「うぐっ…あっ」
「…っ…」
何度か抜き差しを繰り返すが滑りは良くなるものの一向に奥に入れてもらえない。鬼道の自身を掴めば僅かに高い声が漏れ、力が緩む、その隙を逃すまいと押し入り腰は止めない。
全部は入りきらなくともナカの締め付けのせいで俺が限界が近づく。額を汗が伝い、俺は鬼道の自身を強めに摩った。
「鬼道クン…イッ…きそっ」
「アッ…なにっ?!…っ、外に」
「鬼道クンも、一緒にイこうぜ?」
「…っは、やめろ…ふどっ」
辛いくせに俺の手では果てたくないのか自身を握る俺の腕の制服を掴んで離そうとしている。けど、鬼道も限界が近いからか力が入らないみたいで俺からしたらただ掴んでるだけ、むしろ引き留めてるように思えてくる。悔しそうに歯を食いしばり僅かに赤くなっていた頬に満足を覚える。
「っああ!」
「…っく…」
「ッ…うあっつ…」
亀頭に爪を軽く立ててやれば鬼道はすぐに達した。ビクッと体を震わせて一瞬だけ上がった高い声、ナカの締め付けの力が増して俺も鬼道のナカに果てた。余韻で緩く揺すれば小さい穴に入り切らなかった分が溢れて、ぐぷぐぷと厭らしい音をたてている。
鬼道を見ればそっぽを向いて呼吸を整えていた。腹に飛んでた鬼道から出た白い液体を鬼道の腹に擦り付けるように撫でれば達したばかりの敏感な身体がビクッと一度強ばる。
行為中も目はゴーグルに覆われてるのにコイツの言動は一々俺を煽る。なんだかもう一回ヤりたくなって誘おうと露になった首筋に顔を寄せれば後頭部の髪を掴まれた。
「いってぇ」
「いつまでそうしている、邪魔だ。その重い体を退けろ」
「…はァ?もう一回ヤらせろよ」
「不動」
「あ?」
「これ以上、不快にさせるな」
「なっ?!…」
間近で見えたゴーグル越しの鬼道の瞳は真剣そのもので、いつの間にか頬の赤みも収まっていつもの平然とした、いや、どちらかと言えば冷酷な目を俺に向けていた。期待を裏切るなという意味ではない、失望させるなといったような…。
鬼道に酷いことをしたんだと認識した、鬼道はきっと後ろの穴でイッた訳では無いんだろう、つまりは気持ちよくなかった。痛い思いをさせたかもしれない、そう思いつつも謝罪の言葉は口から出なかった。
でも俺は鬼道に不必要だと思われたくない。
だから俺は大人しく鬼道から自身を引き抜いて身だしなみを整える。引き抜いた時に漏れてきた俺の出した白い液体に小さく息を飲んだが、自身を抑えるために鬼道には背中を向けた。
後ろで鬼道が体を起こせば机が音を立てて、ズボンチャックを閉める音やベルトをはめる音に妙に意識してしまう。
着替え終わったであろう頃合いに窓の外を見れば真っ暗だった。部活動が終わったのだろう、帰宅していく生徒達の別れを告げる掛け声が聞こえてくる。
鬼道へ視線を移せば、鬼道は真っ直ぐ俺を見ていて少しドキッとする。でもそれが、好意を持ったものではなく観察するような疑いの視線であることにもすぐ気づく。てめえの好きなアイツよりは関わりあった時間が短くてもより深く付き合ってきたのは俺の方だと思ってる。考えてる事なんてゴーグルを外して眼を見なくても多少はわかる。
オーラとか雰囲気ってやつかな?
俺はかまをかけてみる。
「なあ、また誘ったらシてくれる?」
眉間にシワが寄って暫くの沈黙。コイツはいつだって真面目で真剣だ。そんで心を許した人を簡単には見捨てることの出来ない、案外情に厚いやつ。
友達ごっこは続けるけど今後こういった行為はしないとキッパリ断るか?それとも、関わりを立つために距離を置きたいと言い出すか?むしろ逆に、俺が望むなら…なんて、ンな夢のような話はねえだろうな。プライドの高いコイツが簡単に俺に座を譲るわけねえから。
そんなことを考えていると、鬼道は口角を上げて薄く笑い悪い笑みを浮かべた。
「そのうち、な」
すぐに種を返して空き教室から出ていってしまった鬼道を俺は見送ることしか出来なかった。
予想を全部裏切って、それも上回った回答に心を鷲掴みにされた気分だった。急に胸が苦しくなって顔が湯気が出そうなほど熱くなるのを感じる。
たった一言で、鬼道有人の一言でこんなにも感情が揺さぶられる。俺は悔しくて傍の机を蹴り飛ばす。壁に背を預ければ力が抜けてズルズルと壁に背を伝わせながら床に座った。
「くっそ!……なんつー悪魔だよ」
暫く顔の熱が収まらないのは確定した、そんな日が始まりだった。