大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 文スト BL、R18有 乱歩受け中心 太中も ( No.72 )
日時: 2019/12/03 15:15
名前: 皇 翡翠

ひきこもり人生(ポオ乱)/濡れ場あり


「乱歩さん、お電話です。なんでもポオさんの件でお話があるということですが」
「拒否しておいて!」

 ああ、まただ。
 またあの男関連のことで探偵社に電話がやってきた。今日が初めての経験では無く、もううんざりするぐらいに鳴り続けている。
 今、あの男は引きこもりと称される類のもので、彼の数少ない友人や親戚との連絡も途絶えさせている。
 そんな彼等が僕を友人だと誤認して探偵社へと連絡をしてくることが多くなったのだ。確かに僕は彼の所在を知っているが、そこで僕が親切に教えたら、今度はもっと面倒事に巻き込まれるのが目に見えている。そんな仲介役を担うのは僕の役目では無いんだけれども。
 僕が欠伸を一つ溢すと、

「乱歩さん、またお電話です。ポオさんの知人と名乗る方が乱歩さんにお聞きしたい事があるという要件ですが」
「拒否!」

 流石にこう何度も電話をされてしまったら溜まったもんじゃない。
 僕は大きく溜息を真下に落として、重い腰をあげる。











 トントンッ

 規則正しい物音を作り、何度も扉を叩いていく。
 結局、彼の元へと来てしまった。

「……ら、乱歩君であるか」

 扉の隙間から姿よりも先に声が現れた。姿を見せる事に抵抗があるのか、決して全開にならない扉を見て、僕は苛立ちが募って行き、思い切りドアノブを握って開いていく。

「お邪魔するよ!」
「あ、ああ…乱歩君!」

 外から見た中の部屋はとても電球が稼働しておらず、変わりに分厚いカーテンがしっかりと太陽の光を遮断して、真っ暗な空間を作り出している。そんな場所に遠慮無く足を踏み入れていく。後ろからおどおどしている彼のことを無視して、僕が先に口にした。

「君の知人らから沢山電話が来るんだけれど!もういい加減連絡でもしてあげたら?」

 本来なら僕がこうして誰かに積極的に指示をしていくなんてしないんだけれども、この男はどうにも引っ込み思案なところがあって、僕はその考えが理解出来ない。

「そ、それはすまない…。つい先日に乱歩君の話をしたから…それで、彼等も君の元へと電話をしたのかもしれない」

 頭の旋毛をこちらに向けて深々と謝罪をしている。うーん、別に謝罪を要求していた訳では無いんだけれども、それでも頭を下げられてしまえばまともに会話も出来ない。

「如何してそんな引きこもりになってしまったの?それも、こんなに暗い部屋に住み込んで」

 僕は勢いよく両サイドのカーテンを左右に束ねて、綺麗な太陽の光を部屋に入れていく。
 頭を下げていた彼も、部屋に異常が舞い込んできた事で慌てて顔を両手で隠す。

「…ら、乱歩君は私を心配してくれないのであるか?」
「心配?」

 僕はそこで一息つき、両手で隠している彼の姿を見てから再び口を開く。

「心配だからこうして君の様子を見て文句を云っているんじゃないか。僕がこんな辺鄙な場所に建てられたオンボロなアパートに顔を出すなんて滅多に無いから光栄に思った方がいい!」

 僕はただ当たり前の事を云っただけだ。何も感じなければ彼個人の将来について僕が口出しする事も無い。彼の所在を知っているならいっそ住所全て晒してさっさと引き取ってもらおうと考える。それでも僕がわざわざ出向いてあげたのだが―――どうやら彼は両手こそ下げられたが、あまり感謝も光栄にも思ってもくれていないみたいだ。
 この場所を知っているのは僕だけであるという優越感に浸りたいのかもしれないけれど。

「そ、か。そうか」

 彼は心なしか薄い笑みを浮かべて見せた。少しだけ元気が出てきたのだろうか。矢張り人間はどんなに真夏だろうと真冬だろうと外へ出て太陽の光を浴びなければ心も沈んでいってしまうんだ。

「ありがとう、乱歩君。わざわざこんなところにまでやって来てくれて…矢張り、我輩は君が好きだ」
「―――?それじゃあ、僕はもう帰るから。ちゃんと米国へ連絡は済ませておくといいよ」

 ほとんど顔を拝見するだけの仕事になってしまったが、この後は辺りを軽く歩いて何か真新しいものでもないかと探してみようかと考えていた。
 彼はそんな僕の背後から服の裾を大胆に引っ張り、体勢を崩してきた。

「ちょっとっ!」
「我輩は乱歩君が居ればきっとこの先も明るい太陽の元でも生活出来るかもしれない」
「そんな事ないと思うけど」
「…乱歩君が一緒にいてくれれば、連絡をきちんとする。これでどうか?」

 急に何かを天秤にかけられた。当初は彼が何の話をしているのか全く理解出来なかったのだが、僕はすっかり彼の身体の中に入り込まれてしまい、抱き締められてしまっていた。

「そんな一緒になんて…っ!如何いう意味で云っているんだ!」
「こういう意味」
「―――んんっ!?」

 次の瞬間、彼が僕の顎に触って顔を近づけてきた。そして、そのまま口を塞がれてキスされた。抵抗を見せてみるが、大きな手はしっかりと僕の顔を固定して息を止められてどんどん苦しくなっていく。
 だが、それは相手も同じことだ。何度も同じ角度でキスをされれば、そのうち彼も息が乱れて、やがて離される。
 しかし、これで終わりとはとても思えなかった。明るい太陽に照らされた彼の顔は先程の笑みと似ている様で、少し欲にまみれていた。

「な、にすんの!」

 口の端に伝い掛けていた涎を手で拭いながら云う。

「乱歩君が我輩を嫌っているのならこれ以上は何もしない。だが、もし少しでも…我輩に好意を抱いてくれているのなら、君を我輩へ分けてくれないか」
「分ける…って…」

 わける、なんて人間の構造から無理だ。人は分身も出来ければばらばらに物理的に分けるのは無理だ。まあ、死を覚悟しろという隠喩であったのならそれは僕は今すぐに彼の元を離れて知人へ住所でも何でも晒してしまうが。
 彼をここで突き放すのは何か違う気がした。寂しそうに見える彼の姿を見て、過去のどうしようも無くなっていた自分を見ている様にも見えたのだ―――父上も母上も失って、頼る当ても無かったあの時の自分だ。

「嫌い…じゃない。嫌いじゃないけれど、僕の一部を君にあげるなんて無理。だって僕はこの五体があって、初めて名探偵なんだから!」
「……えーと…」
「だから、せめて一日の少しを君にあげることは出来る」

 自分が何か恥ずかしいことを云っているのは自覚していた。
 だから顔を合わせられないとそのまま抱き締めてしまった。顔を隠すにはもっと近づいてしまえばいい。顔を横に並べる様に。

「それじゃあ、今…乱歩君の時間をくれるというのか?」
「……少しだけだからな」










「…ん、ふぁ…何処、触ってんの!?」

 冷たい手が僕の服の中へ侵入してきて、腹や背中を直に触ってくる。その指触りがやけにいやらしくて、くすぐったくて、背中が反って逃げようとする。

「乱歩君、可愛い」

 なんて目で見てくるんだ。髪の毛で隠れてはっきりと表情を見れないけれど、欲望に忠実であるらしい。

「……君、変態…んんっ」

 ゆっくりと上半身の服を捲りあげ、脇下で引っかかり止まる。だが、彼にとって脱がせることが狙いでは無く、相手に晒された乳首を軽く摘ままれる。ぴく、と震えて反応してしまった自分は、きっと驚いたからだと脳内に云い聞かせていた。

「…も、やだぁ…はぁ…」
「でも、乱歩君のココはすっかり反応してきてる」

 ズボン越しに張り詰められてしまったそこを爪で軽く触られる。そんなところを誰かに触らせた経験なんて皆無だから、彼がするするとズボンを下着と共に脱がしていく様を見て、目を見開いて何が起きるのか恐怖してしまった。

「窮屈そうであるな。我輩のは…また今度にして、今回は乱歩君を気持ちよくさせて…」
「…ぅえ?…なんで僕だけなの?君は、君も…」
「少しずつ時間をくれるのなら、また今度でも」

 だけれど、と僕が口の形を作って発しようと思ったが、それよりも先に彼が僕のものを思い切り掴んで指先を動かし始めた。その衝撃で、僕はその先の言葉を忘れてしまった。

「や、やめ…汚いから…」
「汚くなんて無い。君は何時だって綺麗だ」
「ふ…んんっ、ぁっ」

 巧みに動かしていく彼の手つきはとても初めてとは思えないのだが、こういった経験でもしているのだろうか。人に触られてこんなに気持ちよくなってしまうとは思いもしなかった。声が漏れてしまう。

「んん、はぁ…んっ」
「声を漏らしても大丈夫である。周囲に住んでいる人は居ないから漏れ聞こえる心配も無い」
「…ん、んぁっ!…ぁあっ」

 声が漏れる心配をしていたのだが、段々と握り締められる力を強められていき、欲情がどんどんとそこに集中されてしまい、あっという間にイかされてしまう。彼の手の中で予告無に吐き出してしまったことで少し謝罪をしようかと思ったが、彼は手についたソレを眺めている。そして感想を述べた。

「最近乱歩君は自分でしていなかったのか?」
「…そ、そんなこと…どうでもいいじゃないか!」

 折角用意した言葉も結局伝えられないまま、終わってしまう。

「ふふっ」
「……何で笑ってるの?」
「乱歩君は、綺麗だなぁと思っていたのである」
「………意味が判らない。兎に角、僕の時間は今日御終い!もう帰るからね!」

 乱れてしまった服装を整えてそれから直ぐに靴を履いてこの場を去ろうとする。
 もう一度部屋を見渡すと、先程と違って太陽の光に照らされて明るくなっていた。そして、彼の表情もまた明るく変わっている。
 こんなことでいいのだろうか、と後悔している一部もあるけれど、取り敢えず彼は一歩進めはしたんだろう。

「乱歩君、また明日」

 後悔もあるけれど、それでも君を嫌いじゃないから多分、きっと、おそらく…明日もまた此処へ来るんだろう。