大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.39 )
- 日時: 2019/05/06 02:23
- 名前: 枕木
生まれて初めて、女の体でもあったらと思った。
そうならば、もう少しこいつと素直に恋人でいられるだろうから。
そんなことを、思ったからだろうか。
ある朝目覚めると、女になっていた。
「え」
「あ?」
_______太宰が。
* * *
「普通こういうのは君がなるものじゃないのかい」
「知らねェよ、俺に訊くンじゃねェ」
普通に寝て、普通に起きた。太宰より先に起きて座りながらぼんやりした身体を解していたら太宰も起きて。俺の隣で「うーん」と伸びをしたとき、俺達は同時に違和感に気がついた。
大きく張った胸。一回り身体が小さくなって袖や裾が余っている寝間着。丸くなった腰回りや肩の線。高くなった声。
隣にいるのは、紛れもない、女だった。
「……なンでこうなったんだ?」
「さてねえ。異能じゃないようだしね」
大きく膨らんでいる胸を興味深げに見下ろしながら、太宰が首をかしげる。
「昨日変なもの食べたっけね」
「首領から頂いた薬なら酒に入れて手前に飲ませた」
「……何で飲ませたの?」
「首領が異能力者と協力して特別に作った物だっつって笑いながら寄越してきたから」
「その薬以外にこうなった理由あると思う?」
「ねェな」
太宰は、うわあ……と悲観めいた溜め息を吐いた。
「私が女体になって、何をする気だい? 身長はあまり変わらないから並んで歩くときに中也が恥をかくだけでしょ」
「うるせえ、この唐変木」
「うわあ、国木田くんの受け売り?」
にこにこしながら云うのも、最高に俺をムカつかせるのも、いつも通りの太宰だった。少し安心する。女になったからと云って、特に変わることもないだろう。
そう思った直後。太宰が、何かを閃いたように手をポンと打ち、目をきらきらさせて俺を見た。
「私、天才だよ。思いついちゃった!」
「へー」
これ以上ないと云う程の棒読みで相槌を打った俺に、太宰はにっこり笑って云った。
「中也、私で童貞捨てればいいよ」
勿論、光の速度で殴った。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.40 )
- 日時: 2019/05/06 16:13
- 名前: 枕木
「只の冗談じゃないか、中也くん〜。落ち着き給えよ〜」
「ああ”?」
俺に胸ぐらを掴まれながらも、ほのぼのとした笑みを浮かべる太宰。女になっても太宰は太宰だ、ほんっとムカつく、こいつ。
「でも、こんないい女其処らには居ないと思うね」
「ケッ、誰が手前なんか……」
……けど。改めて、其の顔をまじまじとみつめてみた。
確かに、いい女かもしれない。短いが量の多い黒髪と、呆けているがすっきりとした顔立ちと。元々、女が彼方から寄ってくるような美男子なのだ。それは、相棒として毎日隣で見ていても実感する程。
一旦静止してしまった俺を見て、太宰はにっこり笑った。
「あれ、もしかして惚れちゃった? あはは、無理無理! 今更中也が女性の身体で満足するわけ……」
無言で拳を打ち込んだ。
成る程、俺がどうかしてた。太宰は矢っ張り太宰だな。
* * *
武装探偵社の事務所のドアを開けると、当然の様に入ってきてヒラヒラと手を振る美女__認めたくないが__に、一同は騒然とした。俺の隣で、太宰は楽しそうにしている。
「だ、誰ですか!?」
「真逆、中原さんの新しい愛人だったりしませんわよね!?」
「な、何ィ!? だ、太宰はどうした!?」
「太宰なら此処にいるよ」
俺の愛人話が出てきた途端、笑顔がピクッとひきつった。餓鬼か。
「だ、太宰さん……? あ、云われてみれば……」
「でも、声迄女じゃないか。そこまでの女装、何かあったのかい?」
「女装じゃねェよ」
溜め息混じりに、俺も口を挟んだ。接待用のソファに座り、こうなった経緯を説明する。太宰はナオミと鏡花と漫談していた。暢気かよ。
「成る程ねェ……。開発した薬なら、そちらさんの首領が解毒剤も作ってるンじゃないかい?」
「そう思って、俺も首領に電話した。けどな……」
あれはとても人に話せるものではない。さーっと目を逸らした。
すると、先刻まで興味無さそうにしていた名探偵がにやーっと笑い、俺の向かいに座る与謝野の後ろからひょこっと顔を出した。そして、少し声音を変えて云う。
「解毒剤? 無いよ、そんなもの」
ピシッと身体が硬直する。それは、聞き覚えのある台詞だった。
「本当は中也君に飲んでもらいたかったけれどね。女の子になって弱くなっちゃった中也君が戻してくれと泣きついてきて、仕方ないから、私が中也君に女の子らしく……」
「止めろ……。判ったから……」
必死で名探偵を止める。そこから先は人に知られてはいけない。初めて首領に殺意が湧いた話だ。
笑いを噛み殺す皆の後ろで、敦が同情の目で俺を見つつ、訊いてきた。
「解毒剤がないってことは、じゃあ、治す方法はないんですか?」
「否、首領が云うには、普段太宰とやっていることをやれば治るって話だ」
『君達が何時もやっている事をやれば治るよ』首領は楽しそうな口調でそう云っていた。
「此処に来る前に色々やったんだけどな……」
溜め息をつく。『何時も太宰とやっている』に覚えがある事は、家で一通りやったのだ。しかし治らないため、探偵社に頼った次第だ。
「具体的にどういうことをしたんですか?」
「それは……一寸な……」
「手を繋いで、抱き締めて、口付けた」
俺の後ろから太宰が云う。再び身体が硬直した。皆が急に太宰に注目し始める。
「大人の口づけの方もしたし、壁ドンも床ドンもしたし、あーんもしたし……」
「黙れ」
「はーい」
妙な空気が流れる。顔が真っ赤な俺とにこにこする太宰と硬直した探偵社員と。嗚呼、何やってんだ俺……
「ってことでさ、もうどうすればいいのかわからなくて、皆に知恵を借りに来たのだよ。どう? 乱歩さん」
「……僕に云わせたいだけでしょ。やだよ」
「あ、バレました?」
面倒そうな乱歩と、相変わらず楽しそうな太宰。なんの話だ? まだやってないことあったか?
「……嗚呼、成る程ねェ」
「ん? 何の話だ?」
「あ、聞いちゃだめだよ」
「聞いちゃだめですわ」
察した与謝野、谷崎、ナオミが、賢治、敦、鏡花の耳を塞いだ。
「なァ太宰。何の話だ?」
「なんのことだ」
まだ分からない俺と国木田に、太宰は微笑み、平然と云った。
「そんなの、えっちに決まってるじゃない」
固まる俺、割れる眼鏡、溜め息をつく大人達。
そして、其の数秒後には太宰に今日3回目の拳が振り落とされた。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.41 )
- 日時: 2019/05/16 04:45
- 名前: 枕木
ぶるぶる震える腕で太宰の胸ぐらを掴み上げる。
「ほんっとに手前はァ……」
「わあ、中也くんお顔恐ーい。でも真っ赤で可愛いー」
「あァ!?」
じわりと視界がうっすら滲んだ。太宰じゃないし未だ死ぬなんて御免だが、此れは死にたくなる。
「ッ〜……兎に角帰ンぞ」
「えー? まだ鏡花ちゃんが〜」
「黙れ。悪かったな、探偵社」
「お疲れ様です……」
駄々をこねてぶつぶつ云う太宰(女)をずるずる引き摺って出ていく俺に、探偵社員一同は気の毒そうに云った。
まあ、何時もの事なんだよな。
* * *
「嗚呼ー……死にてェ……」
「え!? 中也も自殺の素晴らしさに気づいたのかい!? じゃあ、私と心じゅ」
「本気で黙れ手前」
玄関に入るなり、目を輝かせながら云われる。手前の所為なンだよ莫迦。
「はーいはい。……処でさ、中也?」
太宰の手がすっ、と俺の頬に添えられる。ぴくっと後ずさりしたが、太宰は構わず首筋を撫でてきた。見上げた目の前にある艶のある美女の顔に、何故か不安を覚えた。俺に触れているのは……誰だろうか。
「恐い?」
「何がだよ」
「私のこと。女性としての私は、私じゃないみたいで恐い? 早く戻って欲しい?」
黙る。沈黙は肯定だと、こいつは知っている。
太宰はにっこり笑った。そして、俺の鎖骨をつつ、と指でなぞった。
「抱きたい? 抱かれたい? 選ばせてあげるよ」
ごく、と喉が上下する。太宰は面白がるような目で俺をみつめている。
恐る恐る、口を開いた。
大きな胸と高い声と細くて丸い身体をもっただけの太宰だ。今更女として見れる訳がなかった。
それに……
「抱……かれたい」
女の体なんかじゃ満足できねェようにしたのは手前だろ、太宰。
小さな声で答えると、太宰は知ってたよ、と云いたげに満足そうに微笑んだ。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.42 )
- 日時: 2019/05/18 06:14
- 名前: 枕木
静かな寝室に響くのは、俺のか細い吐息と、太宰が蒲団の上を動く絹擦れの音だけ。
あとは、何も知らない。横たわって目を閉じ、両手で顔を覆った俺の裸体は、微かに震えていた。
太宰が、すぐ傍で溜め息をついた。
「矢っ張り恐いんじゃない」
「ちが……」
「違くないでしょ。どうして強がるんだい?」
「違う……違うから……」
必死で否定した。だけど、矢っ張り目を開けることはできなかった。
分かっている積もりだった。
どんな太宰も太宰だと。俺は、どんな太宰でも愛せると。『男が好きなんじゃない。好きになったのがたまたま男の手前だっただけだ』なんて三流の言葉も吐けると。
だけど、無理だった。服を脱ぎながら何気なく振り向いたとき、後ろを向いている太宰がシャツを脱いで見せた細い胴のくびれと丸い腰周りが目に入った瞬間、俺は立ちすくんでしまった。
もう、無理だ、と。
「……中也」
「っん……」
手を退けられ、目を瞑っただけの俺に、太宰は口づけしてきた。
唇に吸い付き、暫く唇を触れあわせたあと、舌で唇を割って中に入ってくる。舌同士を擦り合わせて、歯茎をなぞって、口内を堪能していく。それは、いつもの太宰の口づけの仕方だった。そう思うと、さっきまで萎れていた自身が熱をもってきた。
太宰は、俺が太宰の女の声に萎えてしまうのを判っているらしく、俺の自身を黙って数回しごいた。ぐり、と頭を撫でたあと頂点の割れ目に爪をたてて
俺の腰をしならせていくのも、何時もの太宰。
そんな風に騙し騙し勃たたせた俺の自身を、太宰がおもむろに握った。
嗚呼……くる。
どんな体勢だって立場だって、太宰が戻るには、俺が太宰を抱くしかない。早く太宰に会いたい。だけど、矢っ張り恐かった。
太宰が俺の首筋に何度か小さく口づけする。一際強く目を瞑った。
「太宰……」
呼ぶ。太宰が俺の手を握った。女になっても、感触や指の太さは全く変わっていない。良かった……
身体が強ばる。そして次の瞬間、俺の自身が太宰の中に……
ぐりゅ
「あッ…………え?」
それは、見知った感覚。
太宰が俺の中へ侵入して内壁を擦る、快楽と質量。それに反射的に喘いでしまってから、何が何だかわからなくて目を開いた俺の上に覆い被さっているのは……
「ふふ。怯える中也も可愛いよ」
少し高い男の声でそう云って、にっこり笑う。
細いが直線的な身体の輪郭と、平たい胸と。
それは、紛れもなく。
「だ……ざい」
「あーあ、呆けた顔しちゃって。可愛いからお仕置きだよ」
「あッ!?」
更に奥へ進まれて、解していない狭い内壁をごりゅごりゅと擦られ、びくっと身体が震えた。
「ふふふ」
細く息を吐きながら楽しそうに笑う目の前の太宰の顔をみつめていたら、涙が頬を伝った。何故かはまだわからないが、それは戻った愛しい人だったのだ。
この涙は突然の快楽からか、それとも……
「……うれしい」
呟くと、太宰は優しく俺の涙を拭い、そして、抱き締めてきた。中にいる太宰をきゅんと締め付けてしまう。
「んッ……は、は……中也、もう大丈夫だから。ね?」
「うん……」
「今度こそ、抱いていい?」
黙って背中に手を回した。
それは、幾度も抱き締めた、ひょろいが何故か頼れるような、そんな、太宰の背中だった。
沈黙は肯定だと、こいつは知っているから。そうだろ? 太宰。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.43 )
- 日時: 2019/05/19 20:58
- 名前: 枕木
「んッ、あッ、あッ……あんっ」
ビクッと身体が跳ね、絶頂の縁に立った。腰を揺さぶられながら、揺さぶってくる恋人の顔を見上げ、口づけをねだる。すると直ぐに唇を塞いでくれて、ずちゅずちゅと更に腰を揺さぶってきた。
「んんッ、んッ、ン、ンン〜〜ッ」
塞がれた甘い声。快楽に耐えようと身体が強ばり、足の指先が丸まって、足を閉じようとする。だけど太宰が俺の足の間から絶えずに快楽を送ってくるからそんなのでは全く足りなくて、気持ちよさで頭が塗り潰されていくだけだった。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ、と俺と太宰の愛液と精液で濡れそぼった内壁を擦られ、腰をうちつけられる。あっという間に限界はきて、腰をしならせて何度目かの精を吐き出した。ほぼ同時に奥底に熱が放たれて、口付けている太宰の口に声を飲み込まれた。
「んん……〜〜ッ…………ぷはっ。はー……はー……」
「はあ、はあ……もう一回いける?」
「む、り。むり……」
快楽で蕩けた身体で弱々しく首を振ったがそんなものに効果はなく、太宰は、一度抜いたと思いきや、奥まで一気に貫いた。そのまま、腰を揺らされる。
「あぁあアァああ!? え、いや、あっ、らめ、あッ、アッ、ああッ! らめぇ……」
「ど、して、だめなの? はっ、はっ……こん、なに、気持ち良さそーなのに」
「ああっ! んあ、あっ、あぁ……ッン、ああん……から、らめ。きもち、から、おかしく、なっちゃ……ひあぁっ!」
上に乗られて、挿入られて、揺さぶられて、喘がされて、ビクビク痙攣させられて、絶頂させられる。見るにも耐えない、こんな女みてェな恥。
「ふふ……身体ガクガク揺れてるねえ。イキそ?」
「ああ、ああ……ひ、あ、うそ……らめ、ら、め……やら……」
恐怖に、目を見開いた。
一番奥にある、剥き出しにされたも同然な性感帯。そこに、太宰の亀頭がたどり着いたのだ。感じたのは、ここを目一杯突かれたら……自分はどうなってしまうのか、という恐怖。少し当たっただけで、許容範囲を軽く越えた快楽が脳天を突き抜けて、涙が溢れた。
「だ、ざい……」
「中也、好き」
ちゅっ、と口づけされる。
次の瞬間、深く沈み込んだ亀頭に秘部を突き擦られ、信じられない程の快楽に声も上げられずに絶頂した。
「〜ッ! 〜ッッ!! 〜〜ッッ!!」
ガクガク身体が痙攣して、震える自身からあちこちに精液が飛び散る。それと同時に、奥深くに、びゅるるる、と熱を埋められる。太宰は、苦しそうに顔を歪めていた。
痙攣が止まらない身体を、太宰がぎゅっと抱き締める。暫くして身体が落ち着くと、太宰はふーっ、と息を吐き、胸の中の俺を見下ろして微笑んだ。獣のような眼光が残る、雄の瞳。
それに安心して、俺は、顔を伏せてもう一度身体を震わせてから、そっと目を閉じた。
* * *
結局、どうすれば男に戻れるのかというと。
「はぁ? 口づけの跡?」
太宰が挿入る直前にした、あの首筋への口づけ。あれが方法だったらしい。
「そう。流石の首領でも、中也に抱かせる気はなかったようだね」
「つか、知ってたんなら云えよ……」
此方は本当に恐かったのだから。気づかれてるだろうが、絶対云わねェけど。
「御免御免。あっ、あと、水も薬入ってるって判ってて飲んだからね」
「はぁ!?」
なんだか、どっと疲れてしまった。俺は溜め息をつき、蒲団に沈み込んだ。太宰は楽しそうに笑っている。
「ふふふ。また首領に薬作ってもらおうかな。次は中也にも飲ませてあげるからね」
「ぜっっってェやんねえからな」
「ふふふふふふふ♪」
……だって、何時も通りが一番だろ? 太宰。手前とこうしてるのが『何時もの事』になっていることが、幸せなんじゃねェか。
何時も隣にいて、何時も俺と。それでいいだろ。
楽しそうに悪巧みしている太宰の横顔を見ながら、俺はもう一度眠りについた。
えんど