大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: シンタロー総受け【カノシン・R18多め】 ( No.89 )
- 日時: 2018/01/13 22:38
- 名前: デイズ
Said : セト
途中まで盗んで、不意に悲しくなってやめてしまう。
目の熱がなくなったとたん、頬に伝う冷たい何かに気付く。
泣いていた。
いつの間にか。
チラリとシンタローさんに目を向ける。
彼は見るも無残な姿になってしまっていた。
彼の体の至る所から伸びる痛々しい管の数々、その部屋の中に無機質な電子音だけが、彼が生きていると証明してくれる。
何故、こうなったのか…。
説明すると長くなる。
シンタローさんがこうなった要因は、言うまでもない。カノだ。
カノの"死"が、大きく関わっているんだ。
カノは、吐いたんだ。
大きく"吐血"して。
それは、任務中に起きた事だった。
カノは、シンタローさんと少し悪い雰囲気が流れていた。2人とも、何らかの事情で話をしていない状況で、互いに気まずいせいで避けあっていた。
その時、だった。
カノが相手に捕まったのは。
カノが後ろから襲われ、3人係りでおさえ込められた。
そして、口に入れられたんだ。
何らかの毒物を。
必死に抵抗したみたいだけど、無理やり口を開けさせられ入れ込められた。
カノは一瞬大きく目を見開くと、苦しそうにもがいたのち嘔吐した。最初は、胃液で溶かされたであろう、据えた臭いのする何かを吐いていたけど、吐くだけ吐くと次は血を吐き出した。
そのあとだった。
不思議なことが起きたのは。
カノの吐く血の中にカラフルな何かが入ってるのが分かったんだ。
何かは分からなかった。ただ、カラフルな何か。
カノは吐くだけ吐くと、ぐったりと血の気のない顔で、倒れこんだ。
相手はそれを見受けると、笑いながらどっかへと去っていった。
俺たちは、カノに近づき脈を取ったり、心臓マッサージをしたり、人工呼吸をしたりするなど、応急措置を施したが、カノの心臓が動き出すことはなかった。
死んだんだ。
カノ。
それが分かった後、俺とキドが中心となって他の奴等を、抹殺しにいった。
でも、シンタローさんだけがカノの側を離れなかった。
なんとなく、危うい気がしていたけど、こう言うときにそういう勘が当たってしまうものだった。
抹殺し終え、みんなでカノを葬ろう。
と、話をしている最中だった。
シンタローさんが、発狂しながら近くの窓を、開けずに突き破って飛び降りたんだ。
最悪命は失わなかったが、あたりどころが悪く、植物状態となってしまった。
未だに目を覚ますことはない。
「セト…どうだ?」
キドがそう聞く。
俺は、流れた涙を拭いながら話しかける。
「まだ、覚めないっすよ。夢の中で、カノとの幸せな夢を見てるっす。当分、この状態だと思うっす。」
「そうか……。」
本当に幸せそうだ。
夢の中ではだけども……。
シンタローさんは、現実を受け入れたくないと言う気持ちが、この夢でよく伝わってくる。
カノが吐いた場面と自分に何も出来なかった罪悪感か、"花吐き病"という奇病を患ったことになっている。
カノの口からでた、謎のカラフルな何かは花弁と認識したようだ。
また、所々この出来事に反映して起こったであろうことがチラチラと見え隠れする。
本当に、辛かったんだな。
「シンタローは、今、幸せか?」
「ええ…、今は……っすけどね。」
「……なら、もうこのままでいいんじゃないか。」
悲しみの籠った声でキドは言う。
その後、一応カノも病院に連れていったが、結果はおんなじだった。
そんな辛い現実を突きつけるよりかは、今の幸せなままにしといた方がいいとキドは思ったんだろう。
それは、俺も思う。
「…よくないけど、いい気はするっす。」
もう一度シンタローさんの心を盗む。
とても、充実しているようだ。
なら、このままでいいと思う。
「シンタローに会えなくなるが、そこは、我慢しようか。」
「……っすね。」
2人で暫く病室にいたが、面会時刻を過ぎたので病室をでる。
お幸せにっす。シンタローさん。
…そして、
「さようなら。」
小さく呟いた言葉は、空気のなかに溶け込んで消えていった。
((E N D))