「痛い?」
指が一本抜き差しできるぐらいにはすんなり入る様になってから、声を殺している鬼道に聞いてみる。返事はない。
グネグネしてる中で前立腺ってやつを探る。痛めつけないようになるべく指を曲げないようにやっていると、お声がかかる。
「不動」
「あ?」
「もういい」
「は?」
「さっさと入れろ、日が暮れる」
顔を上げれば鬼道の顔は赤みがかってるどころか無表情、顔色一つ変えていない、いつもの表情。ケツ穴に指入れられてるやつの表情じゃねえよ、何にも感じてねえってこと?イラつく。
真剣に俺を見ている鬼道に、教室の壁がけ時計を見れば18時を回っていて窓からは夕焼け色が見えた。カラスの鳴き声でも聞こえてきそうで、廊下からは生徒の声はしない。
“さっさと入れろ”って、俺が自己満でヤッてると思ってんのか?間違いじゃねえけどちゃんとテメェ気遣ったヤり方でヤッてんの分かんねえのかよ、この坊ちゃんが。
俺がスッキリ出せりゃあそれで済むとでも思ってんのか?たまたま自分が相手だっただけとか?ムカつくんだよ、そういうの。
「それじゃあ意味がねえだろ、鬼道クンがヨくなんねえと」
「挿れたいんじゃないのか?だからそんな所を弄るんだろう、貴様の気遣いなど無用だ。こんな事をして潰す時間にやれることは沢山あるんだ」
人が喋ってる時に割ってくんなよ。
は?つか、何言ってんの?ホントに気持ち良くなかったんだな、オレ軽くショックなんだけど。
鬼道クンが言う最後の言葉に抑えていた理性や怒りが沸点を超えたようだった。
「ああ、そうだよなァ?イイコのキドーくんは帰って勉強でもサッカーでも楽しく出来るもんなァ?」
「?」
「じゃあ遠慮なくヤッてやるよ!」
急いでベルトを外してズボンとパンツを下ろし鬼道の両膝を持ち上げて入れる準備をする。俺の言ってる意味が分からないというよりは怒ってる意味が解らない様子の鬼道にもう優しさなんてかけてやれねえ。
後孔に自身を宛てがい、一気に腰を進めた。
「ッぐあ…いっづ…」
「キッツ、キドークン、力抜けよ」
「っ…くっ…無理に決まってるだろう、元々そこは」
「動くぜ」
「うっ…ッ…」
鬼道クンの説教なんて聞きたくねえんだよ
どちらも苦し紛れの表情で無言で俺は抜き差しをした。全部は入らなくとも半分くらいを抜き差しする。幸い、血が出なかった事だけは安心した。