大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.55 )
- 日時: 2019/06/02 17:46
- 名前: 枕木
小ネタ
〜中也くんに壁ドンして告白してみたよ!〜
*芥中*
ドンッ
「おっ、今のいいぞ芥川」
「……有り難う御座います」
「本気で強くなったんだなァ」
手合わせを頼みたいのですが、と後輩である芥川に声をかけられた中也は、快く相手になってやった。騒ぎにしたくはなかったため、場所はこの前マフィアが人員を殲滅した工場だ。羅生門を操り、本気で殺してこようとすると中々強く、隙を突かれて壁に追い詰められてしまった。このまま負ける訳がないが、後輩の成長を体験するのは悪くない。
「ですが、この程度ではまだ認めてはもらえません。更に強くならねば……」
「太宰にか。お前、本当に彼奴ばかりだよなァ」
ため息混じりに中也が云うと、芥川は、中也の首を壁に押し付けていた手の力を緩めた。中也が不思議に思って顔を上げると、僅かに目を見開いて、驚いた表情をする芥川がいた。
「? どうかしたか?」
「……中也さんは、僕は太宰さんの為に強さを求めていると……?」
「そうだが……。太宰に認められたいんだろ?」
芥川は、二度三度目を瞬かせたあと、一拍置いて、「はぁー……」と深々とため息をついた。
「お、おい……?」
「いえ、少しばかり予想外でした」
「はァ?」
まだよく判っていない中也が、小首をかしげる。芥川は中也の両脇に手をついてもう一度長いため息をついたあと、真っ直ぐに中也をみつめた。中也は少しばかり身長の高い芥川の顔を見上げて、戸惑った表情を浮かべる。
芥川が口を開いた。
「太宰さんは確かに僕の師です。強さを求めるのも、太宰さんが師であり倒すべき敵であるから故……。しかし、何の為に強さを求めるのかと問われれば、他でもない。貴方の為です、中也さん」
「……俺?」
「はい」
芥川が、そっと中也の右手を取った。中也は、芥川からの真っ直ぐな眼差しに目を逸らすことができなかった。
「僕は、中也さんを愛しています」
今度は、中也が目を見開く番だった。
「しかし、中也さんの隣に立つ資格があるのは貴方と同等か以上の強さを持つ者のみ……。その資格があるのが太宰さんです。それならば、太宰さんは僕の敵。太宰さんを倒せば、中也さんの隣に立つ者として認めらえる。それ故に、僕は強さを求めるのです」
驚きのあまり絶句している中也の右手をおもむろに持ち上げ、芥川はその甲に手袋の上から口づけをした。そして、中也をみつめて柔らかく微笑んだ。
「必ず認められてみせます。それまで、この先はお預けということに」
もう1つ中也の額に口づけをして、芥川は愛おしそうに中也の頬を撫でてから、背を向けた。
中也は、暫くその背中をみつめていた。
信じられなかったのだ。あの芥川が自分を愛している、自分の為に強くなっている、ということが。
……でも。
「おい」
その背中に声をかけた。芥川が振り向く。そして、再び目を見開いた。そこには。
「……せ、接吻くらいはする資格のある強さ……持ってるだろ」
頬を赤らめ、恥じらうようにそう云う中也がいた。
いつもとは全く違う中也に驚いたが、しかし、芥川は躰の内から滲み出る熱に気がついた。中也への愛おしさという、温かい熱。
芥川が、中也へ歩む。目の前に立つと中也は芥川の優しい眼差しから目を逸らせた。赤らんだ頬を撫で、顎を指でつまむと、中也はぴくっと躰を跳ねさせた。
「僅かな可能性はあると思って良いのですか、中也さん」
「……訊くなよ、ばか」
それを聞いた途端、芥川の何かが外れた。
熱い口づけをされてから、中也はこの辺り一帯が無人であることを思い出した。
愛と力。どちらの方が強いのだろうね? その答えも、この後の出来事も、神のみぞ知る……