大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- ココロコイシ:1 ※鬱注意 ( No.2 )
- 日時: 2017/08/09 14:49
- 名前: 八咫烏−やたのからす−
気が変わったのでR18G、まぁシリアス物です。
※鬱系です
※グロいしシリアスだしBadEndで救いようが無い
※仕事の狭間に書き溜めていたもの
※ごちゃごちゃである意味推理小説
【ココロコイシ】
ーーーーー
「嗚呼、又……離れていっちゃうの」
誰人として居ない、その真っ暗な闇の空間。
地を這うように。空を駆けるように。或いは……時間を飛ばす、ように。
確かにその声は誰主のモノかも憶測も付かないし恐怖の念と云えた。
その何かに怯えて上手く声が出せず、震える絞り出した声は声量が僅かに過ぎないのに、この空間を奪い、あまねく響いたのだ。
あなたは、それに怯えてこの悪夢(ナイトメア)から逃れようと試みる……。
***
今日も悪夢。
私はこいし。覚妖怪の“アイデンティティー”を自ら棄てた可哀想なパラノイア。
私は周りから視えないらしい。何もかもを“無いもの”にされた無の存在。
かく、してそれは無意識を求めた“ハルトマン”の由来から訪れる。彼は外の世界(現実)で活躍した心理学者、みたいな立ち位置であったらしい。
私は……それに憧れ、“無意識”を手に入れたのかしら。
果たして、それを考える毎日は悪夢であろうか。
誰にも気付かれず……それは、実の姉にも、従者(ペット)でさえも騙すそのおぞましき能力(ちから)を暴発させてしまう。
常に暴走しているその能力を留めるのは彼女には難しく、彼女は既に無意識に潜んだ無意識故の無意識の存在と化していた。
『無意識』を使い、彼女は無意識の内に彼女以外の意識を操る。意識の内の無意識に滑り込み、彼女を認識させぬよう……或いはふとした瞬間に忘れてしまうよう……仕向けている、のだ。
その最もなる被害者はこいし。無意識を無意識だと思わぬ憐れで愚かな愚考を持ってしまった。
「………アーあ」
ほら。
今日も又、彼女は光を宿さず、昏い希望を持って歩く。
あんぐりと口を開けて、だらしなく意味のない言の葉を漏らす。
眼は虚ろで何も捉えぬ。捕らえやしなくて、捉えもしない。何を見ているのか、さっぱりだった。
顔には何も塗られていない。
何の面も被っていない。
表情が無くて。常に何かに放心して絶望した様な怯えた顔をしていた。
してまた、彼女には全てが暗く悪夢の様にぐるぐると渦巻いた世界が見えていたのだ。
ーーーーーーーーーあの日、から。
***
「おねえ、ちゃん?お姉ちゃん。……お姉..ちゃん」
「タス、ケ、テ……よ」
彼女は目を覚ました。
その、忌まわしくて愛しくて堪らない妹の声を最後に。
彼女は酷く汗をかいていた。私は何だったっけ。さっきから自分の事を……。
ーーー自分のこと、を。
目も当てられないぐらいの、鮮血。
泣き叫ぶ、理解を求める、憂いを帯びた声。
自分を求めているのに……、自分はそれに答えられず、見放す。突き放した。
『 なんてことを 』
今の今まで、ずっと片隅に置かれていた記憶がフラッシュして止まない。
一定のキープを持ち、場面が終わればまた同じ場面が再生される。
それはまるで……、そう、ね。
バグッた映画なんかを観ている気分だった。そう、正に苛立ちで最悪最低。
「……り様。さとり様」
「…………ぇ、ええ、どうしたのお燐」
「最近ボーッと……。何かありました、か?」
問いに何も答えない。
私はただ、口をつぐんでいるしか無かった。
今更、あの子を恨んでるなんて言ったって、お燐は笑うだけ。
憐れみの目を向けて、嘲笑うだけ……。
そう、ね。私の名前はさとり、だったのね。そしてこいしの姉。
下を向いて目を瞑り、ジッとしていれば、お燐は痺れを切らしたらしく私の部屋から出て行った。
その際に見える本音は恐ろしくて脳に焼き付けることさえ出来ない!!
ああ何て愚かなの?
そして誰も……誰も彼も、居なくなってしまう。
私を疎い、忌して……私から離れて行ってしまうのだわ。
だから…あの子が、私“達”の『一つの器』に気付いて、それを壊すのを恐れた…。
ーーーーー『さとり様は何時も何かに悩んでいる。そしてそれを誰にも言わない』ーーーーー