大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.47 )
日時: 2019/05/31 16:24
名前: 枕木

それは、特に意図もせず、何気なく、ただほんの少しの興味でかけた問いだった。

「なァ太宰」
「ぅん?」
「手前、何時か手前の無効化の能力に例外は無いとか云ってたよな? 本当か?」
「勿論、例外は無いよ」

太宰は、にっこり微笑んで答えた。
しかしその後、「あー……」と視線を宙にさ迷わせる。

「でも、その異能がその本体に作用していないと効かないね」
「元に触れないと駄目ってことか」
「そう云うこと」

俺は、ふうん、と気の無い返事をして、自宅仕事に戻った。

思えば、このときに気づくべきだったのだ。

そうすれば、こんなことは……

*  *  *

愛用している衣服は、滅多に変えることはない。帽子から始まるそれらは、俺の覚悟でもあるからだ。

しかし、まあ、例外もある。

「……あ?」
「だーかーらー、贈呈品だよ、中也くん♪」

寝室の机の上で書類を広げ持ち帰った仕事をしていた俺に、仕事から帰ってきた太宰がにこにこして差し出してきたのは……

「首輪?」
「そう。君に似合うと思って買ってきたのだよ」

確かに、きちんと赤い包装紙で包装してある。その包装に包まれていたのは、今俺が着けているのと何ら変わりのない黒い首輪だった。

「今別に代えなんて欲しかねえが……」
「いいから受け取り給え。恋人からの贈呈品なのだよ?」
「……わーったよ」
「善し、じゃあ早速着けてくれ給え♪」

渋々承諾したが、こう嬉しそうに云われると弱い。俺は、元々着けていた首輪を外し、太宰に貰った首輪をつけた。太宰は余程嬉しいのか、始終にこにこして俺を見ていた。着けてみて……特に不憫はないが、なんか、微かに動物みたいな匂いが……

「ふふっ」
「ん?」

首輪の微かな違和感に眉をひそめていたが、気味の悪い含み笑いに、顔を上げた。太宰は、楽しくて仕方がないと云う顔をしている。
そして、いきなり、俺の両目を手で覆った。

「つあ!? 何しやが……」
「ワン、ツー、スリー……」

耳元で太宰がパチンッと指を鳴らした。
な、なんだ……?
手が退けられる。暫く焦点が合わなくて、目を瞬かせた。
何か起こったか?
焦点が合うと、太宰がまた気味の悪い笑みを浮かべ、俺を見ていた。そして、笑いを堪えるように云う。

「ふふふ。中也かわいーい♪」

「あ? ぶっころされたいかにゃー?」

……にゃー?

「……ぅにゃ?」
「ぷっ……くくく……あははははっ」

は? は? は??
思わず口元を抑える。意図せずに、気持ちの悪い語尾がくっついてきてしまう。なんだこれ。
混乱している俺に、太宰は、目に涙を浮かべながら手鏡を差し出してきた。
そこに映っていたのは。

「…………………………はぁあああぁああああ!? にゃん!?」

思わず絶叫する。やっと太宰が笑う理由が判った。

頭にはパタパタ動く猫の耳。尻から生えているらしいふわふわ揺れる尻尾。そしてこの語尾。


どうやら俺、猫化したみてえだな。


つづき>>50-54