大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.2 )
- 日時: 2019/04/20 18:32
- 名前: 枕木
街が平和だと、名探偵は暇である。
誰もいない会議室でぽりぽりと煎餅を食べていて、ふと、思い出したことがあった。
あれは、何時の事だっけ。
* * *
「乱歩さんは、私の何が好きですか?」
「……何、急に」
指を組んで顎を乗せ、満面笑顔で僕をみつめる恋人から少し椅子を遠ざける。構わずに近づいてくる。
どうやら彼は自意識がおかしくなったとかではなく、単なる好奇心からこの質問に至ったらしい。歳上で、普段あまり愛情表現をすることのない僕がどんな回答をするのか興味津々といったところ。
確かに長期間続いた太宰からの執拗な愛求が面倒になって受け入れた覚えはある。恋人としての太宰が僕の知っている太宰ではなくて、興味が湧いて、その関係を続けていたらいつの間にか気持ちが太宰に追いついてしまったことも認める。
認めるけれど、こんな羞恥心を煽るような質問に答えることは僕のプライドが許さなかった。
だからくるりと椅子を回して、「教えない」と答えた。
「えー」
「えーじゃない。じゃあ逆に太宰は同じ質問をしたらどう答えるわけ」
太宰のことはよくわからない。この僕の素晴らしい頭脳をもってしても、だ。
ちらりと振り向いて太宰に問うと、太宰はにやあっと笑った。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.3 )
- 日時: 2019/04/20 20:44
- 名前: 枕木
キィ、と僕が腰かけていた椅子が軋んだ。
まあ、大人二人分、しかも普通より身長の高い太宰という男が全体重をかけているのだ、無理もないだろう。
僕が見上げるところにはすぐ近くに整った恋人の顔、椅子に僕を閉じ込める形で僕の両脇に置いている包帯ぐるぐる巻きの腕。
それらを見やってから、何となく見ていられなくなって、ぷいっと顔を背けると、思わず晒してしまった首筋に太宰が顔を埋めた。
「ッ……」
唇が柔らかく皮膚を食む。くすぐったさに首を振ると、今度は喉元を舐められた。
「ちょ、莫迦、いい加減にしてよ……っ」
「ええー? 乱歩さん、中途半端で止めると怒るじゃないですか」
言うや否や、もうシャツの裾から中に侵入する手。
腹をすっと撫で、胸をまさぐられる。手で口を押さえたその次、突起に指が引っ掛かった。
「ッぁ」
「ね? こっちの方がいいでしょう?」
「やだっ……」
くに、くに、と丁寧に勃ちあげられる。軽く爪をたてられると、腰の奥が疼いた。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.4 )
- 日時: 2019/04/21 12:14
- 名前: 枕木
まずい。このまま行くと、会議室で犯されてしまう。いつ誰が入ってくるかわからない、しかも自分の職場で、そんなことしたくない。
またすーっと腹を撫でて今度はベルトに手をかける太宰の腕を掴む。
太宰は、面白がるような顔で僕を見下ろした。いや、実際面白がってるのか、焦っている僕に。あー、むかつく。
「厭、無、理だか、ら」
「なんで?」
「なん、でって……お前、莫迦ッ……あッ」
息を荒くしながらも必死に訴えた恋人の頼みは無視して、太宰は、僕の、苦しそうにしていた僕を空気に晒した。もう、最悪だね、こいつ。
「ほら、見て? これ」
「っ……」
「乱歩さん……」
愛しそうに僕の名を呼ぶ声に、どくんと心臓が跳ねた。
いやいや、ほだされちゃいけない。この男は職場で嫌がる恋人を無理矢理犯す悪人なのだから。
太宰は、僕の足元に屈むと、僕の僕をそっと掴んだ。びくっと身体が跳ねる。太宰はそのまま鈴口に口を近づけ、そして、おもむろに口に含んだ。
「ひッ」
ひきつった悲鳴。もう何度もされているのに慣れない感覚。そして、感じるところだけを責める太宰の舌と歯。
震える手で太宰の後頭部に触れる。引き剥がそうとしたが、触れた手とは反対の手で矯声を抑えるのが精一杯で、できなかった。
根本から先端まで丁寧に舐めあげ、裏筋を舐め擦られる。鈴口に歯を当てられると、椅子が邪魔をして反らしきれない腰が浮いた。
「はっ、はっ、はっ……あ、う、ひぅっ……」
指の間から声が漏れ出る。あっという間に限界まで追い詰められる。もう今置かれている状況のことは忘れていて、限界からなかなか先にいかせてくれない苦しさに喘ぐだけだった。
「だ、ざ……」
「んー?」
「お、ねがっ……んぅ……」
「んー……ぷはっ。仕方ないなあ、いいですよ」
本当に困った人だ、とでも言いたげな表情で僕を見上げ、そして、僕が一番弱いところを舐めた。歯を食い縛って堪えようとしたができなくて、そこに歯を当てられると、あまりの快楽に声も出せずに、太宰の口の中に熱を移した。
「ッ……ぁ……ぁ……」
「んっ……んくっんくっ」
ぴく、ぴく、と長い間痙攣していた僕の身体が収まると、太宰はぬるりと銀色の糸を残して、口を離した。そして、机上にあったティッシュペーパーボックスから数枚抜き取ると、僕のを拭き始めた。拭われているだけなのに触れられる度内股がぴく、と痙攣してしまって、羞恥で益々顔が熱くなった。
綺麗になって、最後に先端にちゅっと口づけをされる。そして、はだけていた衣服を着せられた。
何、こいつ……
むかつくのに、僕の足元にひざまづいてにっこりと微笑む姿は紳士的だ。顔を赤らめてしまう僕が阿呆みたいじゃないか。
「〜ッ……で、結局なんなの」
「ん?」
「僕の、好きなところ」
陳腐な推理が横切った。これでもし、そういう蕩けた顔とか全部です、とか言ったら罵り殺してあげよう。
だけど、太宰はにっこり微笑んだまま、僕の手を取って口づけをして、こう答えた。
「こういうことをしても許してくれちゃう、私の事が大好きな所です」
……嗚呼、成る程。
「……その下の大きくしてるやつ、僕はしてあげないからね」
「うぇ!?」
「一人でどうにかしてね」
「ら、乱歩さん!?」
ぷいっと椅子を回すと、太宰は慌てたようにしがみついてきた。
頼みますから〜とねだる恋人をヤダ、と拒否して、そっと心の内で呟いた。
僕は、君の僕を大好きな所が大嫌いだよ。
……でも、僕が大好きな太宰は、好き。
つまりは、黙って愛されておけってこと。……なんか癪だけど。
* * *
ポリ、とまた煎餅をかじる。溜め息が漏れる。
少し絶望的だ。あれからこんなに時間がたって、今では……
バアンッ!
「マイハニー! ここにいたんですね乱歩さん♪」
「うっわあ……」
一気に煎餅が湿気た気がする。ドアを勢いよく開け放って入ってきたのは、何故かまだ恋人という関係が続いている自殺マニアだった。
ぎゅうっと人形のように抱き締められながら、なぜ僕たちが未だにこうなのか、という謎は僕でも永遠に解けないのかもしれない、と溜め息をついた。
そして、考えた。
もし今、あのときと同じ質問をされたら、僕はどう答えるのか。こいつはどう答えるのか。
「そうですね……」
それを見透かして、太宰が呟く。
未だによくわからない恋人の返答を待っていると、太宰はあのときと同じようににっこり微笑んで言った。
「私のことをずっと愛してくれている所です」
ふうん、と気のない返事をすると、太宰は笑いながら僕をもっと強く抱き締めた。
僕が、好きな所。
それは、こうして僕の寂しさを紛れさせてくれること。絶対一人にしないところ。
ずっとずっと、君が好き。
口に出すのは、いつになるだろう。
全く予想もつかない。
名探偵でもわからない、愛の謎。
解けるまでは、このままで。
えんど