大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】名もなき愛を【太中・乱歩受け】 ( No.20 )
日時: 2019/04/27 10:45
名前: 枕木

「中也さん!」

玄関で出迎えた俺に飛び付くように抱きついてきたのは、恋人の人虎だった。
嬉しそうに笑い、抱き締めた勢いでぐりぐりと肩に頭を押し付けてくる。

「上機嫌だな。何かあったのか?」
「はい♪ 今日、ほとんど僕一人で事件を解決できたんです……♪」

くすっと笑ってしまう。そうだった。こいつは、俺と二人きりになるとサドティストになる癖に、まだ少年の下っ端だったな。年上としては、誉めてやんねえと。
とりあえず、ぽんぽん、と背中を叩いた。

「良かったな、敦」
「はい……」

俺をぎゅうう、と抱き締めて、幸せそうに返事をする。
そして、俺を離して、にこっと笑った。

……なんか嫌な予感がするのは、気のせいか? 気のせい……だよな……?

「中也さん。僕、頑張りました」
「お、おう……」
「だから、ご褒美……くれないんですか?」

……うわあー……
逃げようとしたが、ガッと腕を掴まれた。
たらたらと冷や汗が流れる。

「例えば、大人らしい口づけ……とか」
「な、何言ってンだ。手前まだガキだろうが」
「そのガキに喘がされている大人は誰ですか?」

ぐっ、と言葉に詰まる。
腰に腕を回され、引き寄せられる。

「ね、中也さん……」

耳元で囁かれて、ぞくっと背筋を何かが駆け抜けた。
嗚呼、ったく、こいつは……!

振り向いて、敦と向き合う。少し見上げることになるが、このくらいなら平気だろう。

「……目、瞑れ」
「はい」

相変わらず笑みを浮かべている顔に少しむすっとしたが、目を瞑ったのを確認すると、そろそろと近づいて、そして、唇を重ねた。ふに、と柔らかい感触は何度感じても慣れない。
その唇をちろりと出した舌で舐め、間を割って、中に侵入した。少し敦の舌に挨拶をするくらいが限界で、ぷはっ、と離した。敦はぱっちり目を開け、面白がるように笑う。

「あれ、もう終わりですか?」
「も、文句あんのかよ……」
「いいえ♪」

それでも、にこにこ嬉しそうだ。此方まで、笑みが溢れる。
ほんと、年下ってずりぃ。けど、甘やかすのは好きだ。矢っ張り、可愛いとか思ってしまう。
……などと柔らかい気持ちになっていたのだが。

「それじゃあ、頑張ってくれたお礼に」
「うお!?」

ひょいっと抱き上げられる。慌てて抱き上げた男の顔を見ると、すごく楽しそうな黒い笑みを浮かべていた。
嗚呼……おわった。

「僕から、中也さんへご褒美です♪」
「厭、い、いい……ちょ、降ろせ!」

敦は相変わらず楽しそうに笑っている……から、まあ、良しとするか?

キィ、バタン、と寝室のドアが閉まる。
年下に翻弄されているなんて少し恥ずかしいが、矢っ張り幸せだ。どんな敦も、愛してやる。大人らしく、かっこよく。

俺は、そっと、敦の首もとに赤い痕を残した。
色んなこと、教えてやるよ。人に愛されることとか、居場所をもらうこととか、色々。年上だしな。
長い夜の始まりに、俺は苦笑混じりに恋人を抱き締めたのだった。


中原中也誕生日まであと3日