大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/BL】福乱 ( No.15 )
日時: 2019/06/03 11:52
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース【2】〜【同性、年の差なんて、そんなの】

※これは、福乱でケーキバースの【ある日を境に】の続きです。
 
 ねえ、皆は年の差とか同性って気にするの? そんなのさ、莫迦(ばか)らしいって思わない?好きにしたら良いと思う。だって、誰でも良いって訳じゃないでしょ? ねえ、そんなので君の気持ちは簡単に諦められちゃうの? 他人に簡単に左右される程度じゃないなら、もっと愛してよ。

 いっそ、溺れるくらいに。 法律とかが邪魔ならこの僕が手を貸してあげるから、何時でも呼んで 

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 ある日を境に晴れて福沢さんと恋人になった乱歩は、あの後福沢さんの想いを体や心で受けとめ、寮暮らしから福沢さんの家に同居することになってまだ、一週間経ってない日のこと。

 昔のように、二人の時間が来たことで寂しさや福沢さん不足が改善され、ここ最近は、福沢さんと恋人になる前までは簡単だし僕が行く必要がないから。と断っていた(乱歩にとっては)些細な依頼ですらも引き受け、意欲的に取り組み、以前とは比べ物にならない程成果を上げていた。

 ___活き活きとしている。一部の人を除いて誰もが分かる変化に、社の皆は、社長パワー恐るべし。と内心で乱歩を見る度にその言葉が頭に過り、この調子がずっと続けば良いと。誰もが思っていた。

 勿論、乱歩さんの教育係り否、世話を任せられている(?)国木田もその一人だ。だが、国木田はそう思うと同時に心配していていた。フル稼働__些細な依頼も、自分から進んでやるのは好ましいことでもあるも、普段の倍以上働いている乱歩を見て、喜べるはずのことが喜べず、代わりに心配が増すばかりで、国木田は、今日何回目かのため息を無意識に吐いて、こめかみに手をやる動作を繰り返していた。

「く〜に〜き〜だ君、何時もより眉間に皺が出来てるねえ、どうかしたのかい?」

 私で良ければ、相談に乗るよ? と、ずいっと視界に大きく否、視界の9割が太宰の顔で埋め尽くされて思わず、背凭れに寄り掛かるようにして仰け反りつつも、太宰の顔に手をやると無理矢理退かしながら

「余計なお世話だ。 その手には乗らんぞ、太宰」 

 良いから、お前はお前の仕事をやれ。と乱歩のことは心配だが、そう云えばコイツ(太宰)の存在をさっきのさっきまで忘れていた。否、ストレス因子(いんし)に成(な)りかねない太宰の存在を自然と頭から視界からも無いものとしている自分が居たが、相棒には変わりなく、社長からも任せられている上にデスクを挟み向かい合わせで仕事をしているので、良くも悪くも視界に入る。

 国木田は、身を乗り出している太宰を押し戻してから、眼鏡をくいっと上げる仕草をし目を光らせつつも、ぴしゃりと太宰を見ながら告げる。

「....、..分かったよ、仕事はする。 ただし、後で味見させてくれたらだけど」

 国木田に顔を強引に押されれば渋々と云った具合で引き下がり、押されたことで少し赤くなった鼻を擦(さす)りつつ承諾するも不意に思い付いたようにニヤリと笑みを浮かべて国木田を見つめながら「どうする?」と口には出してないがそう問いかけるように首を傾げる。

「?! ば、......誰があげるかっ!」

 ダンッと、両手で卓上を叩くと同時に立ち上がった国木田は誰が見ても顔が真っ赤だと分かるほど紅く染まり、叩いた手をそのまま拳にしてわなわなと怒りや何とも云えぬ羞恥心に駈られて身体を震わせながらも、太宰を睨み付ける。

 太宰はフォーク、国木田はケーキと、食う側と食われる側が向かい合わせだから、何れそうなるのは分かっていたものの、まさか机仕事(デスクワーク)真っ最中に言われてしまうとは思ってなく況しては国木田にはもうフォーク体質の恋人が居る為に、こほんっとわざとらしく咳払いしようと拳を口許へ持っていくも

「ねーえ、二人共。今、暇なの?」

 痴話喧嘩なら外でやってくんない? と新聞を広げて一つ一つに目を通していた乱歩だったが、二人がぎゃーぎゃーうふふしていた為に集中力が切れたのかぱさりっと無造作に新聞を卓上に放ると開眼した眼で国木田と太宰の両者を不機嫌そうな冷ややかにも見える眼差しで見つめてから投げ掛ける。

 二人の返事を待たずして、ため息を吐いてから口を再び開くと

「まあ、僕には関係ないけど。 国木田が用意してくれたお菓子、もう食べちゃったから。 国木田か太宰どちらでも良いから買ってきてくんないかな?」

 或(ある)いは二人で行ってきても良いけど。と開眼しているつり目を半目にし呆れたような物言いたげな表情をして云う乱歩は余程(よっぽど)気が散ったのか明らかに。そう、以前のようなやる気のない、つまらなそうに言い終わると同時に卓上に突っ伏してしまう。それを見た太宰と国木田は、お互いに顔を見合わせてから暫し時が止まったように固まっていたが、最初に動いたのは国木田だった。

 国木田は、太宰の冗談か本気か分からない言動に加え、乱歩から痴話喧嘩と云われた事に何とも言い難い羞恥心が駆け巡っていたが、本日二回目になる咳払いを紅くなっている顔でそれでいて自分では動揺や戸惑い、様々な感情を表に出てないと隠しているようで、

「断じて、違う。太宰に任せると仕事をサボりそうだ。だから、待ってて下さい」

 何時も通り、何時もと同じトーンで話せたと思っていたが、やや早口に早くこの場から去りたいと云う気持ちが先だって出てしまい、一気に熱が顔に来たようにどっと今よりも紅くなった顔で最後の方は乱歩に向けて告げて、足早に社から出ていた。

 その様子に太宰は、少し。そう本の少しだが国木田を本気で味見したいと思ってしまっていた。ただ

「私にも、ちっちゃい恋人が居るからねえ。 んー......」

(ちゅーやは、別に。怒っても怖くないのだけど、問題は。)とパソコン画面を眺め、思案しながらゆっくりゆっくりした動作で机仕事に取り掛かる。太宰にとってやる気さえあれば、こんな常務すぐに終わらせることも可能だがそのちょっとした手間が面倒でやりたくないだけの代物で。仕事より問題があると云えば、国木田の恋人が怒ると怖い。下手すればマフィアよりと、太宰は思う。だから、国木田にからかったり、悪戯したり、幾(いく)せ数多(あまた)の嫌がらせがまあ、出来るには出来るが、何時怒るか分からないから加減が分からないのも事実で、味見となったら確実に怒る。だから、どんな味がするかなんて試せないからどうしようかと顔には出さないが考えていて。

「......、...社長に一週間分褒めて貰いに行こう」

 太宰が此方に来そうな気がした乱歩は、太宰が耽(ふけ)っている隙に小さく。けれど、今から会うのが楽しみなのか口許を緩ませて口にする気は更々なかったのだが、気持ちが表に出てしまいながらも席を外して社長室へと向かう。

 社長と恋人になった今は、出入り禁止と云われていた社長室に入ることを許可されたので、社長が休憩に何時も入る時間帯に二日に一回は顔を出して社長の膝の上やソファーでお菓子を食べるというのが乱歩の日課になりつつあった。

 それだけでも、福沢さん不足は多少なりに解消出来ている。しかし、褒めてもらってないと乱歩は口にしてから気付き、その分褒めて貰いに行くと云う福沢さんに会う口実にもなるしいっぱい居られるんじゃないかと思い、社長室の扉に着く頃には上機嫌で今にも口笛を吹いてしまいそうな程、浮かれていた。

 扉をロックするなんて、乱歩はしない。する筈もなく勢いよく声を掛けると共に扉を開ける。

「社長ー!」

 満面の笑みをし、社長室に居る福沢さんに向ける。褒めて貰う前からこの調子じゃあ身が持たそうだと乱歩自身も思ってはいるものの、好きな人の前で自分と福沢さん以外誰も居ないから何時も以上に素になれる。乱歩は扉を勢いよく開けて直ぐ様福沢さんの元へ行こうとして歩みを進めようと一歩踏み出すも

「乱歩」
「扉ね。今、閉めるよ」

 福沢の嗜めるように名を呼ぶ声に踏み出そうとした足を引っ込めてから、福沢の次に云う言葉が分かったのか云う前に理解したように云いながら扉を閉める乱歩は、扉を開けたまま、このままのテンション、気持ちで福沢さんの元へ行きたかった為に、乱歩の口はへの字になり、扉くらい良いじゃん。と顔に書いてあるような分かりやすく態度に出ている。