大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.36 )
- 日時: 2019/05/06 20:34
- 名前: 枕木
ぽろっ……
「……え」
驚いて声を出したのは、太宰じゃない。僕だった。
ぽろぽろと目からこぼれ落ちる、雫。あれ、なんだろう、これ。ああ、涙か。涙……え、何で僕泣いてるの?
仕事を一気に片付けて、僕にしては珍しく夜遅く会社に戻った。1つ1つの事件はどうということはなかったけれど、組織的な犯罪だから数が多くて、あちこちを飛び回り、結局全てが終わったのはそれが2週間続いた今日だった。駄菓子を食べて休んでいる暇もなかった2週間。それを終えてふらふらと会社に帰ってみればソファで眠る太宰しかいなくて、太宰が「遅かったですね」と起きるのをぼんやりと眺めていたら頬を伝う雫。そして、今に至る。
は、涙って、僕なんか怪我とかしたっけ?いや、痛みはない。特に被害者も出なかったし、悲しむようなことも……
「乱歩さん」
止まらない涙に混乱していると、太宰が気持ち悪いくらい優しい声で僕を呼んだ。
「おいで」
両手を広げて、にこっと笑う。なんだか猫を呼んでいるみたいだ。
でも、何故かその頼りない胸を魅力的に感じた。だから、ぽすん、と太宰の胸に身体を預けた。
「よしよし。頑張りましたね」
抱き締めて、頭を撫でながら、そんな風に云う。莫迦にされているようにしか聞こえないんだけど。
「子供扱い?」
「違いますよ。人はね、疲れると泣いちゃうんです。疲れを外に出そうとするみたいに。だから沢山泣いてください」
「……変なの」
「ふふ、そんなもんですよ、人間なんて。案外脆いんですから」
嗚呼、こいつもう失格の烙印押されてるもんね。だから人間を莫迦にするようなことを云うのだろうか。
……だけど。
この、体温とか、心臓のとくん、とくん、っていう鼓動とか。紛れもない、人間じゃないか。生きてるっていう証じゃないか。人間だから泣いて、抱き締めて、慰める。
「ふうん」
「どうしたんですか?」
「いや、今回のことで2つ新しいことを知った」
「何を?」
顔をあげる。涙は止まった。太宰は、僕を抱き締めたままきょとん、という顔をしている。
「1つは、僕も君も人間だったってことだ。もう1つは……」
太宰が、少しびっくりしたような顔をする。にやりと笑った。
「疲れたときは、君に抱き締められるのが一番効果的ってことだ」
「……へえ。ところで乱歩さん、もう1つ新しいことを教えてあげますよ」
とさ……とソファに押し倒された。太宰が僕の帽子を取りながら額にキスをして、耳元で囁く。吐息が耳にかかって、ぴくっと身体が小さく跳ねた。
「好きな人と身体を密着させていると、ストレスの7割が解消されるんですって」
「……ッ。僕、疲れてるって……」
「あれ、私はまだ何も言ってませんよ? 何を想像したんですか?」
かあ、と顔が熱くなる。太宰の指が僕のシャツの釦にかかる。あーあ、やっちゃった。この笑顔は、最悪なやつだ。
「それとも……試してみたくなっちゃいました?」
「……7割しか解消されないわけ」
苦し紛れに云う。太宰は僕の肌に手を滑らせながら、楽しそうに笑った。
「お望みとあらば、全て。朝までかかりますけど……いいですよね?」
「良くないって云わせる気ないじゃん」
「2週間私をほったらかしたんだから仕方ないですよ」
「むぅ……」
口を尖らせると、その唇に口づけされた。ズボンに手をかけて、太宰がにっこり笑う。
「癒してあげますよ、乱歩さん」
「全部解消しないと許さないからね」
「御意」
太宰は、露になった僕自身に口づけした。
疲れた身体には優しい心を。
疲れた夜には熱い夜をってね。
まあ……仕方ないよね、人間だもの。
次の日、動けなくなったとて……ね。はは。やっぱりあいつ人間じゃないかもしれないな。
えんど