大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.60 )
日時: 2019/06/10 21:25
名前: 枕木

久々に休みを取り、太宰と二人暇になった朝。
こんな日は寝間着姿で1日ごろごろしている太宰が、起きたら普段着に着替えていた。
目を丸くして驚いていた俺に振り返り、太宰はにっこり笑って云った。

「デエトしよう、中也」

*  *  *

此れは、どういう風の吹き回しだ……?

未だに状況が理解できない。太宰に促されるままに着替えて着いて来てしまったが、戸惑うばかりだ。今までの人生、デエトなど勿論したこともなければ、ましてや、太宰に誘われたことなど、一度もない。
外套のポケットに無駄な包帯を巻いた手を入れ、見慣れた横浜の街並みを眺めながら俺の隣を歩く太宰を見上げる。
真逆、何かあったのか……? 否だって、こいつが普通にデエトとか普通にありえねェ。
太宰をみつめて次々と不吉な考えを浮かばせていると、太宰はふと、呆れたように、ふう、と1つため息をついた。

「あのねえ中也。私を何だと思っているの?」
「貧弱で無能な包帯の付属品」
「莫迦、君の恋人でしょ」

思わず、立ち止まる。

は……? なんだこいつ。なんでそんな台詞さらっと吐くんだよ。気色悪ィ。

……でも。

太宰は俺の三歩先で立ち止まり、振り返って、俺をみつめ、微笑んだ。

「明日は私の誕生日でしょ。贈呈品に君の時間を頂戴」

その鳶色の瞳をみつめる。太宰は笑みを絶やさず、ポケットから抜いた右手を差し出してきた。

その手を少しの間みつめる。そして、そっと手を伸ばして、その手を握った。
阿呆、太宰のくせに、なんでそんな嬉しそうな顔すんだよ。
顔が熱い。何故か妙に恥ずかしい。
でも、まあ、教えてやってもいいか。だって、お前は

「莫迦は手前だろ」

鳶色の瞳からぷいっと目を逸らす。震える唇を開いて、掠れた声で云った。

「なんのために休みとったと思ってんだよ、莫迦」

太宰が目を見開く。気づけよ、莫迦。
そして太宰は、花が開くように笑った。

「君の時間、確かに貰ったよ」
「此からだろ阿呆」
「ねえさっきから私のこと罵りすぎじゃない?」
「黙れ青鯖」
「聞こえないなあ、帽子置き場くん」
「誰が帽子置き場だオラ」

腹いせに靴を踏みつけようとしてかわされて、べーっと舌を突き出されて、また罵った。

手を繋いだまま、俺たちは朝日が昇ったばかりの横浜の街を並んで歩き出した。

6月18日。明日は太宰の誕生日だ。


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