大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.14 )
- 日時: 2019/04/24 17:56
- 名前: 枕木
目が覚めた。
見慣れた天井を、ぼんやりとみつめる。
そして、自分の胸に額をつけて眠る妻のあどけない寝顔に、くすりと笑う。
この人は、隙がないようで意外と隙だらけなのだ。それが、私の前だと完全に気を許しきっていて。可愛くて愛しくて、綺麗な朱色の髪がかかる白い額に口づけをした。すると、「ん……っ」と小さくうめいて、ゆっくりと瞼を開いた。
本当に可憐で、美しい。世界で一番愛しい瞳が姿を見せる、この瞬間だけでもう幸せなのだ。これが、私の生きる意味なのだ。
中也は、少し目を瞬いたあと私の顔を見上げて、頬をほんのり赤らめた。いいなあ、初めての朝を迎えた新婚夫婦らしくて。
「お早う」
「お、早う……」
「よく眠れた?」
「ま、まあ……」
「そう」
中也は、目を逸らして小さく頷いた。本当に愛らしい。
「朝ご飯、食べる?」
「嗚呼……俺、作る」
「有り難う」
中也は、そろりと布団から抜け出て、下着を着ようとしているところを凝視していた私に「此方見んな、莫迦」と、美しい裸体を衣服で隠しながら頬を赤らめて怒った。
……うん、もう一度くらい抱きたいな。口にしたら殴られそうだけどね。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.15 )
- 日時: 2019/04/25 04:50
- 名前: 枕木
中也が衣服を着て、台所へ行ったのを見てからも暫く布団でゴロゴロしていた。まだ中也の体温とにおいが残っている。いつも酒と薬の匂いしかしないのに。トントントン、という軽快な包丁の音も聞き慣れなくて、だけど、どうしようもなく嬉しくて。
布団から出て、衣服を着る。そして、台所へ向かった。そこには、滅多に使わないシンクに置いたまな板の上に胡瓜を乗せて手際よく包丁で切っている妻がいた。
そーっと近寄り、背後から胴に腕を回してぎゅっと抱きつく。すり、と後頭部に頬を寄せると、中也は「こら」と私を叱った。
「危ねェだろ」
「いやぁ、今なら驚いて手が滑って包丁が身体にグサリ、とかならないかなって」
「上等だ、やってみろよ莫迦」
くすくす笑う。もちろん、殺す気なんかさらさらない。でも、こんな会話が通常だなんてね。
中也は、私に抱きつかれたまま胡瓜を切りきって、目玉焼き作りに入った。卵を用意している間に、シャツの襟を少し引っ張って覗き込む。あーあ、くっきりだ。
「ンだよ」
「いやなに、中也くんは私のものだよっていう印だよ」
「は!? 付けたのか手前!?」
「ふふ♪」
「ちょ、莫迦……っ」
耳まで真っ赤になった中也が慌ててそれを確認しようと振り返った。
すかさずに、口付ける。
「ん……ッ」
中也が軽く目を見張る。構わずに抱き締め直して、半開きの唇の隙間から舌を侵入させた。
「んんぅ……!」
歯列をなぞって、きごちない舌と絡めあわせる。中也の瞳がじわりと生理的な涙で濡れ、一歩後退した。私はその腰を引き寄せる。
それから、数刻の間口内を犯し続けた。
「ふ、んぅ、あ、んん……」
すると、中也の足がガクガクと不安定になり、少しして唇を離すと、互いを繋ぐ銀糸が切れたのと同時にずるずると落ちて、ぺたん、と座り込んだ。私のシャツを掴んだまま。一緒に屈んで、まだうるんだ瞳で荒く息をしている中也を抱き締めた。
「ごめん、ごめん。平気?」
「莫迦……」
「ごめんね」
真っ赤な顔で睨んで、それでもぶすっとした顔をしながら首に腕を回してきてくれる中也にくすりと笑う。なんていうか、もう、私のものっていう悦びが。こんな中也を私しか知らないという事実が、中也が私しか知らないという事実が、とてつもなく嬉しくて、誰にも知られたくないのに、大声で自慢したくなる。おかしな気持ちだ。
「腰、痛くない?」
「……痛ェ」
「莫迦、無理してたの? お腹は?」
「いや……」
「そう。じゃあ中也は横になってて。私があとはやるから」
「んー……」
中也が微妙な顔をする。あ、ものすごく心配そうだ。だけど身体がツラいというのは結構ひどいようで、中也を抱き抱えた私の首に素直に腕を回した。嗚呼、こんな状況じゃなければ今すぐ食べているのに。
「中也」
「んぁ?」
ちゅっ、と腕の中の愛しい人に口づけをする。
「大好き……」
中也が目を見張る。
「……かもね」
「はぁ!?」
かもってなンだよ、と抗議する中也にあはは、と笑って、布団まで運ぶ。
カーテンの隙間からさしこむ光が、あまりに眩しくて。だから、カーテンは開けない。こんな中也を、太陽にだって見られたくない。
もう少しだけ、このまま。
ね、中也。
もう一度、精一杯の愛をこめて口づけをした。
中原中也誕生日まで、あと5日(5日ということにして下さい、昨日書きながら寝落ちちゃったんです)