大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 文スト BL、R18有 乱歩受け中心 コメ、リク募集中! ( No.42 )
- 日時: 2018/07/15 14:35
- 名前: 皇 翡翠
KISSFRIEND PLAYBOY(乙) 太宰×乱歩+モブ女性
「乱歩さん、好きです」
出会い頭に一言。
おはようの科白の代わりに告白宣言。
「……莫迦じゃないの」
乱歩さんはすっかり私の発言に動揺もせずに冷たい視線を送るだけとなってしまった。
「頭でも打った?僕はそんな毎日軽い告白をされたぐらいで落とされる程単純な人間じゃないよ。そのめげない姿勢には少しだけ驚きを見せてもいいとは思うけれど、その驚きも最速呆れに変わってしまう」
「じゃあ、如何したら乱歩さんは好いてくれますか?」
私は朝から一体何をしているんだ、と不意に正気に戻りながらも目の前の男に迫る。
「まともに僕を見てくれている人かな」
「私は乱歩さんを見ていますよ」
「何処を観ているんだい」
最後に溜息を付いて…そのまま乱歩さんは先に姿を消してしまった。
彼は単純な人では無いのは既に判っていた。だって、私が告白したら大抵の人は直ぐに了承して直ぐにお付き合いが始まるというのに、彼はそれに応じないのだ。
「……好き、ねぇ」
自分ではまだ判っていなかった。
いつの間にか彼に本気で惹かれていっていることを。
「手に入れたいなぁ」
- Re: 文スト BL、R18有 乱歩受け中心 コメ、リク募集中! ( No.43 )
- 日時: 2018/08/18 17:46
- 名前: 皇 翡翠
雨の日。
大きな雨粒が地面を叩きつけていき、私の行く手を阻んでいく。
仕事終わりに外に出たら、先ずは雨がお出迎えをしており、朝だというのに日の光りなど全く私の身体に当たる事も無い。
「…しまったな」
傘が手元には無いのでこのままでは帰れない。
ーーー仕事先に借りてもいいけれど。
現金な彼等が無償で貸してくれるとも思えない。あまり店内の人に貸事をしたくは無い。
とすれば、後は濡れて帰るしか手段は無い。
「……あれ、太宰」
「ーーー?」
何処からか私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。店の客が待ち伏せしていたのだろうか。
警戒しながらも辺りを見渡すと、大通りを挟んだ向かい側に私を見てくる人がいた。雨傘を利用している人々の中に、一人。
「乱歩さん、なんでこんなところに…」
「ーーーーーーーっ」
流石に道路を挟んだ向かい側での会話をするには難しい。乱歩さんもそれに直ぐに気付いてこちらに近づいてきた。
しかし、私としても乱歩さんに仕事場を見つかるのはあまり喜ばしくは無い。大きな声では云えない職業だと思っているので、取り敢えず並びのコンビニまで移動する。
「如何してこの辺りに居るんですか?家からは遠いのに…」
こんな早朝からお出かけとは。
でも乱歩さんの眼は覚醒しているとは云えず、大きな欠伸を見せてから答えをもらった。
「昨日は夜中まで仕事が残っていて…そのまま近くの宿で一泊して…ふぁ…これから帰るところ」
「朝帰りですか」
「厭な云い方しないでくれるかい。君とは違うんだから」
乱歩さんは私に少しだけ傘を向けてくれたが、それでは乱歩さんの肩が少し濡れてしまっている。それに何時までも立ち寄らないコンビニにお邪魔になるのは少し気が引ける。
「太宰はこれから帰るつもり?」
「ええ、そうです」
「君は此処らへんで仕事をしていたんだね。成程、確かにここらへんは夜もお店が盛んだから眠らない夜の街だもんね」
「……乱歩さんは気付いているんですか」
私の職業もきっと大方知られているんだろうか。
「何が?」
彼は敢えて口にはしないけれども、きっと彼には見透かされている。部屋に一度入った時にもしかしたら見られているのかもしれない。
「それで入るの?入らないの?」
「―――え?」
「傘、持っていないんでしょ。僕も一人分しか持っていないけれど、太宰が持ってくれるなら入れてあげても構わないけれど」
乱歩はこちらから視線を外しながら誘ってくれた。
私としてこの誘いを断るわけが無い。てっきり嫌われでもしていたか、とも考えていたがそういう訳では無いらしい。
本当はコンビニに入れば傘を購入するなど容易いことだけれども。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「それじゃあ、はい持って。絶対濡れない様にしてよ」
乱歩さんは乱暴に既に開かれている傘を渡してくる。
ここで紳士度が試されるわけだ。
勿論、私としては乱歩さんを濡らしてしまう訳にはいかず。一人分の傘に成人男性二人が無理矢理入り込んでしまえばどちらかが妥協をしなければならない。借りている身分としては乱歩さんを第一に考えて対処する。
「それじゃあ、帰りましょうか」
「うん」
そうして二人は足並み揃える。二人で並んで彼をここから連れてくる。
「…乱歩さんは気付いているんですよね」
「何が」
「私の職業を」
「ああ、そういうことか。君のその雰囲気―――スーツ姿にきつめの香水。部屋にも仕事関係の欠片は見受けられたから容易に想像出来たよ。朝に帰ってくるんだから大抵その類いの仕事だろうとは判っていたよ」
「矢張りあの時、大方見られていましたか。乱歩さんは本当に観察力が優れていて、驚きますよ」
家に招いた時、彼の眼の動きは尋常では無かった。
「まぁ、君の職業を知ったところで何かが変わるわけじゃないけど」
「嫌われたくは無いですけれど、出来れば好かれたいものですね」
「…だったら、その気持ちを変える努力をするのは太宰次第だろうね」
それを云われてしまえば、こちらとしてはこれ以上攻める手立てが無くなってしまった。彼は、いい意味でも悪い意味でも私を見る目が変わってはいない。これでは…落とせない。
「難しいですね」
思わず本音が雨と共に零れ落ちる。それが乱歩には聞こえてはいなかったらしく、傘の上に落ちる雨を見ては不満を零していた。彼はあまり雨が好きでは無いらしい。自由な動きを取ることが出来ないからだという。それは判らなくも無いかもしれない。
「でも、こうして二人雨の街を歩いてみるのは意外と面白いですよね」
「そうだね」
乱歩さんから真逆回答が来るとは思いもしなかった。それも予想外な程に好印象な回答。
「ふふっ」
「何を笑っているんだ」
顔が綻んでしまった。
本人が自分の発言をあまり重視していないのだから、きっと彼としても無意識な発言であり、だからこそそれは本音そのものに違いない。
そうこう会話をしていれば、何時の間にか自宅前にまで到着しており、その頃には雨雲も途切れ途切れとなっていた。
傘を閉じて、乱歩さんにそれを渡す。
「太宰、肩と頭。濡れちゃっている」
流石に乱歩さんを濡れさせない様に努力していれば外側の肩はすっかり濡れてしまった。
「ああ、洗濯をしますから大丈夫ですよ。それに乱歩さんが一緒に入れてくれたことで肩と頭が少しだけで済みましたよ」
「………」
「相合傘、楽しかったですね」
怒られるのではないか、と判りながらも云ってみる。
「………」
しかし、彼は何も反応をみせはしない。黙って、下を向いている。
「…そ、の。風邪とか引かないよね」
「そんなに濡れていないですから大丈夫ですよ」
そんなに肩や頭が濡れている事が気になっているのだろうか。バツの悪そうな表情になっているが、むしろ乱歩さんは傘を貸してくれたのだから感謝するのはこちら側だ。
「でも、太宰の仕事はきっと身体が大事なんだろう」
「いや…まぁ、顔さえあればいいんですよ」
「それでも…」
乱歩さんは顔をあげた。
「…そんなに心配してくれるなら、何かしてくれるんですか?」
少し調子に乗ってしまった。彼があんまりにも気にしてくれるものだから、乱歩さんが何をしてくれるのかと反応を確かめてしまいたくなってしまった。
「だったら、家にでも来る?シャワーぐらいなら貸してあげる」
「いえ……」
隣の家なのだから、それは流れとしてあまりにも不自然だ。近くに家があるから、寄って行かない?なんて口説き文句も何度か訊かされたことがある。常套句なんだろうか。しかし、私と乱歩さんの間には壁一枚挟んでいるのだから、その誘いは…
「じゃあ、お願いします」
乱歩さんが誘ってくれる機会など滅多に無い出来事だ。これを無下にするなど理由が無い。本当は仕事終わりで眠気が襲ってきてはいるけれど、了承した時の彼の子供じみた笑顔を見せられてしまえば幾分か我慢できるものだ。こうして普通に話していると、何処かずれたところを見え隠れさせている乱歩さんだが、それが愛おしく見えてくる。何かの魔法だろうか。
「少し汚いけど、気にしないでね」
「気にしないで、すよ」
気にしはしない。そう云ってはみたものの、扉を開けた先に短い廊下がお出迎えをしており、確かに自分の家の間取りと同じ筈なのに、それでも乱歩さんの家は言葉通り汚いものだった。不潔というよりも、散らかっている。私の家とは全く別物であり、テーブルと椅子が背中合わせになっている。
「シャワーはこっち…なんて云わなくても判るよね。まぁ、なんでもいいから風呂場にあるものは」
乱歩さんは帽子を取り、床にうつ伏せになって私を自由にしている。
「それじゃあ、お借りします」
一言添えて、馴れた手つきでシャワーを使用していく。
服を簡潔に脱いでしまったが、あれは元々客から貰ったものだから皺になったところで悲しみはしない。
「…ふっ、あひるだ」
風呂場の端には手のひらサイズの黄色いあひるが居る。乱歩さんはこれで遊んでいるのだろうか。意外でも何でもない。らしいの一言だ。
頭の冷えをお湯で温めていく。
その後、必要なタオルを借りなければ…と、思っている時だった。彼にその思いが届いていたのか、現れた。更衣室。更衣室と自分で称してはいたが、ここは洗面所やトイレなどの通路になっている。
乱歩さんがまさにタオルを持って入ってきていたのだ。
「あ、タオル」
ほら、と乱暴に渡された。
それが以外は特に無し。彼は全裸の状態の私に対して何も恥じらう事無く、タオルを渡して直ぐに姿を消してしまった。
―――まぁ、恥じらわれても困るか。
同姓なのだから裸を見たぐらいで騒ぐわけも無いか。
今迄の女性の反応を期待してしまっていたから、唖然としてしまった。
私はその後乱歩さんから借りたタオルを使用して、再び衣服を着替えてお礼を云う。
「有り難うございました。……て、乱歩さん?」
「……そっか」
「―――?」
乱歩さんはなぜか壁に向いて体育座りをしている。壁を向いて膝を抱えているけれど、彼は一体何をしているのだろうか。
不思議に思い、近づいていく。
とんとん、と背後から彼の手に置く。すると、びくりっと肩が上にあがり、珍妙な動きを見せた。その反動を持って乱歩さんはこちらに振り向くと、それはそれは真っ赤だった。
「…どうしたんですか?」
「どうもしていない!」
どうもしていない?
それにしても乱歩さんの顔は赤く染まり、目はぱちりと見開いていた。
「顔が赤いですけど…」
「ちょ、ちょっと離れて」
両手をこちらに差し出され、壁を作られた。
乱歩さんは顔を逸らしてしまい、何か私に原因があるのではないかと直ぐに気付いた。
「…あれ、私なにか匂いますか?」
「そうじゃないけど…」
「それじゃあ、何ですか。何か嫌われるようなことを私はしましたか?」
「ち、がうけど…」
どんどんしどろもどろになっていく乱歩さん。
私はそんな彼にむしろどんどん近づいて行って、彼に真意を問いただしていく。乱歩さんも決して口に出してしまわないと頑なになっているので、私はそれを上回る意地を見せて半ば無理矢理、手首を掴んでこちらに身体を半回転させた。
「わ、判ったから!」
乱歩さんは漸く観念して、白状すると云うので、私もその条件に合わせて手首から離れる。
「…笑わないでよ。ちょっと…緊張した…というか」
矢張り彼はしどろもどろで、こちらを見向きはしていないが、横に顔を向けているので耳まで赤いのが散切り髪の毛の合間から見えた。
「ちょっと…君のこと…を見て、照れた、というか」
「照れた……」
乱歩さん、それは―――少し期待してしまいますよ。
何時も飄々として告白にすら動じていなかった彼が、此処に来て変化を見せた。
「乱歩さん、こっちを見てください」
「厭…いいよ」
「乱歩さん」
何時もより低音を出し…彼の両頬に手を置いて、真正面に向かせる。
「別に、僕よりも体格がいいから驚いただけで…深い意味は無いよ。別に好きじゃない。太宰なんか好きじゃないから」
「そんなに云い聞かせなくてもいいじゃないですか」
何度も好きじゃない…なんて連呼して。まるで自分に云い聞かせている。でもきっと気づいている筈だろう。
「好きなら好きでいいじゃないですか」
向かい合わせに並んでいると、互いの匂いが入り混じっている気がした。否、私の匂いが乱歩さんの匂いに塗り重ねられているのだ。
だからだろうか。境界線が薄れて…消えて、境が見えなくなり、そのまま私は乱歩さんに近づいて。
キスをした。