大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 文豪ストレイドッグス【福乱/r18/BL】 ( No.13 )
- 日時: 2019/06/03 11:48
- 名前: だらく ◆nI0A1IA1oU
福乱でケーキバース〜【ある日を境に】その3
洋菓子が食べたいって頼もうとしたけど、僕が食べられる側ってことは周囲からそう云う目で見られるってことだよね?........社長と行動しよう!それが良い!そうしよう!社長ー、今の時間帯なら社長室かな?社長ー、居る?
後、僕を食べていいのは、一人だけだから!君たちに振り回されるほどお気楽な僕じゃない!何たって僕は一途だからね!というより振り回される前に僕が振り回したら良い話だよね!
とりあえず、まずは社長を探そう、此処には居ないみたいだし!
............スッ....
...................、........超推理(←)
嗚呼、あと一寸(ちょっと)だけ待っていれば良いみたいだね、なら待とう!
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「........何か本当に疲れ、た....」
自分の周りが二人が居なくなったことで静さに包まれたその数秒後に、はあとため息が自然と口から零(こぼ)れ落ち、本日二回目の疲れたが無意識に声に出てしまったこと自体にまたため息を吐く
あの目、本当に気持ち悪かったなあと乱歩は社に来る前の出来事を思い返して、心の中で改めて呟いた
幾(いく)ら僕が人の事気にしないって言ってもあれは........いや、考えるのは止めよう、何か嫌だから
「........社長、忙しいのかな........最近顔見せてくんないし....社長室には社長から良いと言われるまで、入っちゃダメって言われてるし........何時見せてくれるのさ......兎じゃないけど寂しくて死んじゃうじゃん」
頬を机の天板(てんばん)にくっ付けて突っ伏した状態のまま、数秒目を閉じていたが不意に目を開けて開眼したつり目で見る、乱歩が見た先には書棚があり、それ以外には目ぼしいものはなかったが乱歩の目には違うのが映っている
乱歩の頭に浮かんでいるのは社長ただ一人だった、一人になるとつい頭に浮かんできていつの間にか社長のことで脳内を占めていた
だから、乱歩の目の奥には何時も社長が居る。何故自分がこんなにも社長のことを考え思ってしまうのか、自分にも分からないまま、ただ悪戯(いたづら)に時だけが流れていた
社長と出会ってからあれから何年経ってしまったんだろう、あの頃の方が一緒に居る時間あったなあ........と考えれば考えれるほど寂しさでいっぱいになり、記憶から映し出された社長の姿より実際に会いたいと云う思いが段々募(つの)り
「........もう我慢できないしこっそり社長室に入っちゃおうかな........あ、でも怒られたくないし........うー....どうしよ........とりあえず一旦寝よう、僕疲れたし」
「................」
「........」
「............会いたいよ....福沢さん....」
眠気で今にも途切れそうな意識の中、切なくも消え入りそうな声音でぽつりと小さく社長の名を呼んだ
........夢の中でも構わないけれど、どうせなら........夢じゃない方が良い....夢なんかよりもずっと良いに決まっている
「............」
「........」
完全に意識を手放して深い眠りについた乱歩は自分でも気付かないうちに涙を流していた
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ー
乱歩が眠りについてから何れ程時間が過ぎたのだろうか、ふと乱歩の周りが暗くなる、それは誰かが乱歩の傍(そば)に近寄った人の影だった
近寄った人物は福沢社長本人だ、社長はすぐに声を掛けようとしたが肩を上下に揺らし頬には涙の跡が残っている乱歩の寝姿を見ると声を掛けるのを止めてそっと乱歩の頭を優しく撫でようと手を伸ばして、そこであることに気付いた
乱歩から甘い匂いがすると、何時もだとは思ったが今日は朝から疲れていて、菓子を食べている姿を誰も見ていないらしく、社の一人でもある弟子の国木田が用意している戸棚にある菓子を見ても減っていないことや乱歩に取って置いた分だけある羊羮と落雁を食してないと春野から聞いたため、そんなことはないと感じた
だが、確実に乱歩から社長が好きな菓子の匂いがする。それも甘ったるい匂いじゃない........美味しそうと思える匂いで、今日半日を甘い匂いがしない、甘いと感じられなくなった味覚の原因を探していた社長にとって乱歩からのみ甘い匂いがするという事実に動揺を隠せずに手を引っ込めて一歩下がる
また一歩下がり、ちらりと社内を見る。今は夕暮れ時で社内に居る人は帰投(きとう)していた、また好きで残っている社員らも今日は珍しく帰ったのは先刻、乱歩の様子を見に行く前に挨拶されたので分かっていたが、つい動揺を隠せない自分の姿を見られたくないと思っての行動だった
そして、社長は数十秒間意味もなく右へ行ったり左へ行ったりを何回か繰り返した後、不意にくんと袂を掴まれた感覚し、掴まれた方を見れば
「........ま、待って....待ってよ、福沢さ、ん」
乱歩は泣いていたのもあり涙腺が脆(もろ)くなっているのか、今にも涙が零れてしまいそうな開眼している潤(うる)んだ瞳で、弱々しく袂(たもと)を引っ張りながら心細そうな掠(かす)れている声で言ってから社長を見上げる
乱歩は社長と目が合うと自分が何故こんなにも不安なのか、一緒に居たいと思ってしまうのか、福沢さんの前では色んな表情が感情が出てしまうのか、弱くなってしまうのか....とその答えが出なくて、分からなくて....たった数秒の沈黙に堪(こら)えられず俯(うつむ)こうとするもそれは叶わなかった
それは社長が袂を引っ張っていた手をとってそのまま自分の方に引き寄せるように立たせたため、乱歩はよろけて前のめりになるも社長が包み込むように抱き止め、更に引寄せたからだった
〜〜続く〜