大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.158 )
日時: 2019/12/01 06:51
名前: 枕木

太宰は、俺をそっと地面に降ろすと、俺がちゃんと自分の足で立ったのを確認して、俺の躰を素早く見回した。そして最後に俺の顔を見て、ほっと息をつき、顔を綻ばせた。

「善かった。怪我はないみたいだね。何か飲まされたりとかも、してない?」
「……してない……」
「そう。善かった……」

太宰は心の底から出したような安堵の吐息を吐き出して、そして今度は俺を安心させるみたいに、俺をみつめてにっこり笑った。だが、返って俺はその穏やかな笑顔に動転してしまった。俺はまだ、全然、何も把握できてねェのに。状況が、判らない。混乱して、思考回路が全く働かなかった。口から疑問がだだもれていた。

「何が、起こって……何で太宰が此処に……蘭堂ってそもそも何者……」
「うん、あとで順を追って説明してあげるから。けれど……」

太宰がキッと彼方、蘭堂の乗る車を
見る。蘭堂の車が、空中に持ち上げられて、振り回されて……振り回してんのは……子供……!? 金髪の、麦わら帽子を被った子供が、あんなに簡単に車を……?

「あっちが、先だ」

太宰が呟いたのと同時に、突然、空気が歪んだ。次に来たのは、衝撃波。空気が揺れる。子供が車と一緒に吹っ飛ばされるのが見えた。竹林の壁にぶち当たり、崩れ落ちる。おいおいおい、あれ、死んじまったんじゃ……!?

「大丈夫。賢治君は頑丈だし、受け身も心得てる。けれど、君は、違うよねえ……」

太宰が俺を振り返って、仕方ないなあ、と態とらしく肩をすくめた。なんっかむかつくな……

「すまないが、邪魔だったのでね」

静かな口調の、声。はっと前方を見ると、さっきまであの金髪の子供が立っていたところに、蘭堂が立っていた。車が吹っ飛ばされる直前に車から飛び降りたのか……あ? でも、運転席の男は?

「仲間が死んでもお構い無しですか。貴方、友達いないでしょう?」

太宰がからかうようにそう云った。俺はそれを呆然と眺めた。
蘭堂は、ふっ、と笑った。

「誤解してもらっては困るよ。私に仲間はいない。すべては、駒だ。目的を果たす為の……そう、中也君、君を殺す為のね」

蘭堂の目が俺を射抜く。心臓に、突き刺さるような感覚。
俺を、殺す為。
それを反芻したら、躰に震えが走った。けれど太宰はそれと対照的にけろりとしていて、にっこり笑みを浮かべた。

「すみませんが、彼は私のものなので。渡す心算は微塵もないですね」

驚いて、太宰を見た。は? 今なんつったこいつ。

「そうか。それは残念だよ」

だけど太宰にそれを問う暇もなくて、蘭堂が、本当に残念そうに顔を歪めながら、此方に掌を向けてきた。
そして直ぐに、衝撃波。空気……否、この空間そのものが、遅いかかってくるような。先程のよりも強かった。なんだ、これ。蘭堂から来てんのか。
動くことができない。太宰が、動かないから。声をかけようとした。しかし、太宰は余裕の笑みで、動いた。右手を前方へ出す。まるで、その空間を受け止めようとするみたいに。
そして、それはその通りになったようだった。
太宰の掌に吸い込まれるように、空間が消えたのだ。あとに残るのは静寂。にっこりと笑う、両者。唖然とそれをみつめる、俺。吸い込まれたんじゃない……太宰が、消した。蘭堂が発したとてつもない力を、太宰が。

「……成る程」

蘭堂が、呟く。そして、太宰に向かって云った。

「君は、異能力者からさえも仲間外れにされた憐れな子か」
「お言葉ですが、私はもう一生寄り添ってくれる人をみつけているので、可哀想ではないですね」

すかさず、太宰が穏やかに反論する。蘭堂はそれを暫くみつめた後、ふっ、と笑った。

「そうか。それなら、君には荒神がお似合いかもしれないな」
「そう云ってもらえると嬉しいなあ」

そう云う太宰に、気が抜けたように、ふっと笑い、次に、俺を見た。どきりとした。

「中也君。私は、君の全てを知っている。君の生い立ちも、君という存在が何なのかも」

息を呑む。心臓が止まる。蘭堂が微笑む。

「力をつけたら、そこの青年と一緒に来なさい。全てを教えた上で、殺してあげよう」

最後に心臓に爪痕を残して、蘭堂は去っていった。否、去った、という表現は正しいのか判らない。瞬きをして瞼を開いたとき、もうそこに彼はいなかった。まるで、その空間ごと消えてしまったみたいに。

暫く呆然としていたが、ふと気がついて、先刻まで蘭堂のいたところに近寄ってみた。
そこに落ちていたのは、年季の入った黒帽子。それを拾い上げてみると、太宰が横からそれを覗きこんだ。

「随分趣味の悪い帽子だねえ。まあ、次会うときまで持っておいてってことじゃあないの。約束の証として、さ」

俺の、全てを……俺という存在が何なのかを、あの男は、知っている。
聞かなければ、いけない。知らなければ、いけない。そうしなければ、俺は人間になれない。太宰の隣にいることもできない。

「……おう」

俺は小さく頷いて、帽子をみつめた。
少しして、太宰ががばっと両腕を広げた。思わずびくっとする。驚かせんじゃねェよ!!

「よし、これで邪魔者はいなくなった! 会いたかったよ中也!!」

そして、ぎゅうっと抱き締め……られそうになったが、そこではたと気づいて、ひょいっと屈んでその腕を回避した。

「あの子供!! 彼奴、大丈夫か!?」

遠くに、竹を背もたれにして座り込んでいる金髪の子供が見えた。慌てて、俺は立ち上がり走りよって行った____

のを、太宰は苦笑して見送った。箱入りで世間知らずで、これは大変だ。
紫色に薔薇が伝う着物が、ぱたぱたとはためく。朱色の髪に、白い肌。美しく儚い、けれど強い。彼は、自分の生まれた理由を、自分が存在する理由を、知るだろう。彼は、それをどう受け止めるだろうか。
彼をみつめている背後に、足音が数人。ぶつぶつと文句を云いながら。

「全く。僕が場所割り出した瞬間車飛び出すとか有り得ない! 押し退けられて、お菓子溢しちゃったよ!」
「すみません。帰りに駄菓子屋寄りますから……それにしても、これまた、やたら難しいのを抱え込んできたな、太宰」
「賢治君、事前に太宰さんと打ち合わせてたみたいで、一緒に飛び出していっちゃいましたからね……でも、すっごく綺麗な人ですね」
「当たり前だろう、太宰が惚れたンだからねェ。賢治は……あの程度じゃなんともないか。つまらないねェ」
「成る程。太宰さんが惚れるのも判るなあ……でも、どうするんですか? 彼、自分の異能とか、全く知らないって話ですけど」
「おい、どうするんだ、太宰」

「うふふ」

太宰は、楽しそうに笑った。そして、くるりと振り返った。

「実はもう決めてある」

乱歩は顔をしかめ、国木田、敦、与謝野、は、きょとん、と太宰をみつめる。
太宰は、晴々しい笑みを浮かべ、高らかに宣言した。

「うちの社員にする」

……皆の絶叫が、「都会の人はこんなに美人なんだなあ」と怪我のない賢治に感心され戸惑っていた中也の元に届き、可哀想に、びくっと躰を跳ねさせた。

これより始まる日々がどんなものになるか……それを、彼が知っている筈もない。けれどその瞬間、彼の悲惨だった運命は動き始めていたのである。
一人の男……太宰治によって。

Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.159 )
日時: 2019/12/01 17:16
名前: 枕木

数年後。

某廃ビル裏にて。

「おい、国木田。聞こえるか?」
『嗚呼。此方は外れだ。も抜けの殻どころか人がいた気配もない』
「そうか。それは可哀想なこったなァ。まあ、自分の運の悪さを恨むんだな!」
『なぬをぅ……』
「一寸、中原さん〜。勿体ぶらないで、教えてあげましょうよ」
『!? 敦、その口振りだと、真逆……』
「まあ、そういうことだ。此方は大当たりだったぜ。五十はいるな。どうする?」
『全く、貴様という奴は運だけはいいな……依頼通りだ。殺さず、けれど十分後に警察が来たときに楽に全員を捕まえられる状態にしておけ』
「それが一番難しいんだぜ、知ってるか?」
「はは……」
『貴様らになら三分もあればやれるだろう?』
「まあな」
「中原さんがいるのなら、何とか」
「な」
『よし。嗚呼、長だけは、爆弾についての情報を聞き出した後、だぞ。場所も、解除方法も全てな。横浜の彼方こちらで爆破されては敵わん。ヒントだけでもいい。絶対に聞き出して、九分で収めろ』
「へいへい。了解」

無線機を切ると、立ち上がり、盛大にため息を吐いた。

「ったく、彼奴無茶しか云わねェ……今度絶対ェ酒奢らせる。さっさと終わらせようぜ、敦」
「はい。何時でもいけますよ!」
「おっし、んじゃいくかー」

云うなり、中也は派手な音をたててビルの壁を蹴り破った。予想通り、中では屈強な男たちが数十人たむろしていて、突如ガラガラと崩れたコンクリートの壁と、足を振り上げている、小柄な朱色の髪に趣味の悪い帽子を被った男、それを「普通に扉から入りましょうよ……」とぼやく白髪の少年を唖然とみつめた。

「おーおー、不良の溜まり場かよ此処は。取り合えず、でっけェ音たてんなよ手前ら。三階で寝てんだろ? 手前らの長。起こしたくはねェからなァ」

にっ、と笑い、軽々と跳躍すると、その勢いで手前にいた男の頭を四人回し蹴りした。筋肉の盛り上がった大男が、バタリバタリと面白いくらいに倒れる。

「ッ……! やれ、手前ら……」
「すみません、お静かにお願いします」

ようやく事態に気がついて仲間をけしかけようとした男に、虎の俊足で背後に回り込んだ敦が、腕を回して首を固定し、ひねりあげた。男は、崩れ落ちた。その間にも、中也の攻撃は止まらない。無防備な男たちの首を回し蹴り、鳩尾に重い拳をめり込ませ、米神に踵を降り下ろす。そして、残り一人になって躍起になった男のふりかかってきた鈍器を黒手袋をした手で受け止め、見えない力……重力で、弾き飛ばした。男は反対側の壁まで吹っ飛ばされ、泡を吹いた。
中也は、倒れてうめく男の上に足を乗せ、全く乱れていない息をついた。

「こいつら、貧弱すぎじゃねェのか? つまんねェの、三分もかからなかったぜ」
「そんなこと云ってられませんよ! ほら、三階でしたよね? 早く、長から情報を……」
「任せとけって。五分でイかせる」
「は!?」
「あっ、悪ィ云い間違えた。吐かせる」
「否いま絶対態とですよね!?」
「さあなー。じゃあ、手前は国木田に報告しとけよ」
「はーい……」

頬を赤らめる健全な少年の敦にくすっと笑って、中也は自らが崩壊させた壁から外へ出ると、ふわっと跳躍した。そして、三階の高さまでくると、くるっと反転して窓を蹴り破り、中へ入った。
見ると、更に奥に部屋がある。
中也はにんまりと笑い、自らのクロスタイとシャツの胸元を緩めた。
そして、扉を開ける。そこには、怯えた長の男が、中也を見て情けなくヒィッと悲鳴をあげ、ソファから落ちる。

「こらこら、怖がんなよ」

中也は一歩一歩、近づいていく。
男があとずさる。とうとう、中也に壁際まで追い詰められた。中也はその上に股がると、怯えきったその瞳をみつめた。

「なあ、俺、お前と仲良くしたいんだぜ……?」

ちろっと出した赤い舌に、男はごくりと息を呑んだ。

*  *  *

「……ってのが聞き出した全部だが、これでいいか?」
『はっはっは! それだけ情報があって僕に判らないことはないよ!』
「そうか。じゃあ、後は手前らと警察に任せりゃいいな?」
『嗚呼。よくやったな中原。敦も。今から迎えに行く。そこを離れて、駅へ歩いていてくれ』
「否、敦だけで充分だ。俺は寄るところが……」
「太宰さんに作るご飯の材料、買いに行くんですって♪」
「お、おいこら、敦!!」
『そうか。それなら、中原はそのまま直帰でいいぞ。ご苦労だったな』
「おう。お互いにな」
『中原かい? 敦も、怪我はないかい?』
「嗚呼、センセーか。俺はねェよ」
「はい、僕も」
『ちぇっ……そうかい。つまらないねェ』
『……命拾いしたな、中原に敦……』
「ははは……じゃあ僕は駅へ歩いてますね」
『嗚呼。後でな。それじゃ、切るぞ』
『中原! 太宰なら、あと二時間で帰宅だよ。ご飯作りは、早めにね!』
「ッ〜〜……云われなくてもなっ!!」

真っ赤になった中也を、敦が面白そうに笑う。それをまた真っ赤になって抗議する中也。
これが、彼、中原中也の日常になっていた。

*  *  *

「そういえば、今日中也また色気仕掛けしたんだって? 敦君から聞いたよ」
「あ? あー……」

太宰が帰宅して、美味しいにおいに釣られて台所を覗くと中也が料理を作って待っていて、「お帰り」「只今」の言葉と軽い口づけを交わして、とりとめもなく喋りながらそれらを食べて、もう既に中也が風呂に入ってしまったのを不服そうにしながら太宰が風呂入って、その間に食器洗いを中也が済ませて、寝室で待っていた中也に、風呂上がりの太宰がそう投げ掛けた。

「なんか、中也最近多くない?」

少し不機嫌そうに口を尖らせて太宰が云う。中也は苦笑した。

「仕方ねェだろ。俺、元最上級男娼だし。手加減って苦手だからな。色気で男殺すんじゃなきゃ、マジで殺しちまう」
「脳筋だものねえ、君……」
「んだとコラ」
「ふふふ」

太宰が、笑って、中也の上に倒れ込む。

「強くなったね、中也。あのころより、ずっと」
「そりゃあな。今や、武装探偵社の主要戦闘員だぜ?」
「そうだね。……もう、君は自分の意味も知っているのだし」
「……そうだな」

未だ、帽子は中也の手元にあった。帰しに行かなかった訳ではない。約束通り二人で彼の元へ行き、中原中也の秘密を知り、そして、戦い、勝利した。今でも時々、中也は彼の墓を訪れている。

「もう、手前の隣に居ても恥じなくていいくらいには、なったぜ」

中也が呟くと、驚いて、太宰が顔を上げた。
中也は、にっと笑う。
太宰は、ふっと笑う。
そして、電気を消そうと手を伸ばして、ふと、太宰が思い出したように云った。

「嗚呼そうだ、実は私、暇があると屋敷へ行ってね、屋敷から出てくる中也指名の男のあと、つけてたんだよ」
「!?」
「それで住所覚えて、もう二度と中也に触れるなって嫌がらせしまくったりしてたなあ」
「!! 俺に常連客が少なかったのは手前の所為かっ!!」
「まあね〜」
「ざっけんな、手前の所為でいくら売り上げが落ちたか……」
「君に私以外が触れるのが、嫌だったのだよ」

じたばた暴れていた中也が、ぴたりと静止する。目を見開いて、太宰をみつめる。太宰はふふっと笑って、口づけすると、その唇をぺろりと舐めた。

「ほら、どうやって幾多の男を誘惑してきたか、実践して見せてよ」

太宰が中也の腰を妖艶に撫でた。中也は、にいっと笑う。

「いいぜ。今の話のお返しだ。絞り取ってやるよ」

太宰は、電気を消して蒲団の脇のスタンドライトを点けると、仰向けになっている中也が首に回した腕にひき寄せられるまま、抗うことなく、魅惑の夜に沈み込んでいった。

Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.160 )
日時: 2019/12/01 14:19
名前: 枕木

「あっ……そこ、もっと、擦って……あっ、あっ、あぁっ!」

太宰がナカで指を動かす度、気持ちいいところを擦られる度、びくん、びくん、と躰が跳ねる。もう性器はぐちゃぐちゃで、裸になっている俺の躰のあちこちに白濁を飛び散らして、反り返った赤い先端からだらだらと愛液を垂らしていた。

「やっ、い、く……」

太宰の指が突然速くなる。気持ちいいのが高まって、目を見開き、がくがく躰が震えて、白濁を吐き出した。やだ、やだやだ……きもちいの、おさまんない……なんで、太宰、指止めないの……俺イッた、のにぃ……ガクガク、止まんない……

「や、だ、とめ、ゆび、とめ」
「えー? だって中也、指だけでこんなに満足してるみたいだしい……」
「あ、あ、い、やあ、太宰のが、いい……」

太宰が、ふっ、と笑い、指を引き抜いた。入れていた人差し指と中指がぐちゃぐちゃに濡れていて、二本指の間で糸を引いていた。かあ、と顔が熱くなる。

「そんなに欲しいなら……自分で、挿入ていいよ?」
「え……」
「欲しいんでしょう?」

太宰はにやにや笑っている。こいつ、恋人は虐めるもんじゃねェだろ……!
でも、もう、疼いて仕方がない。指じゃ届かなかった奥が、きゅんきゅんしていて。我慢、できない。

「じゃあ……俺が乗る」
「わあ、本当?」

太宰が、顔を輝かせる。チッ……あとで覚えとけよ太宰!

ふう……と心を落ち着かせ、座った太宰の肩に手を置く。そして、そっと下腹部へ手を伸ばし、下着の中から性器を出した。根本からつつつとなぞってみると、ぴくっと反応して大きくなんのが判った。

「相変わらず半端ねェなァ……」
「そりゃあ、可愛い恋人の前だもの」
「っ……ばか」

恥ずかしくて堪らなくなったので、太宰の首に顔を埋めて、ゆっくりと腰を下ろした。すぐに、入り口に堅い感触。少し腰を動かしてみると、太宰のなのか俺のなのか、ぬるりと滑った。
……息を吸い、覚悟を決めて、腰を下ろす。膨らんだ先端が、抵抗をものともせず、つぷ、と挿入した。

びくっ
「っ〜〜」
「つらい? 大丈夫、大丈夫。そのまま、ゆっくり、腰下ろして……」

髪を撫でられ、促されるままに、腰を下ろしていく。太くて大きくて、苦しいのに、息が荒くなる。膨らんだ性器から愛液が垂れる。どうしよう、奥、きちゃ……

ごりっ
「ひあっ!」

快楽が脳天を突き上げ、じわりと涙で視界が歪む。

「ふふ、イイトコロ当たっちゃった? いいよ、自分でイイトコロに当てて御覧?」
「っ……」

いいよ、なんて耳元で囁かれると、もう、我慢なんてできなくなって。
腰を小刻みに動かして、気持ちいいトコロを太宰の亀頭にごりごり擦り付けた。

ぐちゅぐちゅぐちゅ
「あっ、あっ、あっ……」
ごりゅっ
「あぁっ!」
ごりゅっ、ごりゅ
「あぁン! はっ、あ……ッ」
びくっ、びくっ

気持ちいいのが、止まらない。脳天が快楽で痺れて、もうやだって思うのに、自分で腰振って、止めらんない。ぐちゅぐちゅと濡れたナカで水音がして、恥ずかしくて堪らないのに、その音にさえ興奮してしまう。ただその一点ばかりを擦り付けてビクビクしていると、突然、耳元で湿った声が囁いた。

「ねえ中也? 奥のトコロ……一番奥のとこ、コンコンしたらどうなるのかなあ。私のを奥まで飲み込んで、気持ちいいトコ、ぜーんぶ擦りながら上下に動いたら……」

びくっと躰が跳ねる。

「どうなっちゃうのかなあ?」

脳を甘い痺れが駆け抜ける。どろどろに溶かされる。嗚呼……もうダメだ。

俺は、更に腰を下に下ろした。腹の圧迫感が強くて、少しずつ、少しずつ、押し開いていく。
不思議なもので、もう何度も太宰にはこんなところ辿り着かれているのに、何度ヤッても狭いままだ。手前もきついよな、と太宰に問うと、いや、と返ってきた。

「ぎゅうぎゅう締め付けられて、嬉しいよ。私の侵入を歓迎してくれてるみたいで。中也のナカは、もう私専用だもんね」

と、にこっと笑いかけてきたので、顔が熱くなってしまった。

そう。俺は、太宰のものだ。
太宰だけを愛して、太宰だけに愛されて、太宰だけに抱かれて、太宰だけと口づけする。

けれど、太宰だけじゃない、仲間もできて。あの頃、俺はこんな生活を全く、想像も出来なかった。
あの頃の俺に教えてやったら、どんな顔をするだろうか。
想像したら自分の間抜け面思わず笑ってしまって、力が抜けて、ずりゅんっと一気に奥まで挿入った。

ごりっ
「〜〜〜ッッ!!」
「あー、もう、莫迦だなあ」

いきなりキた、奥を堅いもので勢いよく突かれる快感に、太宰にしがみついて耐えると、太宰は笑って、俺の髪を撫でた。

「中也、動ける?」
「…………むり……」
「だよねえ」

呼吸をするのが目一杯だ。息を吸う度ナカが締まって、血管が浮き出て、濡れていて、堅くて太い、太宰のを感じてしまう。それだけでビクビクしてしまうのだから、奥をゴリゴリして、ナカをぐちゅぐちゅして、ぱんぱんえっちしたら、どうにかなってしまいそうで、恐い。

「ごめ、ぬく……おれ、だざいの、なめる、から……」
「ん〜……フェラもいいけど……」

どさっ

突然、視界が変わる。天井と、太宰のにっこり笑った顔と……

「……あああッ!?」

びくんっと躰が反り返り、涙が爆ぜた。
うそ……だろ……?

奥までずっぷり埋まった太宰のソレ。太宰は満面の笑みで。

「やら……やら、やら……」
「ねえ中也、許してね。たっくさん、気持ちよくさせてあげるから」
「やっ……ら……あぁ、あぁあっ!!」

びくびく、と躰が反り返る。
腰をひいては、ずりゅっと奥を突いて。ナカを、擦られて。
どうしよう……こんなの、むり……
けれど、あまりの快楽に絶句している俺にはお構い無しに、太宰は腰を振る。

ぱんっぱんっぱんっ
「あァ、あッ、んぁっ!!」
ゴリッ
「〜〜〜〜〜ッッ!!」
ぬー……ぐちゅっ、ぐちゅ……ぱちゅっ
「あ……ひっ、うっ……あぁンッ!!」
ゴリゴリゴリゴリぱんっぱんっぱんっ
「ア! あぁあ、ああ、あっ! あっ! あン、あン、あンっ!!」

両手を掴まれ逃げられなくて、足を大きく開かされて、ただ、壊れそうなくらいの快楽にビクンビクンと痙攣して、泣きじゃくった。

ゴリッ、ぬちゅぬちゅ……
「あぁン! やっ、ごりごり、らめぇ……」
ぬちゅぬちゅぬちゅ
「ら、め、らっ……あぁ……」
ぬー……ごりゅりゅりゅんっ
「ん……あぁぁあぁあっ!!」

びく、びくっ、びゅくっ

あ、たま、おかしく、なりそ……あ、やべ、イくの、とまんない……腰、ガクガクして……

「だ、ざ……」
「うん、大丈夫、大丈夫……イッていいよ。たっくさんイッて」
ぱんっぱんっぱんっ
「あ、あぁ〜〜ッッ」

反り返って快楽から逃げようとしても、逃げられない。ぼろぼろ涙が溢れて、泣きながら、頭が真っ白になる絶頂を迎えた。その間も奥をぐりぐりされて、絶頂の更に上の快楽を味わう。もうわけが分からなくなって、けれど、きもちよくて、もうわけわかんないくらいきもちよくて、もっともっとって、浅ましく腰を振ってしまう。きゅんきゅん締めて、ナカに種を求めてしまう。こういうのを、遊郭の外では……

「いんらん」
「……ッ! 〜〜ッ!!」

耳元で囁かれて、奥がぞくっとして、ナカがきゅうう……と締まった。やばい……ヘンなの、キちゃ……

「あ〜……もう出したいなあ。ねえ中也。ナカに、ほしい?」
「ほ……しい……」

快楽で蕩けた頭も、躰も、快楽を求めていて。もっとほしい、もっともっとって。

「じゃあ、誘ってみてよ。ナカにくださいって。淫乱な、元花魅の中也くんなら、できるよねえ?」

にやっと笑った太宰の顔に、躰が熱くなる。いんらん……おれ、いんらんだから。おれ、おいらんだった。できる……

「だ、ざい」

手を伸ばして、太宰の背中に手を回す。そして、呂律の回らない舌で、云った。

「なか、きゅうきゅうして、がまんできないの……だざいのせーえき、どぴゅどぴゅって、いっぱいちょーだい? おくこんこんして、だざいのせーえきで、おれのなか、ぐちゅぐちゅに……あ、あっ、あぁあぁぁんっ!」

卑猥な高音が俺の喉から響く。
片足をぐいっと持ち上げられ、さらに奥を突かれる。やだ……こんなの、しらない。きもちいい……

「だざい、だざいぃ……」
「はっ、ははっ……君って本当、とんでもないね」

目を開けると、太宰は、笑っている唇の口角をひきつらせて、瞳に野獣のような鋭光を宿していた。
あー……これは、やっちゃったな。

ぱんぱんぱんぱんぱんっ
「は、や、あ、い、あッ、あッ」
ゴリッゴリッゴリッ
「あぁっ、あッ、あぁあッ!!」
ごりゅんっ
「はあぁんっ」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
「やぁあんっ! あァ、あッあッああッ! あン!」

やばい……やばいやばいやばい。

ぱんぱんぱんぱんっ
「イ、く、う、イク、イク」
ぱんっぱんっごりっごりゅんっ
「イク、イク、イッ、アッ、ああぁぁあぁああぁ……ヒュッ、は……」

かけ上がってくる一際大きい快感の波に抗えず、息をするのも必死に、イッた……
筈だったのに。

ぎゅうっ
「!?」
「ふふ……」

突然、ソレを掴まれて射精を遮られる。涙目で見ると、太宰が根本を手で握っていた。楽しそうに笑っている。涙が溢れた。
イキたい……イキたい、イキたい。

「や、ら……イカせて……」
「イけるでしょ、このままでも。先刻、イキかけてたよね?」

先刻の、何かがキた感覚を思い出す。かあっと躰が熱くなる。

「あれは、ちが……」
「ちがくないよ。大丈夫、一緒にイこ?」

耳元で囁かれ、もう、どうしようもなくなった。

ゴリッ
「やあっ!」
ごりゅ、ごりゅ、ごりゅ
「い、や……あ、あ、あ、あぁっ」
ぱんぱんっ
「ひッ、うぅ」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ
「あああぁぁああぁあっ!!」

太宰に、必死ですがりつく。何かが、何かが、クる。キてる。

ゴリッゴリッゴリッゴリッ
「あン! あぁ、あン、あぁン!」
ゴッゴッゴッ
「〜〜〜ッッ!!」
ぬちゅぅ……ごりっ
「つうぅ……ああああっ!!」

涙が溢れて止まらない。キてる、キてる、もう、むり、いく……

ぱちゅっぱちゅっ
「キ、ちゃう、キちゃうぅ……あぁっ、ンあぁん、ああっ、あっ……」
「うん。一緒に、ね」

優しく微笑んで、ちゅっと口づけされる。甘えるように舌を出すと、その舌裏を舐めて、唾液を絡めてくれた。それだけでもうきもちよくて、頭が真っ白になる。

ごりゅっごりゅっごりゅっ
「ンン、んんぅ、んっ、んっ……」
くちゅ……ごりっごりっ
「ふぁ……んんっ、んんっ!!」

クる、キちゃう、イク、イク、いくいくいく……ッ

「ぷはっ! お、さむ……おさむ、おさむ」
「! ……ちゅうや」

とびっきり優しい、大好きな奴の、大好きな笑顔。嬉しそうな笑顔に、きゅんっとして。
最後に、太宰は俺の手をぎゅっと握って、抜けるぎりぎりまで腰をひくと、そのあと……

「ちゅうや……」

奥の奥まで、突き上げた。

「あいしてる」
「か、は……ああ、あっあっあっあっあっ」

目を見開き、ガクガク痙攣する。奥の、一番柔らかいところが、うねって。その柔らかいところに、ナカで脈打った太宰のが、熱い精液を注ぐのが判った。
絶頂したときの、一番強い快感が、頭の中を真っ白にする。なのに、精液は出ていなくて、ナカがきゅうう……と締まって。いつまでもいつまでも、イッているような。どうしよ……きもちいの、とまんない……また、なんか、クる……

「中也」

ちゅっ

「朝まで、楽しもうね」

あの日の煽りのお返しみたいに、太宰がにいっと笑うのが、霞んだ視界で見えて、くらくらした。

嗚呼、でも。

「はあ、はあ……の、ぞむところだ、太宰」
「ふふっ」

笑い合って、再び愛を確かめあうために、ぎゅっと抱き締められて息を落ち着かせた。
いつまでもいつまでも、この幸せな日々が続きますようにと、祈りを込めて口づけした。太宰は僅かに目を見開いて、そして、楽しそうに笑った。手を握って、もう一度口づけした。

鳥籠の中で美しく鳴いていた鳥に、手をさしのべたのは、この、温かい、包帯に巻かれた手。
もう、俺は自由だから。
どうか、どうか、末永く。大好きな、手前と一緒に。

「さあて、いける? 中也」
「そちらこそ、もういけるのですか? 満足させて下さいね、太宰様」
「っ……」

悔しそうな顔を、あははっと笑った。

Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.161 )
日時: 2019/12/01 09:46
名前: 枕木

はらはらと、紅葉が舞い落ちる。
美しくも、これが何ヵ月もつづけばいやでも作り物だと……幻想だと気づいてしまう、儚く虚しいもの。

それを、尾崎紅葉は眺めていた。

「あの子の髪の色に、似ておるのう」

目を細め、そう呟く。

「……嫌がらせかえ?」

隣を振り向けば、同じように中庭を眺めキセルを蒸かす青年が。癖のついた髪はくすんだ蜜柑の色をしていて、髪飾りや耳飾りで着飾っていた。
彼は苦笑した。

「真逆。貴方に嫌がらせをしようだなンて、思い付きませんよ」
「それなら、いいんじゃ」

再び憂い顔で中庭を眺め始めた紅葉の横顔を見て、青年は云う。

「そろそろ、換えましょうか」
「そうじゃな。今度は、雪にかまくらに、駆け回る犬が欲しいのう」
「犬ですか。太宰さんが嫌がってたから、もう随分映してないなあ」
「何年前の話じゃ。もう、太宰も……中也も、おらん。あとは谷崎、お前が要じゃぞ」

あの二人は……天性の才能を持っている。無自覚に理性で抑えていた、人間として恥じる部分、野性の、本能の部分を、簡単にさらけ出してしまう。あんなの、一度でも抱いてしまったら麻薬だろう。何度男の人生を狂わせたのか、知る由もない。あの二人を失って、この遊郭も相当な痛手をうけた。
遊女をつれ戻す方法は……あるにはある、らしい。
だが当分は動けないだろう。それまでは。

「判ッてますよ。ナオミを助けてもらった恩がありますからね。ナオミにやらせる必要がないように、僕が沢山稼ぎますから」
「期待しておる」
「はい」

谷崎はにっこり笑い頷いて、中庭をみつめ、すっと掌を向けた。その途端、景色がぱっと切り替わる。しんしんと雪が降り、もう既に積もっていて、かまくらができていて、茶毛の犬がわんわん吠えながら楽しそうに雪の地面に足跡をつけて回る。ついでに作った雪だるまは、炭で可愛らしく笑顔をつくっていた。

「愛いのう。小さきものは、本当に愛い」

紅葉はそう云って美しく微笑んだが、決して手を伸ばすことはしなかった。手を伸ばしても、届かないものがある。それを、彼女はよく知っていた。

そして、それは谷崎も同じだった。

けれど数年前、自分より明るい髪色をした青年が、伸ばした手を引っ張られて、此処を出ていった。
同じことが起こるとは、思っていない。けれど、そういうこともあるのだと、知ってしまった。
何時か、この日々が終わる日が、運命が変わる日が、来るのかもしれない。
淡い期待に、すがることもなく。ただ、ただ、それは淡く、細雪のように、すぐに、溶けてゆく。

「谷崎君、ご指名だよ」

はあい、と返事をしながら、彼は、そっと、その小さな世界へ手を伸ばした。


えんど

……?