大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】芥敦ばっかり【敦総受け】 ( No.1 )
日時: 2018/07/29 21:34
名前: デイズ

『呼び名』

Said : 敦

「ねぇ、芥川……。」
「なんだ人虎。」
「其れ、やめない?」

もう辺りはすっかり夜が更けていた。僕は探偵社の仕事を終えると芥川が部屋の前で待っていて、なんとなくの流れで芥川の家に来ていた。部屋に1人で居る鏡花ちゃんには申し訳ないけど、「朝には戻るから」と云って、なんとか部屋を出ることに成功。
そのまま、芥川の家のうちの近くに泊まることに。

今は芥川の肩に寄り掛かりながら、本を読んでいてふと思った。

「……何が不満か、人虎。」
「嗚呼ーっ、其れだよ其れ!」

躯を起き上がらせ、芥川を指差す。
芥川は意味が分からないという顔で此方を見ているが、此処迄云ってまだ分からないのか。
僕は、その"人虎"という呼び名が気に食わない。

歪み合ってた頃の呼び名が定着仕手しまって、此れが当たり前に成りつつあるのが嫌なのである。
なんか、嫌なんだよな。人虎って。
僕は芥川の名前を呼んでいるのに、芥川は僕の事を名前で呼んでは呉れない。

もう、そういう仲なんだし、そろそろ云って欲しい。
僕と芥川、恋仲なんだしさ。

「僕には何か分からぬ。詳しく話せ、人虎」
「だーかーらっ、其の呼び名!どうにか成らないの?!」
「僕が僕であるように、人虎が人虎である故どうにも成らぬ。」
「違うってばっ!」
「煩い、喚くな愚者め。」

糞、こいつ真面目に取り合っては呉れない。
僕がそんな事を云ったから少しは気にしてくれたけど、今は無視して読書を再開してる。何なんだよ。此の野郎……。

もう一寸詳しく云わないといけないのか。

「だから、人虎じゃなくて。……ちゃんと名前で呼んで欲しい。」
「始めからそう云え。」

呆れたように芥川は云うと、パタンと本を閉じた。
もしかして、こいつ最初から気付いてたのかよ。そして、態々僕の口から云わせる心算だったのか。

「否、人に物事を頼む時は、己もするのだろうな、敦」
「へ?」

さらりと名前を口にされて、少し呆気に取られる。
でも、芥川が呼んで呉れた。一寸だけ、恥ずかしくなったけど嬉しかった。

「ありがとう、芥川。」
「違う。」

お礼を云ったら、何故か遮られた。
一体何なんだよ。

「芥川ではない、龍之介だ。」
「え?」

何を云ってるんだろう。あ、もしかして……僕の名前を呼んでやったんだから、お前も名前で呼べ的な?
……えぇっ?!

「僕に……そう呼べと?」
「然り。其れが当然故。」
「無理無理無理無理っ!!」

僕は頚が取れるんじゃないかって位横に振った。
芥川を名前で呼ぶなんて、なんか恥ずかしいし無理!

「云わぬのならそれでも善い。僕も云わぬだけだ。」
「……っ。」

狡い。
きっと、分かってて云ってるんだ。
そんな奴の手中に転がされるなんて真っ平御免だけど、名前呼んで欲しいし。

……。

「云えば、良いのか?」
「然り。」

はぁーっと大きく息を吐き出す。
何でだろう、なんか緊張する。芥川は、本を置いて僕の方に視線を向けている。
そんなに見られたら……、恥ずかしい。

「……龍之介。」
「其れで善い、敦。」

ボソッと小さい声で云ったのに、芥川……いや、龍之介は嬉しそうに云って呉れた。
ドキドキと鼓動が激しくて顔も火照っているけど、何だか嬉しくて笑みが溢れてしまう。

「あく……龍之介、今日一緒に寝よう。」
「敦が云うのなら仕方がない。」

なんだか幸せだった。




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あ、あれっ?
終わり方が雑すぎた。

こんな感じですがよろしくお願いいたします!