大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.64 )
日時: 2019/06/15 21:38
名前: 枕木

……まずい。
こんなの、絶対にあいつにバレたくない。バレたら、最悪別れを切り出されるかもしれない。そんなの、絶対に……

*  *  *

最近、中也がセックスさせてくれない。

いやまあ、今までも其処まで頻度は高くなかったんだけど。お互いこんな仕事しているわけだしね。
それでも、お酒を呑みながら目線が絡み合ったりすると自然と躰が求めあって、口づけした勢いで蒲団に押し倒して、情事に至る、という流れを切られたことは一度もなかった。もう幾度となく抱いているけれど一度も。抱く度に感度も妖艶さも可愛らしさも増していく中也を見ていくのは幸せで幸せで、そんな中也も全部ひっくるめて愛している。

それなのに、その中也が。

「お、おい、待て」
「……え?」

蒲団に押し倒したところで、ぐっと胸を押し返される。
何時もならもうとろんとしている中也は焦ったような顔で、瞳を揺らし、必死で私を止めた。

「今日は……無理だ」
「どうして?」
「無理なもんは無理なんだよ」
「なに、生理?」
「あ、阿呆! ……そうじゃ、ねェけど、今日は」

おかしい。明らかにおかしい。
私の下で目を逸らしつつ、そう云う中也は、何かを隠していると見え見えだ。だけど、その隠し事は何なのか判らない。

でも……どうしてだろう。中也……怯えてる、何かに。私の胸を押した右手が、微かに震えていた。

それを知ってこのまま必死な恋人を組敷くなんて選択、私にはない。大切な恋人だもの。
だから、ふう、と1つ息をついて熱を持ち始めていた下半身を落ち着かせ、不安げに蒼い瞳を揺らす恋人を安心させるように抱き締めた。

「わかったよ、今日はしない。その代わり、抱き締めて眠っていい?」
「……ん」

中也は張り詰めていたものを解すように私の胸の中で息を吐き、小さな声で

「悪い」

と謝ってきた。

不安に揺れていた瞳、怯えて震えていた右手、必死な制止の声。
どうしてそんなに私に抱かれたくないんだろう。
もう微睡んでいる胸の中の恋人の朱色の髪を撫でながら考えて、ふと、思い立った。
真逆、そんなわけない。いつもあんなに善がって鳴いて啼いて……でも、若し。

……中也が、私に抱かれるのに飽きて、私との情事に嫌気が差したのなら。もう二度と私に抱かれたくないと迄思っているのだとしたら。

血圧が下がっていくような感覚だった。胸の中で愛しい恋人が身動ぎした。

もう二度と、中也を抱けない……?
もう中也は、私に飽きた……? 中也に、嫌われた……?

その夜私は、中々眠りにつけなかった。浅い眠りの中で、朱色の髪に黒い帽子をのせた小さな背中を追いかける夢をみた。追いかけても追いかけても一向に距離は縮まらず、伸ばした手は届かない。私にとってこれ以上はない悪夢。

目を覚ますと、もう恋人は仕事に出掛けていた。胸の中の温もりはもう消えていた。
枕元に置かれていた『遅くなる』と一言書かれたメモの紙を握り潰して、私は立ち尽くしていた。

Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.65 )
日時: 2019/06/16 14:37
名前: 枕木

あまり太宰と顔を合わせたくなくて、早朝から夜中までひたすら敵の殲滅に尽くした。仕事から帰ってきたのは、日付が変わった頃だった。

「太宰? 寝てるか?」

何時もは豆電球はついているのに真っ暗な寝室の襖を開ける。太宰……怒ってんのか? まあ、あんな出掛け方したら怒るよな……
手ぐさりで蒲団脇のスタンド電気をつけると、弱い明かりに照らされて、すやすやと眠る恋人の顔が映し出された。
その寝顔をじっとみつめる。

何時まで、この状態を保てるだろうな。あまり持たない気がする。手でしたり口でしたり騙すことはできるだろうが、この性欲莫迦の絶倫が俺の制止に従っていられる訳が無ェ。無理矢理犯されるのが先か、別れを切り出されるのが先か……どちらにしろ、俺のこの躰で俺達に未来はない。

太宰の黒髪を撫でる。身動ぎ1つせず、すやすやと眠っている。そんな穏やかな寝顔、いつの間に出来るようになったんだ。あの4年間で、か……?

悔しくて哀しくなって、太宰の頬に手を沿え、呟いた。

「若し『此れ』を暴露しても……手前は、俺の事を嫌いにならねェか……?」

溜め息がこぼれる。莫迦莫迦しい。俺も早く寝るか……

がしっ

「!?」

立ち上がろうとしたら、後ろ手を掴まれた。あっという間に世界が反転して、蒲団に押し倒される。目の前に、眠っていた筈の恋人の顔があった。

「て……め、狸寝入りか」
「中也こそ、そういうことは起きてるときに云いなよ」

太宰の顔を見て、ハッとした。
太宰は、辛そうに顔を歪め、瞳を揺らしていた。

「ねえ、何を隠しているの? 私のこと、もう嫌いになったの?」

俺の手首を蒲団に縫い付けている太宰の手に、力が入った。何かを堪えているような、歪んだ顔。

嗚呼……俺の不安が、こいつも不安にさせちまったのか。

「……悪かった」
「全部、教えてよ。何があったって中也のこと好きだから」
「約束しろよ?」
「勿論。なんて云ったって、中也の恋人だよ?」
「云ったな? どうなっても知らねェぞ」
「上等」

やっと、互いの表情が解れて笑みが浮かぶ。
太宰が、いとおしそうに俺の頬を撫でた。目を閉じると、唇が触れた。シャツの下を太宰の手が這い、気持ちを高めていく。

そして、久方ぶりの夜が始まった。

*  *  *

「ひッ……ン、んん……」

震える手が私の後頭部を押さえる。
舌で赤く膨れた中也の胸の果実を舐めながら目を上げてみると、真っ赤な頬で目をとろんと蕩けさせ、指を噛んで声を押し殺そうとする恋人がいた。
カリ、と果実に歯をたててみると、私の手の中で中也の自身がぴくっと跳ね、更に硬くし、愛液を垂らして、くちゅ、と音をたてる。そして、腰を揺らして私の手に自身を擦り付けてくる。その手を見てみれば、ぬらぬらと濡れていた。

「ほら中也、見て御覧? これ、全部中也が出したのだよ?」
「やっ……ごめ……」
「ふふ、私こそ御免ね。もうとっくに欲しくなっちゃってるでしょ?」

中也の背中に手を回し、一緒に起き上がって、私の足に座らせる。すかさず中也は私の首に腕を回し、私の自身に位置を合わせて腰を降ろした。下着は身に付けたままだ。前だけずらして晒していた中也の自身を私の腹に擦り付けながら、中也は腰を揺らして、下着越しに入り口を私の自身に擦り付けた。

「あッ、あッ……」
「あーあ……我慢できないの?」
「ん……もう、挿入て……」
「ふふ、仕方ないなあ」

私が許可をすると、中也は私の下着のゴムを引っ張った。そして、解放を待ちわびていた私自身がふるりと現れると、それをうっとりとみつめた。
中也は膝立ちになり、自身の下着を下に押し下げた。自身から出た愛液がついていて、ねっとりと糸を引いていた。しかしそれにも構わず下着を脱ぎ捨て、そして、もう露になっている私自身に濡れてひくひくしている入り口を合わせ、そのあと……腰を下ろした。

「ああぁあああぁ……ッ」

うっとりと嬌声を上げながら、私自身が中也の中に飲み込まれていく。ごりごりと狭い内壁を押し広げると、中也はぴくっと躰を痙攣させ、それでももう止められないようで、私が動く間もなく、全部飲み込んでしまった。

「あ……あっつ……」

ぽたぽたと中也の自身から愛液が滴り落ちる。可愛くて可愛くて、赤く染まった躰を抱き締めて、躰を密着させた。

「どうしたの? 今日。何時もの数倍淫らだね」
「いやか……?」
「ううん。大歓迎」

朱色の髪を撫でて、つむじに口づけを落とす。

「でも……此処からは、私の番ね」
「え……だ、だめ。今日は、全部俺が」
「やーだ。いいから、中也は善がってなよ」

中也が、すがるような瞳を私に向ける。だけど、気づかないふりをして……下から、突き上げた。

「あァんっ!」

背中を逸らし、高い嬌声をあげると、その瞳もとろんと蕩けた。
少し腰を浮かせて、腰を引き、ぱちゅ、と打ち付ける。

「ひあァあんっ! ンッ……あっ」

更に追い討ちをかけるように腰を揺らすと、中也は躰を丸めて強ばらせ、私の背中にしがみついた。びく、びく、と足が痙攣している。やけに感度がいいな……と思った次の瞬間。

とぴゅっ

「…………え?」

必死に私にしがみつく中也の自身が触れていたお腹に、熱い液体がかかる感覚。強ばらせていた躰を緩ませ、中也が、どさ、と蒲団に背中をつける。内股をやわく痙攣させながら、顔を手で隠し、はあ、はあ、と荒い呼吸を繰り返している中也とお腹にかかった液体を見比べる。
うそ……でしょ?

「中也……イッたの?」

三度突いただけで。確かに感度はいい方だが、こんな早さ聞いたこともない。

問い掛けると、中也は暫く黙っていたが、やがて、顔を覆い隠す手の間から、震える声で云った。

「わ……笑うなら笑えよ。でも……頼むから」

手が退けられる。真っ赤な頬と、うるんだ蒼い瞳。

「別れるとか……云うな」

そっか。

中也が隠していたことは、これか。

何度も抱かれて、感じやすすぎる躰になってしまったということ。すぐに絶頂してしまう躰になったということ。それを知られたくなくて、セックスをあんなに拒んだのだろう。

不安そうに目を泳がせる中也の頬に、そっと触れる。

「……中也」

朱色の髪を、かきあげる。中也がぎゅっと目を瞑った。

……次の瞬間。

「……っぷ」
「…………?」
「ふふ……あはははははっ!」

腹の底から込み上げてくる笑いを堪えられなくて、私は声をあげて笑った。
うそだろう、こんな可愛い隠し事をあんなに苦しんで悩んでたなんて、莫迦みたい。
中也は少し呆然としていたけれど、意を決したように、そろり、と私の首に腕を回した。

「……嫌じゃねェのか? こんな、だらしない躰抱いて、嫌にならねェか?」
「なるわけないじゃない。嬉しくなるだけだよ。本当に莫迦だね、君は」

中也の瞳から涙が溢れる。微笑んで、それを拭った。

「ねえ、これからも中也のこと抱いていい? 沢山、沢山」
「……うん」
「嬉しい」
「……俺も」

笑いあって、甘い口づけを交わした。
そして、中也の足を持ち上げて広げる。見られて、また中也自身が起き上がってきた。濡れそぼっている真っ赤な入り口が、きゅう、きゅう、と開閉を繰り返している。誘われるようにして亀頭をそこにくっつけてみると、嬉しそうに吸い付いてきた。

「あはは、可愛い。……じゃあ、たっくさんイかせてあげるね」
「うん……おさむ……」

中也は妖艶に微笑んで、腰を揺らした。粘液が擦れて、くちゅ、と音をたてた。

第二ラウンド……開始。

*  *  *

何度も奥底を突いてイかせたあと、中也は自ら私の上に乗り、お馬さんを始めた。

「あッ、あッ、ああー……あン、あンッ……あぁん……! あっ、す、ごい、あッ、おく、あたっ……あぁっ」
「きもち?」
「き、もち、きもちぃ……あッ、そこ、そこっ……あっ、おく、ごりごり、あたるっ……」

ずちゅ、ずちゅ、と上下に腰を揺すって、唾液を垂らして、恍惚の表情で喘ぐその姿を下から拝む、この幸福。
何度も出したのにまだ足りていない中也自身は硬く勃ち上がっていて、腰を揺する度に愛液を垂らしながらぶるんぶるんと揺れる。

「あッ、あッ、あッ……あン! あ、あん、ああん……っイく、イく、イッ……!」

切なげに顔を歪め、躰を丸めて中をきゅっと締め上げながら、中也は躰の中央の自身から白濁を吐き出した。

「あぁあ……」

声をあげ、足を広げて痙攣させる。どろっどろの内壁が、痙攣にあわせて収縮した。全てを晒け出して絶頂する姿は淫乱と呼ぶしかなくて、ぞく……っと快感が脳天をつき抜け、奥底に熱を放った。

「ッ……」
「あっ……あァッ!」

起き上がって、熱から逃げようとした中也の腰を押さえ、最奥で勢いよく熱を放つ。それだけで声もあげられず絶頂した中也に更に追い討ちをかけて、上下に腰を揺らす。腰を押さえているから逃げることも叶わず、中也はただ、一番奥を硬くて太いもので擦られて快楽に声をあげるしかできないようだった。

「あッアッアッアア、ああんっあん、あ、あ、あ、あ」

蕩けて弛緩した躰を下から揺さぶられ突き上げられ、中也も意識が朦朧としてきたようだった。揺らす度にあげていた嬌声も途切れ途切れになり、やがて、私の首にしがみつき、びくん、びくん、と躰を痙攣させ、イくことしかできなくなった。

「あああ……っ! ね、も、むり、だざ……」
「うん。はあ、はあ……一緒に、イこう」
「だざい……」
「中也……」

抱き締めて、口づけた。

そして、フィナーレに中也の腰を押さえて、奥底をぐりぐりと押し潰した。
中也は声にならない声を上げて、ぶるっ……と躰を震わせ、そして、射精を伴わない絶頂を果たした。背中を弓なりに反らせて永遠の絶頂に蒼い瞳を揺らす中也の中に精を放ちながら、私は、愛と欲の境界線を消した。

*  *  *

抱きたい。抱かれたい。大事にしたい。大事にされたい。愛したい。愛されたい。

つまりは、全て同じなのだ。たまにすれちがうのも、仕方がないだろう。だけど全ては、絶対にここに戻ってくる。君が好きだ、と。

私は、朱色の髪に口づけをして、その躰を抱き締めて、眠りについた。
今日はいい夢を見られそうだ。笑みが溢れる。こんなに穏やかに眠れるようになったのも中也の所為なんだよ。中也は知っているのかな。

その夜、二人は同じ夢を見た。
ゆっくり、のんびり、寄り添って歩く、やさしい夢。たまに距離があいたりするけれど、同じ速度で、ずっと隣で歩く。

それは二人にとって、これ以上ない幸せな夢だった。


えんど