大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- パッと思い付いたやつ。 1【レイマリ】 ( No.4 )
- 日時: 2017/10/07 14:10
- 名前: 狐憑き
霊夢が死んだ。その知らせが届いたのは、遊びに行く数十分前のこと。
死因は単純明快、老化。
霊夢はどんどん歳を重ねて、一人前の女に成っていくのに。
私は、いつまでも子供だった。
それもそう。
本物の魔法使いになった、いや、魔法遣いになったから。
この幻想郷では、人間が妖怪になることは禁じられている。
私は禁断の果実を食べきってしまった。
「れ、イム...何で」
息も絶え絶えに、襖を開けると霊夢は既にこときれていた。
無駄に達筆な置き紙が机の上にあった。内容はありきたりな遺書。
死ぬことを、知っていたのだろう。
『......あんたが妖怪にならなかったら、同じ様に死ねたのにね』
そういうみたいに、霊夢は私に背を向ける形で横向きになって、眠ってるみたいに目を瞑っていた。
回り込むと安らかな表情を浮かべていた。
黒くて澄んだ、真ん丸い瞳は最後に覗くことすらできなかった。
「ぁ、魔理沙さん...」
「よう、巫女さんよ。...霊夢も死んじゃったな、咲夜も、早苗も死んじまった。残るは私だけだ」
自虐に近い呟き。
せっせと働く、霊夢に似た新しい巫女。
だが怠け者でなくしっかり者。華扇は気に入ってるらしいが、私は...どうも、落ち着かない。
「私は、幸せな霊夢を見れてよかったぜ」
なんて、泣きそうなのを抑えて微笑む。
新しい巫女はふわふわとした、何処か悲しげな笑みを浮かべてみせた。
「私は、...哀しいですよ。これ、魔理沙さんにって、ね」
そう言って、巫女は三枚の封筒を私に渡した。
- パッと思い付いたやつ。 2【レイマリ】 ( No.5 )
- 日時: 2017/10/07 14:31
- 名前: 狐憑き
家に帰って例の封筒を破り開けた。
一つは私宛だったが、残りの二つは早苗と咲夜に向けたものだった。
...神奈子とレミリアにでも渡しておくか?
そう思いながら、私は中に封じられていた手紙に目を落とす。
『親愛なる魔理沙へ。
あんたはいつも頑張ってた。
気付いてないふり、してたけど。
ね、妖怪になったのはどうして?』
『私は一緒に、死にたかった。
だって、安心するでしょう。
ごめんなさい』
......??
もうひたすらに、意味が分からない。
ごめんなさいって、なんだよ。
とかって思ってたら、くしゃくしゃでぐじゅぐじゅの紙がひとつ、あった。
どうやら続きらしい。
『あんたが、命懸けで異変解決してたの。
気付かなかった。
大切にしてたものって、いつか手離さなきゃならないのね』
『p.s
私はもうすぐ死ぬ。
どうしてか、...ずっと教えてくれなかったわね?
妖怪になったこと。
そこまで努力を重ねなくたって、私は好きだったのに』
......一枚、一枚、文字の筆形が違う。
書いた時期がバラバラだったのか。
くしゃ。
何かの落ちる音。
振り返ると、そこにはもうひとつの封筒。
...――魔理沙へ
中身をチラリと覗けば、感謝と謝罪ばかりの手紙と、今までの新聞が切り取られて押し込まれていた。
カチッ。
「――んなもので良いか」
もう何度目のビデオ。
使わなくなって、埃を被ったビデオが何本も連なっている。
私が死んだら、いや、死ぬから、決定的で、絶対的な...ビデオ。
辺りにはいつかの封筒が落ちていて。二人宛の封筒は、瞬間移動魔法でついさっき送った。
「異変なんてな。...今までは解決側だったのに」
嗚呼、私はもう死ぬんだ。あの、巫女に退治されて。
空が黒く染まった。雨がザーザー降りの、生憎な天気だった。
- パッと思い付いたやつ。 3【レイマリ】 ( No.6 )
- 日時: 2017/10/07 14:42
- 名前: 狐憑き
チーン、...。
悲しい音。
魔理沙が死んだ。
死にたいって、願うなんて。
外は命日のようにザーザー降りで、レミリア達が来れないからと、紅魔館で葬式をすることになった。
「全く、最期まで掴めなくって、憎らしくて、でも、面白い奴」
誰にも見えない、掴めない、透明な体でぼやく。
正面を見ると魔理沙は、立って其所に居た。
ふうん、もう、此方に来たんだ。
「久し振り、霊夢」
「馬鹿。私の分まで生きてほしかった。でもこんな状況じゃ言ってられないわね」
「此処に来る前に阿求の方に行ったんだけど、私の起こした異変は結構スケールが大きかったらしくて...。史実に刻まれたぜ」
「...刻まれたぜ、じゃあないわよ、全く。でも、中々踏み切ったことしてくれたわね。私の子供も苦戦した様子だったし」
「あ?まぁな、殺してくれなんていう異変主は居ないし」
相変わらず。
馬鹿。
――――――――――END.