滅ぼしだとしても、側にいてくれるだけで嬉しい
いま、奇病患っている。
それでも、カノがついてるから、この病気も治っちゃう。
そんな気がするんだ。
「…カノ。」
「なーに?」
「もっかい、キス…」
「……!!」
「…ダメ?」
「ぜっ、全然いいよ!」
少し頬を紅潮させながらも、カノは了承してくれた。
顎をまた持ち上げると、チュッと唇を重ねる。先程より、長い時間触れていた。
離れたとき、惜しい気持ちもあったが、なんとなく恥ずかしいからこれでよかったという気持ちもあった。
「えへへ…」
「どうしたの?シンタロー君。」
「オレ、今幸せだわ。」
「よかった。」
2人とも、笑いあう。
ほんと、幸せ。
ほんと、"夢"みたいだ…。
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