大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】芥敦ばっかり【敦総受け】 ( No.3 )
日時: 2018/08/01 22:03
名前: デイズ

Said : 敦

ピピピッ ピピピッ

「……38.5℃。」

体温計の電子音が微かに鳴り、鏡花ちゃんが其処に表示された数字を呟く様に読み上げる。少しだけ表情が曇っている。

「御免ね、鏡花ちゃん。何か、風邪を惹いちゃったみたい。」

態とらしくごほごほと咳き込むと、更に鏡花ちゃんの表情が心配そうになった。
ん〜、我ながら結構上手いかも。

「私も……探偵社、休む。」
「駄目だよ鏡花ちゃん!ちゃんと行って。僕の事は大丈夫だからさ。」
「でも……。」
「大丈夫。」
「……判った。」

ふ〜、危なかった。
此のまま休まれちゃ、風邪を惹いていないのが判ってしまうから。善かった、何とか誤魔化せた。
僕は鏡花ちゃんに今日は探偵社を休むという事を伝えるよう頼み、鏡花ちゃんは惜しそう乍も軽く手を振って部屋から出て行った。

パタン。

扉の閉じる音が仕手、僕はやっとホッと胸を撫で下ろす。
善かった、バレなくて。
実は鏡花ちゃんに渡した体温計は、壊れていて2℃程高い数値を出すのだ。つまりは、其れから2℃引くと、36.5℃という何とも健康的な数値に為るのだ。

では、早速準備をしなくては。
といっても、僕には探偵社の皆さんが買って来て呉れた、彼の服しかないので何時もと同じ服に腕を通す。準備しろって言われても此れしか無いから、準備の仕様がない。
ちゃんと着替え終わり、埃とか塵が付いていないか目視で確認して、大丈夫そうなので部屋から出た。

「うわあぁぁっ!!」
「遅い、何を仕手いる。」

鍵をかけ終えたら直ぐに僕の躯が中に浮いた。
吃驚して声をあげたら、案の定芥川の声が聞こえて腹の所にぐるぐると羅生門が巻き付いているのが見えた。
何なんだよこいつ。

「仕様がないでしょ、鏡花ちゃんが怪しんだら終わりだし。」
「知らぬ。何故、鏡花が其処で出てくる。」
「一緒に住んでるからだよ。」
「何っ、同棲かっ。貴様ら、何時其の様な関係にっ!」

キリキリと腹に巻き付かれている羅生門が、少しずつ絞まってきて腹がぐぐっと圧迫される。
待って、出掛けるよりも彼奴に殺される。

「違うってば!部屋の数が無いから、僕の部屋に居るだけ!そんな関係じゃないってば!」
「ほう、僕に法螺を吹くのか。なら、地獄の苦しみを与えてやろう。羅生門―…」
「痛い痛い痛いっ!嘘じゃないって!っいうか、こんな所で羅生門使うな!仮にもお前指名手配犯だぞ!」
「知らぬ。」
「だああああっ!!」

腕を虎化して、何とか抜け出す事に成功。
又羅生門を僕に伸ばしてくるのを避けつつ、芥川に近寄って抱き締めた。

「大丈夫、僕は芥川だけだから。」
「重畳。」

此れでやっと羅生門を引っ込めて呉れて、なんとか一段落。

「人虎、貴様何故其の様な格好なのだ。」
「えっ、駄目かな。」
「駄目に決まってるであろう。僕とて、違うというのに。」
「へっ?」

そう云われて芥川の服をまじまじと見つめる。確かに、黒っぽいから気付かなかったけど、何時もの洋服では無かった。
私服なんだ、なんか格好いい。

「御免なさい。でも、僕此れしか洋服が無くて……。」
「愚者め。其の様な格好だと、探偵社の奴と鉢合わせした時にバレるであろう。」

はぁ、と溜め息を吐く芥川。何故、他の服を買わなかったのかと云いたげな表情である。
仕様がないだろ。お金のあるポートマフィアと違って此方は安月給料なんだから。
生活費だけでも、お金が無くなってしまう。

「はぁ、行くぞ。人虎。」
「え、何処に?」

そう云うと嫌悪を露にした顔で此方を振り返った。

「其れ位自分で検せ、愚者め。」

何だか、結構愚者って云われた様な気がする。
すたすたと僕を置いて行く芥川の背中を、急いで追いかけた。


続き>>4