大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.87 )
- 日時: 2019/07/25 07:19
- 名前: 枕木
……芥川先輩だ。
仕事帰り、駅前を車で通ったとき目の端にちらっとうつっただけの黒色に、瞬時に脳がそう認識する。それと同時に、樋口はブレーキを踏みしめていた。
駅前の噴水の前の時計台の下で、黒外套で身をすっぽり包んで、サングラスをつけて、ちらちらと辺りを伺う、その姿。
これは好機では……!? とはならず、それを見た樋口の脳裏に浮かんだのは、過去の軽いトラウマだった。それと同時に、どうしようか、と首を捻る。とりあえず車を止めたはいいものの、声をかける勇気も必要もない。トラウマではあるが、あの事件のその真相、芥川が待ち合わせていた可憐な美女とは彼の妹であり樋口の部下である麗しき銀ちゃんであったからだ。
見ず知らずの女であったらトラウマでは収まらないが、妹なら何の心配もない。
仲の善い兄妹だよね。銀が羨ましいなあ。
そんなことを思いながら、ふう、と安堵の息をはき、去ろうとしたとき。
人々の雑踏の中樋口の耳に飛び込んだ、憧れの人の声。
「態々すみません」
え……?
ゆっくり、ゆっくりと首を回す。
そして、目を見開いて瞬かせた。
てっきり、其処にくるのは黒髪の美女だと思っていたのだ。
しかし、違った。そもそも妹にこんな丁寧な物云いをする必要はない。
其処に現れたのは、黒髪ではなかったのである。
銀ほどではない長めの茶髪を左肩に流して、大きい黒外套で身を包んだ、小柄な人影だったのである。
芥川はその者に向かって頭を下げたが、小柄な人影はふるふると首を横に振り、樋口には聞こえない声で何か云った。すると、芥川は顔をあげて、嬉しそうに笑った。それは、樋口も見たことのない、幸せそうなやさしい笑顔だった。
樋口は暫く固まっていた。
ショックで、頭が回らなかった。
「あ……くたがわ、せんぱい……?」
震えた声が発せられる。しかし当の芥川は、目の前の人物をずっとみつめている。熱っぽい視線で、ずっと。
小柄な者が、行こう、と促したようだった。芥川が頷く。そして、二人は駐車場の方へ並んで歩いていった。
樋口はその、お似合いの黒い背中2つを呆然と見ていたが、後ろからのクラクションの音にハッと我に帰った。こんなところで止まっていられない。芥川先輩をたぶらかす悪女を暴かなくては!!
樋口は無意識の涙を振り払い、アクセルを踏んだのだった。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.88 )
- 日時: 2019/07/25 11:20
- 名前: 枕木
樋口が駅の駐車場へ車を回すと、丁度芥川と“敵”が車に乗り込むところだった。
女が運転席……? まあ当然か、芥川先輩は車が無いからあれは女の車でしょうし……だからこそ送り迎えは私の出る幕だと常日頃思っているんだけど、何故か小さな幹部に先を越されるんだよなあ……どうして……まあ今はいい、とりあえずあとをつけなければ。
二人が乗り込み、車が発進する。樋口はそのあとに続いた。
その車の後ろ姿を見て、樋口は既視感を感じた。なんだろう、なんだっけ? まあ今はいい。ぐっと唇を噛み締めて、ぐっとハンドルを握り締める。
先輩、待っていてください。今私が救い出しますからね……!
* * *
芥川と敵の二人は、何軒か店を回ってはそのたびに購入していった。カーテン・絨毯の店、家具の店、ショッピングセンター。家具の店では紙切れをもってきただけだったから、オーダーメイドでもしたのだろうか。ショッピングセンターでは、食料や調理器具、洗剤などの日用品など、随分大きな買い物だったが、敵は、女にしては不自然な程のどっしり質量のありそうな大荷物を軽々と持ち上げていた。ああ、なんて女だろう。芥川先輩が手を貸そうとしたのに断った。なんて贅沢な! そこを代わりなさい、変態女!!
……という一部始終を全て尾行し、離れたところから双眼鏡で監視する樋口もかなり変質である。だが、憤りを感じながらも、樋口はその芥川の表情を見るたび胸を痛ませていた。
なんて幸せそうな顔だろう。目をやさしく細め、嬉しさ、幸せがあふれでるような輝く笑みを口元にあらわし、いつでもぴたりと敵の傍についている。熱のこもった眼差しはいつもその傍らに向けられていた。
羨ましいし、憎らしい。しかし、こんなに幸せそうな先輩を見るのは初めてで、樋口は、哀しみを感じながらも、もうすでに諦めのような、納得したような、観念しました、というような、何かが胸にすとん、と落ちたのを感じていた。
例えこの女が何かを企んでいたとしても、先輩が何か窮地に立たされているのだとしても、芥川先輩はいま、この女といて幸せなのだ。私がこの幸せを邪魔するのは、部下としても相応しくない。
女が荷物を積み込んだ。二人が車に乗り込む。
……あと一軒。次で、終わりにしよう。そうしよう。
樋口はそう決めて、車のあとを追った。もう悪女を暴く、という強い闘志はなかった。ただ、もう少しだけ、芥川先輩の幸せそうな姿を見ていたかっただけであった。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.89 )
- 日時: 2019/10/05 05:01
- 名前: 枕木
二人の乗った車は、レストランの駐車場で止まった。もう買い物は済んだらしい。確かに、もう随分沢山の物を買い込んでいた。
二人が店へ入っていく。樋口は、少し迷った。
次で最後、と云いつつ、結局は最後迄ついてきてしまった。ならばもう、最悪、ばれてもいいのでは。
ばれてもいいから……一度、あの二人の近くに寄ってみたい。邪魔する訳ではない。寄るだけなら。きっと、許されるでしょう。うん。よし。
樋口は一人頷くと、そっと二人のあとを追いかけて店内へ入った。
彼女は、少しだけ、楽しそうにも見えた。
* * *
女とテーブルを挟み向かい合って座った芥川と背中合わせになる形で、樋口はテーブル席に座った。もう子供が寝る時間は過ぎていたため、空いていたのだ。
ウエイターが置いていったお冷やに口をつけつつ、自分の背後に耳をそばたてる。
「家具は、来月には届くようです」
芥川先輩が云った。ああ、紙切れを持って出てきた、あの家具屋か。樋口はコップの中の氷をみつめながら、そう合点した。
「電気も通った故……ようやく、新居に移れますね」
そうか。
樋口は、ここにきて理解した。
芥川先輩とこの女は、新居で同棲を始めるのだ。今日は、そのための買い物だったのだ。だから、絨毯やカーテン、あんなに沢山の日用品を買い込んでいたのだ。
そうか……樋口は、少し寂しさを感じた。でも声から察すると、芥川先輩も嬉しそう……
「嬉しいかァ、芥川?」
……え?
明らかに男の声。否、でもこの声と口調、聞いたことが___
「はい。
______中也さん」
…………は?
………は?
「はぁああああぁぁぁぁぁあああ!?!?」
バッと立ち上がり、叫びつつ振り向けば、「なんだ」と無表情で振り向く芥川と、目を真ん丸にして樋口を見、朱色になりかかっている茶髪を黒手袋のした手で鋤く小さな幹部がいた。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.90 )
- 日時: 2019/08/01 20:06
- 名前: 枕木
「態々すみません」
そう云って頭を下げる芥川に、俺は横に首を振った。
「莫迦、恋人を久しぶりのデエトに誘っておいて謝ンなよ」
頬が熱くなるのを感じながらそう云えば、芥川は顔をあげた。
ったく、嬉しそうな顔しやがって。
俺は、万が一の為にと、目立つ朱色を簡単に茶色に染めた髪に触れながら、照れ隠しにそっぽを向いた。
* * *
「はぁああああぁぁぁぁぁあああ!?!?」
低い隔てを介した隣の席で、奇声と共に立ち上がる女がいた。
な、なんだ…? 振り返った女の顔を見て、躰が硬直した。
「五月蝿いぞ、樋口」
「すみませんッッ!!」
条件反射なんだろう。芥川が迷惑そうに云えば、彼女はバッと黄金の頭を下げた。
樋口だ。明らかに、どこからどう見ても、どう考えても、樋口だよなァ。
否待て? なんでコイツが此処にいるんだ? 偶然じゃねェよな、今のタイミングで。つか今、芥川と何話してたっけ? 嗚呼そうだ、同棲のことを……
「……………………
!!!!!!」
バッと口元を抑える。一気に体温が上昇する。
え? は? おいおいおい、嘘だろ、おい?
「中也さん?」
不思議そうに俺を見る樋口。俺はザッと立ち上がると、その肩を押して、俺が座っていたところに座らせた。そして、自分は芥川の……恋人の隣に座る。おい芥川、手前俺が隣にきて嬉しそうにしてる場合かッ!!
未だ脳内が整理できてねェ。否、そんなことある訳がないよなァ。念のためだ、念のため。真逆だとは思うが……
「……樋口お前、ずっとつけてた訳じゃねェよな?」
樋口が目を瞬かせる。芥川が人を殺せそうな目で樋口を睨む。樋口はその目に「ひッ」と小さく叫んだ。
「どうなんだ、樋口」
内心冷や汗をかきながら問いただす。
すると樋口は、真っ青で「すみませんッ」と頭を下げた。おい?
そして、小さく小さく、呟いた。
「……………………つけてました」
ゴンッ
俺は、反射的に額をテーブルに強かに打ち付けた。
「ッ、樋口貴様、中也さんに……ッ」
「す、すみませんッ! し、知らなくて、その、お、お二人が……」
嗚呼、終わった。終わった。
顔をあげられない。絶対真っ赤だろ。
でも、こいつに暴かれるくらいなら、いっそ俺から。
顔をあげる。覚悟を決めて、口を開く。
「お二人が……」
「樋口、実はな……」
「「こんなに仲が良かっただなんて/俺たちは付き合って……」」
「「…………ん?」」
思わず、顔をしかめた。
は? コイツ今なんつった?
「あの、ええと、中也さん今なんて仰いました?」
「否、だから……否その前に、手前こそ何て云ったんだよ」
「ですから、私、お二人がここまで仲が良かっただなんて知らなくて」
ん?
目を瞬かせる。樋口は至って普通の顔をしている。気を遣っているとかじゃねェよな、これ?
芥川と顔を見合わせる。芥川は何か物云いたげにしていたが、俺の心中を悟って、口をつぐんだ。
……思わぬ、幸い。
俺は「ンン”ッ」と咳払いをすると、帽子をかぶり直した。
「そうか、判りゃいいんだよ、判りゃァ」
「はい……しかし、先程は何を?」
「否? 何も云ってねェよ? なァ芥川?」
振り向くと、芥川は腕組みをし、黙っていた。
おい! そこは何か云えよ! バレたらどうすんだ!!
「す、少し、部屋の模様替えをしようと思っててな。俺、独り暮らしだろ? 芥川に着いてきてもらってたンだよ」
「……」
「そうだったのですか。てっきり、私は芥川先輩が女性の方とデエト中かと」
「……」
「な、何云ってんだよ!! い、何時も送り迎えしてやってるから荷物持ちに付き合えって云っただけでなァ、前にも先にも芥川とこんなことしたことねェし」
焦る。やばい、どうにか、弁解しないと。樋口は疑っている様子はない。でも。ああもう芥川、黙ってンなよ!!
焦って、考えられなくなって、それで、急いで、叫んだ。
「そもそも俺と芥川は、ただの上司と部下だ!!」
胸がずきんっと痛んだが、堪えて、云い放った。
はあ、と息をつく。樋口は、「そうですよね」と完全に納得している。嗚呼、よかった……
その瞬間、ずっと黙っていた隣の芥川が、口を開いた。静かな口調で、云った。
「僕と中也さんは、来月から同居するのだ」
目を見開く。樋口も目を真ん丸にする。おいおいおいおいおいおい?? と責めようとしたが、芥川は至って落ち着いていて、寧ろ、少し怒っているような感じだった。だから、何も云えなくなった。
「……えっと、同居、というのは……」
「即ち、僕と中也さんは恋なモゴッ」
急いでその口を手で塞ぐ。冷や汗が流れる。困ったような顔をしている樋口に、早口で云った。
「だからな、俺もこいつも独り暮らしだし、模様替えついでに家賃割り勘しねェか? みたいな感じになってよ。否、隠してたわけじゃねェんだ。ほら、色々誤解があるだろ? 一緒に棲むっつうと」
「ああ……」
樋口が納得したように頷く。俺は、また芥川が何か云い出す前に、その手を握った。
「そういうことだ。来月からこいつと棲む。それだけだ。あと、人を勝手に尾行すんな。いいな」
「はい」
「それじゃ帰んぞ、芥川」
握ったその手を引っ張って、店を出ていく。背中に、少し間の抜けた部下の「お疲れ様でした!!」という声を受けながら、むすりとした恋人の手を、ぎゅっと握った。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.91 )
- 日時: 2019/07/31 20:53
- 名前: 枕木
「なァおい、いい加減機嫌直せって。悪かったっつってんだろ」
先刻から目を合わせずに無言で俺のシャツの釦を外している恋人に云う。芥川は、矢っ張り怒った顔で、眉間に皺を寄せて、黙って釦を外すばかりだ。
参ったな、こりゃ……。車ン乗ってるときも、俺の家に入るまでも、この瞬間まで、芥川はずっとこの調子だ。俺にも罪悪感があったから芥川にいきなり寝室に引っ張りこまれてベッドに押し倒されて服を剥かれても、抵抗する積もりは無い。無いけどな? 無いけど、芥川手前、ヤるか怒るかどっちかにしろよ! こんな雰囲気じゃたつモンもたたねェわ!!
「あくたがわぁ……」
やべ、声半泣き。まあ、実際泣きたい気分ではあるが。
恋人の黒髪に手をやりながらそう呼べば、恋人は、観念したように、俺のベルトを外していた手を止めて顔を上げた。
眉をひそめて、拗ねたような顔をしている。鳩色の瞳が俺をじっとみつめていた。
「芥川、悪かった。御免な?」
「…………僕は……僕は、何故に隠すのか判りません」
芥川が、とうとう口を開いた。開いたと思ったら、芥川らしい言葉が吐かれた。
少し考える。一番伝わり易い言葉って何だろうな、と。そして、俺も口を開いた。
「バレたら……お前も俺も、未来がなくなるかもしれねェだろ。樋口を信用してない訳じゃねェ。でも、それとこれとは別だ。なんたって、俺らはマフィアだからな。この関係を、俺は微塵も恥じてない。だが、この関係は知られれば弱味だ」
「そんなこと……ッ。僕は、貴方を否定するくらいなら我が身を滅ぼしても構いません……!」
「それじゃ駄目なんだよ莫迦!!」
叱りつける。芥川が、辛そうに顔を歪める。まだ少年のような不安定さが伺える瞳が揺れていた。
芥川の想いは嬉しい。嬉しいけど、駄目だ。それじゃ、駄目なんだよ、芥川。
手を伸ばして、そっと頬に触れる。白色がかかる綺麗な黒髪を撫でる。芥川は、ぐっと唇を結んで目を細めた。
芥川。俺がどんだけお前のこと想ってるか知らねェだろ。
ずっとずっと、
「一緒に、居たいだろ」
芥川が目を見張る。
微笑んで、その頬を引き寄せた。莫迦、そんな驚くなよ。
額を、こつんと合わせた。
「俺だって、お前がどうにかなるくらいなら喜んで命でも躰でも差し出してやるよ。だがな、それじゃ駄目なんだよ。そんな事でお前と離れたくねェ。お前と、一緒に居たい」
「……中也さん」
「だから、嘘を吐いた。これからも嘘を吐く。お前と一緒に居るためにな。……胸は痛ェよ。すげえ痛ェ。でも、そのくらいでこうして一緒に居れンだから、安いモンだろ?」
にっ、と笑ってみせれば、芥川は息を飲んだ。そして、切なげに顔を歪めて、バッと抱き締めてきた。
「中也さん、貴方はずるい」
「おうおう、悪かったな」
笑いながら応える。芥川は、俺の首に顔を埋めて、はあ、とため息を吐いた。
「僕も精進せねば……」
「少しずつでいいだろ。安心しろよ、強ーい幹部様が傍にいてやるから」
「はい、有り難う御座います」
少し茶化して応えれば、返ってきたのは存外あたたかくてやさしい言葉で。胸が高鳴った。
芥川が顔をあげる。微笑んでいた。
「愛してます、中也さん」
「おう。……龍之介」
嗚呼もう、嬉しそうにしやがって。
その首に腕を回して、引き寄せて、口づけた。柔らかい感触から、恋人の熱が伝わってくる。
唇を離すと、にやっと笑ってやった。
「仕方ねェな、今夜はサービスしてやるよ。……その代わり、満足させろよ? 龍之介」
「はい。中也さん」
嬉しそうに微笑んで、みつめあって。
そして、再び口付けした。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.92 )
- 日時: 2019/08/11 06:34
- 名前: 枕木
俺が一糸纏わぬ姿になると、芥川は待ち切れないように直ぐ様抱いてきた。
つー、と白い指が鎖骨を、胸筋をなぞり、尖りにひっかかる。ぴく、と反応したのをきっかけに、くりくりといじってきた。
「んぅ……」
膨らんできた尖りをこねられるたびに、ぴり、ぴり、と緩い快楽が駆け抜ける。ぴくぴく、と快楽に反応してしまう太股を擦り合わせれば、もう既に硬く勃ちあがった自身が主張していた。
性欲に耐えられなくなって、表情も乏しくただ恋人をいじめる芥川の、空いている手を掴む。芥川は顔をあげて楽しむような目をして俺をみつめた。
「さ、わって……ここ」
ここ、と、掴んだ手を引っ張って、自身に触れさせる。その恋人の手の感触だけできもちよくて、びく、と股をひらいてくちゅりと愛液を垂らした。しかし、芥川はその手を動かそうとしない。なんで……きもちよくなりたいのに……
だがしかし芥川は、意地悪く目を細めていた。
「辛いのならば、自分で触れれば善いのではないですか?」
「っ……」
「中也さん?」
「お……まえ……っ」
それは詰まり、お前の目の前で自慰をしろってことだろ……?
かあ、と顔が熱くなる。涙で滲む視界で、目の前の男を睨み付ける。そんなものに効果がねェのは判ってる。でも、こいつ絶対ェ頭沸いてる!!
「如何なされますか、中也さん」
「っ……」
「ほら?」
「あッ!」
芥川が親指で先をぐり、と刺激する。気持ちよくて、更に硬くなるのを感じた。
つらい。イキたい。でも、自分でするのは、やだ。だって、俺……
やっぱりそれ以上は動かしてくれない芥川の手を掴む。芥川の楽しむような瞳をみつめて、泣きそうになりながら云った。
「俺……お前でイキたい」
芥川が目を見張った。すげえ淫乱な言葉だなとか、どうでも善かった。ただ、こいつに触られて、こいつできもちよくなりたかった。こいつ以外の誰かは、例え自分でも、いやだった。
「芥川……」
じっとみつめて、懇願する。
すると芥川は、観念したように、ふ、と息をはいた。
「先刻の仕置きをしようと思ったのですが、仕方がない」
「うん……ごめんな、芥川。でも俺、芥川じゃねェとやだ」
「……随分愛らしいことを仰る。判りました、いいですよ」
芥川が、改めて俺の自身を握りこんだ。ドキドキと心臓が高鳴る。
そして、先っちょから溢れ出る愛液を指に絡め、その指で俺自身を擦りはじめた。
「んっ……あっ……」
くびれの部分や先っちょの部分など、弱いところを擦られるとたまらなく気持ちよかった。枕をたぐり寄せてそれに顔を埋めながら、快楽にびくびく跳ねる身体で、芥川の手が動く度に、ぐちゅぐちゅと愛液が卑猥な音をたてるのに興奮していた。
「あっ、ふ、ぅ……んぁっ」
そこ擦られるの、きもちい……あ、イキそ……
「蕩けてきましたね。そろそろ、こちらも」
ちゅぷっ
「あッ!」
足がピクン、と上がった。中に、指が侵入してきたのだ。
「ふっ……中も熱い。もう柔らかいですね」
「あ、くたがわ……」
「判ってますよ、中也さん」
もう、駄目だった。欲しくて欲しくて堪らなかった。芥川がもうイキそうだった自身を手放した。何をするかは判ってる。ドキドキしながら、芥川が自身を取り出すのを見ていた。ソレはもう完勃ちしていて、その欲望を吐き出す場所を欲していた。
俺も、欲しい。早く、早くと、中が収縮を繰り返す。芥川はそんな俺に気づいて、ふっ、と笑った。
「随分と恥じらいのない先輩だ」
「きらい、か?」
「いいえ。……好いています、中也」
カアッと体温が更に上がった瞬間、芥川の自身がずぷっと一気に入ってきた。
「あァン!!」
びく、と腰が反った。熱い中に、熱い芥川が挿入っていて。奥に進むと、快楽を感じる神経を直接擦られたような感覚になって。
きもちいい。怖くなるくらい気持ちよくて、芥川の背中に手を回してしがみついた。
芥川自身が、ぐりぐりと内壁を擦って、奥へ進んでいく。中が芥川で満たされていく。ごりゅ、と奥底に硬いものがぶつかった。その衝撃にびく、と浮いた俺の足を掴み、芥川は楽しそうに微笑んだ。
「奥迄きましたよ、中也さん。どうしますか?」
芥川は、本当に楽しそうだった。何時から、こんなに表情豊かになったんだ? 判らねェな……
でも、そんなことを考えている余裕もなくて。快楽で満たされたい、こいつで満たされたいという欲求が、止まらなくて。
足を更に開いて、きゅん、きゅん、と中を収縮した。芥川は僅かに眉をひそめた。
ああ、好きだ。
「……動いて。大好きだから。龍之介」
その瞬間、芥川の目の色が変わる。何かのスイッチを押してしまったらしい。
「掴まっていろ」
云われた通り、芥川の背中に回した手にぎゅっと力をこめる。
「……本当に、困った人だ」
芥川はそう笑うと、直ぐにその笑みをおさめて、爛々と光る目をした。
そして、ずるん、と抜けるか抜けないがくらいのギリギリまで腰を引いた。やることが判って、更にぎゅっと芥川のシャツを握りこんだ俺に、芥川は……一気に奥まで、突きあげた。
「っ!! ああああああッ!?」
摩擦で壁を強く擦られ、快楽が痺れるように身体を駆け抜ける。奥を突かれると、ぞくん、と腰に熱が集まって、あっという間に絶頂を果たした。
びく、びく、と痙攣の止まらない身体。なのに芥川は、そこから直ぐに律動をはじめた。
ずちゅ、ずちゅ、と何度も往復して内壁を擦られる。硬い亀頭で弱点であるしこりを擦られると堪らない快楽が走って、どんどん脳内を快楽に塗り潰されていった。
「や、ア、あァ、ああん、あん、ああン!!」
途切れ途切れの自分の嬌声と、ぱん、ぱん、と腰をうちつける音が卑猥で、興奮を高めていく。「ンアァン……」とあられもない声を出して二度目のがくがく痙攣イキを果たすと、俺は震える身体を起こして、力の入らない身体で、すこし重力をかけて芥川を押し倒した。
「あッ……」
これ、すげえ奥までくる……
「中也さん……?」
「云っただろ……サービスしてやるって……」
俺は、足に力をこめた。
そして、上下に身体を揺すりはじめた。
「あッ……ひっ、う、あ……」
すすり泣くような嬌声が出る。俺の体重がかかって、奥をごりごり突かれる。ぱちゅ、ぱちゅ、と濡れた肌がぶつかる音。気持ちいいのが怖くなって動きをゆっくりにしていると、下からガッと腰を掴まれた。
「!?」
「……温いですよ、中也さん」
にやっと笑った芥川の表情に、胸がバクバクし出す。震える腰を掴んで、芥川は……
ずくっ
「ッ〜〜〜〜!!!」
下から、突き上げた。
奥底を強く刺激されて、声もなくイッた。もうそこからは何も判らなくなった。何度も何度も奥底ばかりずちゅずちゅと突かれて、反り返ってイッたってお構い無しに突き上げてくる。その内、無意識に更なる快楽を求めて芥川の突き上げに合わせて腰が動くようになっていた。動きが合うと奥底の更に奥を突かれて、あまりの気持ちよさに唾液を垂らした。
「あッ、あ……も、だめ、むり、も、や、ああ……」
「はい……最後は、共に」
芥川が身体を起こして、言葉なんかなくても伝わる愛を、唇で伝えあった。そして、突き上げがぱん、ぱん、ぱん、と速くなって、そして、最後にぐりゅっと奥底を突かれて。
奥に、どぴゅっと熱いものを吐き出された。それにぶるっと身体を震わせて、俺は永遠かと思われる、射精を伴わない絶頂を果たした。快楽、快楽、快楽……こいつに満たされる喜びに満たされて、俺はふっと意識をなくした。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.93 )
- 日時: 2019/08/11 06:49
- 名前: 枕木
目を覚ますと、すぐ目の前に眉間に皺をよせて険しい顔で眠る恋人の顔があった。
ふっ、と笑って、その眉間に口づけする。すると、その皺もほどけた。
複雑なように見えて単純で、大人なように見えて子供で、そっけないように見えて俺を愛してくれてる。
いとおしいんだ。だから、離れたくない。お前とずっと一緒にいたい。
「ごめんな、芥川」
本当は髪を染めないでデエトをしたい。堂々と恋人なんだと云いたい。もっと強くなったら、そうなれるだろうか。
芥川は俺に初めて愛を伝えてくれたとき、自分は俺の為に強さを求めるのだと云ってくれた。それなら、俺だって。
まあ、とりあえず、一緒に住もうぜ。話はそれからだな。
幸せな未来を、こいつと一緒にいる未来を祈って。俺は、大好きな恋人に口づけした。
えんど
おまけ
樋口(それにしても、あの中也さんと芥川先輩が同居もい問わないほど仲が善かったとは……あれ、あれは首領と芥川先輩?)
森「やあ、芥川くん。最近、恋人とは上手くいっているのかい?」
樋口(!? 矢っ張り恋人がいたの!?)
芥川「はい。来月から同居することになりました」
森「嗚呼、だから君の恋人、ここ最近嬉しそうにしているんだねえ」
芥川「……あの方が?」
森「うん。任務を与えると、通常の1.5倍の速度で終わらせてくるよ」
芥川「……急用を思い出しました。失礼します」
森「ふふっ♪」
樋口(…………芥川先輩の恋人はマフィアの中に!?)