大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中*乱歩受け・中也受け】 ( No.22 )
- 日時: 2019/04/27 11:21
- 名前: 枕木
最近、少し、いや大分、困っている。
それというのは、数ヵ月前に愛を誓った青鯖への接し方のことで。
もう愛想が尽きたとか、そういう話じゃねえ……ってか寧ろ、もっと、こう……
恋人の頃は、困ることはなかった。覚悟のない内から同じ家に帰るというのは嫌だったから、仕事の合間を縫って週1くらいのペースで会っていた。会うと必ず太宰は抱きついてきて、別れるまでずっと傍にいて、話をしたり遊んだり、愛に触れあったり……と、触れあえる少ない時間を過ごしていた。
だが、覚悟と共に決めた同居生活が始まり、少したった頃。同じ空間にいる時間が長くなって、恋人の頃よりも触れてきたりすることが減った。
いや、避けられているわけではない。夜は酒を呑みながら会話をして、同じ布団で寝て、起きて互いに仕事がなければそのままぐだぐだしたり出掛けたりする。相変わらず、飽きることのない太宰との生活。
でも、触れてこないのだ。抱き締めたり手を繋いだりしても、恋人らしい行為はしてこない。少しそういう雰囲気になっても、「さあ、明日も仕事だ、早く寝よう」と似合わない言葉を吐き、無垢な笑顔で雰囲気を壊してしまう。違和感を感じるほどだった。
それが続いて、もうかなりたつだろう。最後にしたのは、あの遠征から太宰から帰ってきたあの時だ。
玄関で靴を履きながら、
「今日は遅くなるかもしれないから、先に寝てていいよ」
と云う太宰に、おう、と返事をして。その時ふと、ある考えが浮かんだ。
いやいや、こいつに限って真逆。だって、いや、だって。
真逆……だよ……な。
「……なァ、太宰」
「ぅん? なあに?」
「今日の仕事って、なんだ?」
普段訊くことなんかない。でも、莫迦げた考えが脳裏にちらついて、不安になっちまったんだ。絶対、ない。
太宰は、珍しそうな顔で俺を見上げていたが、にこっと笑い、立ち上がった。
「大した仕事じゃないよ。心配しなくていい」
どくん、と心臓が鳴った。
なンで、そんな曖昧な答えなんだ? 手前なら、いつもは普通に教えるだろ……?
「し、心配なんざしてねェよ」
「あっ、そう。失礼したねえ。じゃあ、行ってくるよ」
「……飯、作っとくから」
最後の希望を託して云うと、太宰はドアを開けて振り返り、云った。
「ごめん、いらない」
バタン……とドアが閉まる。
しばらく、そこから動けなかった。
……なんであいつ、俺が作っとくからって言ったとき、あんなに困ったような顔したんだ?
どくん、どくん、と心臓が鳴る。苦しくて、ぎゅっと押さえる。
真逆だと、思っていたかった。でも、そう思わずにいられなかった。
……あいつ、他に女でもできたのか……?
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中*乱歩受け・中也受け】 ( No.23 )
- 日時: 2019/04/27 12:21
- 名前: 枕木
急いで服を着替えて、探偵社へ向かった。事務所には太宰の姿はなくて、見知った面々は首をかしげた。
「太宰? 知らないねェ」
「太宰さん、特に今仕事任されてませんよね?」
矢っ張り……か。
顔を見合わせる与謝野と賢治の反応に、胸がいたくなった。
国木田が、眉をひそめて云う。
「昨日は特に変わった様子は無かったが。ただ、やたら上機嫌だったな。お陰で俺の理想通りの1日だった」
「ああ、僕もお菓子貰った。それも箱入りの駅前で売ってるおみやげ用のやつだよ。珍しいよねえ」
「太宰さんが変になったのは一昨日くらいからじゃないですか? 敦くんとパズル対決なんかして」
「はい、太宰さんがお茶漬け無料券を賭けたので。でも、別段変わった様子は……」
皆、困った顔をする。
溜め息が出た。胸が痛ェ。
「……そうか。悪かった、急に押し掛けて」
「いや、俺らこそ済まない。帰ってきたら連絡させるからな」
そう云ってくれた国木田に礼を言って、事務所を後にした。
外へ出て、ぎゅっと拳を握り締める。悲しさ、苦しさは、静かな怒りに変わっていた。
……誰かのもんになるぐらいなら、いっそ、俺がこの手で。
歩き出す。数刻で見つけ出して、そして。
「白黒つけようじゃねェか、太宰」
呟いて、帽子をかぶり直した。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中*乱歩受け・中也受け】 ( No.24 )
- 日時: 2019/04/27 15:37
- 名前: 枕木
駅前を練り歩いてみれば、『それ』はすぐに見つかった。
殆ど、想像通りだった。
長い黒髪、白いワンピースの上に桃色の上着を羽織った、少し長身の後ろ姿。何度も俺を抱いた包帯ぐるぐる巻きの腕に腕を絡ませるその女は、まさに、そいつにお似合いだった。
そういや、「恋人との身長差は12cmくらいがちょうどいいらしいよ」って、あいつ、いつかにやにやしながら言ってたな。
ひっそりと、後をつける。二人は、立ち並ぶ店のショーウィンドウを見て歩きながら、建物の隙間の路地へと入っていった。
無心で、そこへ入る。少し歩いて角を曲がると、そこは誰もいない死角だ。角を覗くと、向かい合って何かをぼそぼそ話している二人がいた。
会話の断片が、耳に届いた。
「……うして……なの……」
「……のは……でしょ……付き合ってよ」
聞いていると、急に胸が苦しくなった。
嗚呼……もう、終わらせるか。
手のひらの中でナイフを回して、バッと飛び出した。
「だァァざァァいィィ!!」
「!?」
太宰の表情も見えないほどに、勢いよくとびかかった。
押し倒して馬乗りになり、首もとにナイフの切っ先をつきつける。女が「ひッ」と小さく悲鳴をあげ、離れた。
女には構わずに、静かに、じっと最低男を見下ろす。太宰も同じように、静かに俺を見上げていた。
暫くして、太宰は、ふっ、と微笑んだ。かあっと頭に血が昇る。
「なに、つけてきたの? 夫をストーカーだなんて、妙な奥さんもいたものだね」
「……黙れよ」
低く、声がもれる。包帯が破れた。あと数ミリで、こいつの首を切り裂いてしまう。それなのに、太宰は微笑んでいる。
そうか、手前には、その程度だったのか。
「はっ……本当、莫迦莫迦しい話だよなァ、太宰? 俺は、こんな手前のこと……」
意思とは真逆に、視界が滲んだ。唇を噛み締めて、耐える。
何で……何でなんだろうな、どうして……
「ッ……手前は、俺のもんなんだよ!!」
叫んだ。滲んで何も見えない。ナイフを持っている手が震える。
「俺は手前のもんで、手前は俺のもんだ! それ以外なンて許さねェ。手前は……俺の……」
ぽろぽろと涙が頬を伝う。
嗚呼、みっともねえ。
「……中也」
「あ”ァ!? みっともねェのはわかってンだよ!!」
「どうして、そんなに私に執着するの?」
静かに、問われた。
涙が零れて、太宰の顔が見えた。
太宰は、静かな瞳で、ただ俺をみつめていた。
「中也」
手首を掴まれて、カラン、とナイフが落ちる。
唇を引き結ぶ。もう、言ってやろう。最後なら。
太宰の瞳をみつめて、思いきり叫んだ。
「手前が好きだからだよ!!」
再び、ぼろぼろ涙が溢れ落ちる。情けなくて、手で拭っていると、その手をそっと掴まれた。
驚いて、顔を上げる。
「はぁ〜……やっとだね」
「……………………………………は?」
よいしょ、と身体を起こし、俺を抱き締める男に混乱する。
明らかに先程までとは態度が変わっていて。ぎゅっと抱き締める太宰は、いつもの太宰と全く変わらなくて。
は、えっ、は……?
「だ、ざい……?」
状況が掴めずにされるがままになっていると、太宰は俺をあやすように背中を擦りながら、女を見上げてにっこり微笑んだ。
「お疲れ様、
敦くん」
「………敦ィィ!?」
思わず、さっきまでのことを忘れて叫んだ。太宰は、そうだけど? というように目を瞬かせる。いや、そうだけど? じゃねえよ。
「ほんっともう、殺されるかと思いました……」
涙目の女の顔と声をよく見る。
琥珀色の瞳に、ごつくはないが女というには少し無理のある細身の身体。
……嗚呼、確かにこいつ、女装した敦じゃねえか。
「……気色悪ィ」
「仕方ないじゃないですか!? 太宰さんが、クイズ対決で負けた罰ゲームとして彼女ごっこして、なんて云うんですからぁ……」
泣き出しそうな敦と、にこにこする太宰。
「……」
「いやあ、最近中也、全然私といちゃいちゃしてくれないじゃない。ちょっとだけ、みんなに協力してもらっ……」
「太宰、歯ァ食い縛れ」
ドゴッ
路地に、鈍い音が響いた。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中*乱歩受け・中也受け】 ( No.25 )
- 日時: 2019/04/27 16:52
- 名前: 枕木
「み、鳩尾入ったよ、完全に入った……」
「けッ、ざまァみやがれ」
あの後、とりあえず可哀想な敦を帰した。そして、ゴゴゴゴ、と殺気を出して再び拳を固めると、太宰は涙目になりながらその場で土下座し、もうしません、と誓った。
んで、今。バタン、とドアを閉めて、ふう、と息をつく。そして、まだ殴られたところを気にする太宰をちらっと見て、こっそり安堵の息を吐いた。
また二人、ここで暮らす。
本当にお騒がせで面倒な奴だが、それでもやっぱり、それが一番大切だった。
こくり、と喉を鳴らして、ドアに向いたまま言う。
「……わ……悪かった、な」
「んー?」
「なんつーか……その、こ、これから、言うように……する。……手前も、ちゃんと、言え」
矢っ張り、俺達にはそれが足りない。口に出せない。思っていることを。軽口を織り混ぜた他愛のない会話ならできるのに、大切な会話ができない。それは、相棒として、敵として、離れた所に居たときの癖だろうか。
太宰が遠征に行ったときだって、1つも大切なことを伝えられなかったからああなったんだよな。
もっと、太宰と話したい。寂しいとか、もっと触ってほしいとか、色々。
時間は、たくさんあるんだから。
「……うん、御免ね、中也」
後ろからふわりと抱き締められる。
「でも私はね、中也。言葉だけじゃなくて……」
首筋に口づけされる。ぴくっと肩が跳ねる。
「行動で気持ちを現すのも、必要だと思うのだよ」
そっと振り向く。ちゅっ、と口づけして、太宰がにっこり微笑む。
「仲直りのえっち、しよっか」
ぐっ、と言葉に詰まる。
俺は、こくんと小さく頷くので精一杯だった。
- Re: 【文スト】名もなき愛を【太中*乱歩受け・中也受け】 ( No.26 )
- 日時: 2019/04/27 18:01
- 名前: 枕木
「やッ、だざ……」
「嫌? どうして?」
「だ....ぁ、って、さっ、きから、そこ、ばっか……」
一糸纏わぬ俺の身体は、さっきから太宰に焦らされて焦らされて、熱くて仕方がなかった。
胸の突起をくにくにとこねくり回されて、確かに気持ちいいけど、足りない。時々舐めたり軽く噛んだり、そこばかりを念入りにいじられる。そのせいで勃ちあがった自身からとろとろと溢れる愛液は股を伝って入り口まで濡らしている。気持ちいい。気持ちいいけど、もう、やだ。
「だ、ざい……」
「なァに?」
何も知らないような笑顔で、言う。
熱くなった身体は、羞恥心というものを溶かしていった。
「ここ……触って」
枕の端を握り締めていた手で、胸をいじっていた太宰の右手を掴む。
そして、自身まで持ってきて、太宰の掌に亀頭を擦り付けた。
「ぁんんッ……!」
久しぶりの快楽に、びくん、と身体が大袈裟に揺れる。
俺はそのまま、掴んだ太宰の手の中に自身を擦り付けた。
「あッ、あッ、そ、こ。そこ、いっぱい、擦って……ひぅんっ……あっ」
自分で動かしているのに、浅ましく快楽をねだってしまう。一番イイところを当てて腰を揺らすと、びくびく、と身体が痙攣して止まらなかった。太宰はそんな俺を見て、ギラギラと目を光らせた。
「いいね、中也。私の手、そんなに気持ちいい? 腰振っちゃって。どんどん硬くなってきてるけど、もうイきそ?」
「ぅ、ん、あっ、イ、く……っ。イく、イく、んあぁっ」
甘い声が飛び出る。とぴゅ、とぴゅ、と白濁を出す度にびく、びく、と身体が痙攣して、腰をしならせて唾液を垂らした。
自分の前で自慰同然のことをして、恍惚の表情を浮かべて絶頂中の中也に、太宰はぞくりと興奮を覚えた。
「本当に君って最高だね」
絶対に離せないじゃないか、と呟いて、まだ痙攣の収まらない俺の足を開くと、俺に太宰の指を舐めさせて、見せつけるようにその指を挿入た。
「ふあぁ……っ」
「すごーい、一気に2本入った。もう君のナカ、どろどろだよ」
無意識に、くわえこんだ太宰の指を締め付けてしまう。もっと太いので、奥を擦って気持ちよくなりたいと、身体が叫んでいる。
「ほ、しい……」
「何を?」
そろりと手を伸ばす。そして、ズボンを押し上げている太宰自身に触れた。
「太宰の、欲しい……たくさん、ほしい」
「ふふ……いいよ。たっくさんあげる」
太宰が指を抜いて自身を取り出す。太宰のものも大きくなって濡れていて、息も荒く、興奮しきっている。俺の身体も熱くなって、狂おしいほど欲しがっている。
太宰が先端で入り口をつつくと、喜ぶようにきゅんきゅんと収縮を繰り返した。
「っ……挿入るよ」
「太宰……ああ、あああっ……!」
太宰の自身が押し込まれてくる。きゅう、と締め付けると、奥へ進んだ太宰自身が気持ちいいところをごりゅっと強く擦った。
「ああッ!」
口づけをされる。太宰の自身は、内壁を擦って俺の内股を痙攣させながら奥底へたどり着いた。
「お、く、熱……」
「ん……たっくさん突いてあげる」
太宰は言った通り、腰を小刻みに揺らして奥底を何度も突いた。
「あッ、あッ、ああんっ、ああッ、や、イ、く……イく、イく」
「ははっ……もう? は……早いね」
繰り返し打ち寄せる快楽の波に翻弄されて、内股が痙攣する。ずり、と足を開くと更に奥へ来て、気持ちいいところを剥き出しにされて直接突かれた。気持ちいいことを感じる神経を直接擦られているような激しすぎる快楽にびっくりして脚を閉めてきゅっと締め付けると、それに逆らって出し入れする太宰の形がはっきりわかり、びく、と痙攣した。とくん、とくん、と心臓があるかのように内壁が脈打ち、さっきより質量を増した太宰が動く度、快楽がダイレクトに伝わってくる。
「ああ、ああ、ああん……! あんっ、あッ、らめ、らめ、そんな、うごいちゃ、らめ、イッちゃ……」
「こん、なに、腰、振っちゃって……はあ、はあ……中也、気づいてないの? 君、すごく官能的で……」
腰の動きが早くなる。ぱんぱん、ぐちゃぐちゃ、ごりゅごりゅ……無意識に腰を揺らして、奥を何度も突かれて、脚が跳ね上がる。
「おく、おく、らめ、もう、らめ、ああ、あんっ、あんっ……! や、イ、くぅ……」
絶頂の兆しを感じて太宰の背中にすがりついた俺の耳元で、太宰が囁いた。
「……淫乱」
「や……っ、やら、やらぁ……あああああッ……!」
頭が真っ白になる。快楽の頂点を迎えて、今まで知らなかったほどの快楽の強さに恐怖さえ覚えた。
「あっ……ああ……しゃせーとまんねえ……」
「御免……もう少しだけ」
「ああっ!? や、うそ、ああんっ! いま、イッた、ばっかりぃ……」
敏感になっている内壁をぱちゅん、ぱちゅん、と数回中を擦られる。許容を越えた快楽に、また絶頂の兆しを感じて絶望した。
「ああッ、あッ、あんっ、イく、イく、ま、た、イ、く……」
「ん……っ、私も、はっ、はあ、イきそ……」
「中、ちょうだい……?」
「っ……この、淫乱……っ」
ごりゅっ
「ああああんっ!」
「っく……」
とぷ、とぷ、と永遠に終わらないかと思われるような吐精。中に注ぎ込まれたものの熱さと、快楽を堪えて歪めた太宰の顔が、どうしようもなく愛おしくて、口づけをした。
言葉にして、行動にして、形にする。
愛は形にできるのだと、初めて知った。
たくさん、言葉を交わして、触れあって、まだ歪なこの愛を、形にしていきたい。こいつとの、大切な愛だから。
「愛してる、中也」
最後に額にやさしく口づけされて、眠りについた。
いつか俺も言ってやりてえな。愛してるって。
中原中也誕生日まで、あと2日