大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/BL】福乱 ( No.15 )
日時: 2019/06/03 11:52
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース【2】〜【同性、年の差なんて、そんなの】

※これは、福乱でケーキバースの【ある日を境に】の続きです。
 
 ねえ、皆は年の差とか同性って気にするの? そんなのさ、莫迦(ばか)らしいって思わない?好きにしたら良いと思う。だって、誰でも良いって訳じゃないでしょ? ねえ、そんなので君の気持ちは簡単に諦められちゃうの? 他人に簡単に左右される程度じゃないなら、もっと愛してよ。

 いっそ、溺れるくらいに。 法律とかが邪魔ならこの僕が手を貸してあげるから、何時でも呼んで 

ーーーー
 


 ある日を境に晴れて福沢さんと恋人になった乱歩は、あの後福沢さんの想いを体や心で受けとめ、寮暮らしから福沢さんの家に同居することになってまだ、一週間経ってない日のこと。

 昔のように、二人の時間が来たことで寂しさや福沢さん不足が改善され、ここ最近は、福沢さんと恋人になる前までは簡単だし僕が行く必要がないから。と断っていた(乱歩にとっては)些細な依頼ですらも引き受け、意欲的に取り組み、以前とは比べ物にならない程成果を上げていた。

 ___活き活きとしている。一部の人を除いて誰もが分かる変化に、社の皆は、社長パワー恐るべし。と内心で乱歩を見る度にその言葉が頭に過り、この調子がずっと続けば良いと。誰もが思っていた。

 勿論、乱歩さんの教育係り否、世話を任せられている(?)国木田もその一人だ。だが、国木田はそう思うと同時に心配していていた。フル稼働__些細な依頼も、自分から進んでやるのは好ましいことでもあるも、普段の倍以上働いている乱歩を見て、喜べるはずのことが喜べず、代わりに心配が増すばかりで、国木田は、今日何回目かのため息を無意識に吐いて、こめかみに手をやる動作を繰り返していた。

「く〜に〜き〜だ君、何時もより眉間に皺が出来てるねえ、どうかしたのかい?」

 私で良ければ、相談に乗るよ? と、ずいっと視界に大きく否、視界の9割が太宰の顔で埋め尽くされて思わず、背凭れに寄り掛かるようにして仰け反りつつも、太宰の顔に手をやると無理矢理退かしながら

「余計なお世話だ。 その手には乗らんぞ、太宰」 

 良いから、お前はお前の仕事をやれ。と乱歩のことは心配だが、そう云えばコイツ(太宰)の存在をさっきのさっきまで忘れていた。否、ストレス因子(いんし)に成(な)りかねない太宰の存在を自然と頭から視界からも無いものとしている自分が居たが、相棒には変わりなく、社長からも任せられている上にデスクを挟み向かい合わせで仕事をしているので、良くも悪くも視界に入る。

 国木田は、身を乗り出している太宰を押し戻してから、眼鏡をくいっと上げる仕草をし目を光らせつつも、ぴしゃりと太宰を見ながら告げる。

「....、..分かったよ、仕事はする。 ただし、後で味見させてくれたらだけど」

 国木田に顔を強引に押されれば渋々と云った具合で引き下がり、押されたことで少し赤くなった鼻を擦(さす)りつつ承諾するも不意に思い付いたようにニヤリと笑みを浮かべて国木田を見つめながら「どうする?」と口には出してないがそう問いかけるように首を傾げる。

「?! ば、......誰があげるかっ!」

 ダンッと、両手で卓上を叩くと同時に立ち上がった国木田は誰が見ても顔が真っ赤だと分かるほど紅く染まり、叩いた手をそのまま拳にしてわなわなと怒りや何とも云えぬ羞恥心に駈られて身体を震わせながらも、太宰を睨み付ける。

 太宰はフォーク、国木田はケーキと、食う側と食われる側が向かい合わせだから、何れそうなるのは分かっていたものの、まさか机仕事(デスクワーク)真っ最中に言われてしまうとは思ってなく況しては国木田にはもうフォーク体質の恋人が居る為に、こほんっとわざとらしく咳払いしようと拳を口許へ持っていくも

「ねーえ、二人共。今、暇なの?」

 痴話喧嘩なら外でやってくんない? と新聞を広げて一つ一つに目を通していた乱歩だったが、二人がぎゃーぎゃーうふふしていた為に集中力が切れたのかぱさりっと無造作に新聞を卓上に放ると開眼した眼で国木田と太宰の両者を不機嫌そうな冷ややかにも見える眼差しで見つめてから投げ掛ける。

 二人の返事を待たずして、ため息を吐いてから口を再び開くと

「まあ、僕には関係ないけど。 国木田が用意してくれたお菓子、もう食べちゃったから。 国木田か太宰どちらでも良いから買ってきてくんないかな?」

 或(ある)いは二人で行ってきても良いけど。と開眼しているつり目を半目にし呆れたような物言いたげな表情をして云う乱歩は余程(よっぽど)気が散ったのか明らかに。そう、以前のようなやる気のない、つまらなそうに言い終わると同時に卓上に突っ伏してしまう。それを見た太宰と国木田は、お互いに顔を見合わせてから暫し時が止まったように固まっていたが、最初に動いたのは国木田だった。

 国木田は、太宰の冗談か本気か分からない言動に加え、乱歩から痴話喧嘩と云われた事に何とも言い難い羞恥心が駆け巡っていたが、本日二回目になる咳払いを紅くなっている顔でそれでいて自分では動揺や戸惑い、様々な感情を表に出てないと隠しているようで、

「断じて、違う。太宰に任せると仕事をサボりそうだ。だから、待ってて下さい」

 何時も通り、何時もと同じトーンで話せたと思っていたが、やや早口に早くこの場から去りたいと云う気持ちが先だって出てしまい、一気に熱が顔に来たようにどっと今よりも紅くなった顔で最後の方は乱歩に向けて告げて、足早に社から出ていた。

 その様子に太宰は、少し。そう本の少しだが国木田を本気で味見したいと思ってしまっていた。ただ

「私にも、ちっちゃい恋人が居るからねえ。 んー......」

(ちゅーやは、別に。怒っても怖くないのだけど、問題は。)とパソコン画面を眺め、思案しながらゆっくりゆっくりした動作で机仕事に取り掛かる。太宰にとってやる気さえあれば、こんな常務すぐに終わらせることも可能だがそのちょっとした手間が面倒でやりたくないだけの代物で。仕事より問題があると云えば、国木田の恋人が怒ると怖い。下手すればマフィアよりと、太宰は思う。だから、国木田にからかったり、悪戯したり、幾(いく)せ数多(あまた)の嫌がらせがまあ、出来るには出来るが、何時怒るか分からないから加減が分からないのも事実で、味見となったら確実に怒る。だから、どんな味がするかなんて試せないからどうしようかと顔には出さないが考えていて。

「......、...社長に一週間分褒めて貰いに行こう」

 太宰が此方に来そうな気がした乱歩は、太宰が耽(ふけ)っている隙に小さく。けれど、今から会うのが楽しみなのか口許を緩ませて口にする気は更々なかったのだが、気持ちが表に出てしまいながらも席を外して社長室へと向かう。

 社長と恋人になった今は、出入り禁止と云われていた社長室に入ることを許可されたので、社長が休憩に何時も入る時間帯に二日に一回は顔を出して社長の膝の上やソファーでお菓子を食べるというのが乱歩の日課になりつつあった。

 それだけでも、福沢さん不足は多少なりに解消出来ている。しかし、褒めてもらってないと乱歩は口にしてから気付き、その分褒めて貰いに行くと云う福沢さんに会う口実にもなるしいっぱい居られるんじゃないかと思い、社長室の扉に着く頃には上機嫌で今にも口笛を吹いてしまいそうな程、浮かれていた。

 扉をロックするなんて、乱歩はしない。する筈もなく勢いよく声を掛けると共に扉を開ける。

「社長ー!」

 満面の笑みをし、社長室に居る福沢さんに向ける。褒めて貰う前からこの調子じゃあ身が持たそうだと乱歩自身も思ってはいるものの、好きな人の前で自分と福沢さん以外誰も居ないから何時も以上に素になれる。乱歩は扉を勢いよく開けて直ぐ様福沢さんの元へ行こうとして歩みを進めようと一歩踏み出すも

「乱歩」
「扉ね。今、閉めるよ」

 福沢の嗜めるように名を呼ぶ声に踏み出そうとした足を引っ込めてから、福沢の次に云う言葉が分かったのか云う前に理解したように云いながら扉を閉める乱歩は、扉を開けたまま、このままのテンション、気持ちで福沢さんの元へ行きたかった為に、乱歩の口はへの字になり、扉くらい良いじゃん。と顔に書いてあるような分かりやすく態度に出ている。

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/福乱】BL ( No.16 )
日時: 2019/06/03 11:55
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その2

 少しずつ認知はしているようだが、一部を除いて皆、理解に苦しみ、奇異な目で見る者が多く居る本国。世間の目は厳しいものになるだろう。其れは恐らく乱歩が思うよりも、だ。

 世間は放っては呉れぬ。障害は付き物だ、世間に認められねばならない。
___________________________


 そんな様子に福沢は、書類を端へやってから扉の近くに未だに居る乱歩に

「此処一週間の成果は、目まぐるしな」
「うん。まあ、僕にかかれば造作(どうさ)もない陳腐(ちんぷ)な事件ばかりだったけどね」

 あれぐらいだったら、賢次君か谷崎に任せても解決出来そうだけどね。と僕が行くまでもない。と云うように言い切る乱歩は、此処一週間で自分が解決した事件を思い返しているのか福沢の後ろにある窓に映る景色に開眼してない目で見る。その中には0.5秒しないで解決した事件もあったと、報告があり犯人を当てるだけ当てて帰ったと云う事もただあるが、何にせよ頑張ってきたと福沢は思った。

「乱歩からしてみればそうかも知れん。だが、迅速(じんそく)に解決出来るのは探偵社の中で乱歩だけだ」

 そんな乱歩に視線を合わせるようにゆっくり顔を上げれば、乱歩の視界に映ったらしく乱歩も此方をほぼ同時に見たので自然と目が合い、目を逸らさずに目線を合わせたまま、再び徐に口を開けば

「よくやった、乱歩」

 不意に柔らかな優しい目とふわりと優しさを纏っているような暖かみのある微笑をして、穏やかに云う。そんな表情を見た乱歩は、あまり見ない表情とそれが自分の好きな人だと云うことも相俟(あいま)ってか鼓動がさっきと比べて早くなり、頬に火照(ほて)りを感じて更にその表情で褒められたというのもあり、体温が上がったような気がして隠せないのは頭の中では分かっていたがそれを隠すように

「っ....それだけじゃあ、全然足りない」

 それだけでも、その表情を見れただけでも乱歩は充分だった。充分満たされていたが今日はあくまでも一週間分を褒めて貰うことで、福沢さんと居る時間を何時もより長くしたい。長く過ごせると思っていたのもあり、言い終わった後、ぷいっと福沢さんから顔を逸らす。

「そう云うと思い、今しがた終わらせた所だ。乱歩が来る予感がしてな」

 こうなる事を予想していたのか、それとも常日頃からかは定かではないが、相手が乱歩だからこそ、相手が自分の恋人だからこそ云える言葉をさらりと告げる。日常会話のように云うものだからか、それともそんな言葉を掛けると思ってなかったのか乱歩はまるで聞き返すように素っ頓狂な声を上げて福沢を見る。

「え?」
「私の今日の仕事は急務が入らぬ限りない。 乱歩の好きな場所でも好きなように使っていい」
「.......残りの半日、僕に呉れるの?」
「嗚呼、そうだ」
「!!」

 福沢さんの言葉は、真摯(しんし)だから疑いようもない。否、疑いたくないと云うのが心の奥に常にあって誰よりも傍に居たからこそたった今、云った福沢さんの言葉は真(まこと)だと分かる。しかし、予想してない。把握してない。心の何処かで無理だろうと諦めていた事で嬉しいのについ、信じられなくて確認するような疑うような声音になってしまっていた。

 けれど、頷いてからはっきりと口にする福沢さんを見て、ゆるゆると口角が緩くなるのが自分でも分かったものの、止められそうになくぱああっなんて効果音がつくような笑みを、心底嬉しそうな笑みをして今にも飛び付きそうになるが、真っ正面には書斎机。その前には応接間、どちらにしても福沢さんまで遠い。その為、どんなにそんな莫迦げた事をやりたくなる嬉しさに駆られようがそれは叶わない。

「っなら、福沢さん。膝、貸して!」

 開眼していた瞳を糸目に戻すとそわそわと落ち着きのない様子で嬉しそうな笑みをしたままで自分の腕を上にばっと広げて、無邪気に昔を彷彿するような声のトーンで云う乱歩は、また開眼した瞳で福沢さんを見る。

 それを受けた福沢は突拍子もない。否、予想していたからかぴくりと片眉を動かしたのみだった。

「...、...善かろう」

 膝、貸してというのは、大方膝枕して欲しいのだろうとは分かるが、承諾するのは些か問題があった。乱歩自身がという訳ではなく自分自身の体質。フォークと云う体質になっている為にケーキである体質の乱歩が近くに居ること事態、脳天に来るものがある。だが、恋人の頼みなら断る理由にはそれは該当しない。問題は自分の精神力。まさか、鍛練がこんな形で役に立つとは思わなかったが、無ければ、不味かったと福沢は思いながらも、福沢は社長椅子から応接間にあるソファーへと移動しソファーに座り、ぽんぽんと膝を2回軽く叩いて乱歩を手招くような仕草をする。

「福沢さん。......我慢、しなくても良いよ」

 そんな葛藤も見抜いたのか、福沢の些細な言動で普通の人ならば分からないことも分かり、手招きされて否、されなくても直ぐ様福沢の膝に頭を乗せてからそんな事を口にした乱歩。

 乱歩は、自分がケーキ体質で最も福沢の好みの味、匂いだと云うことも脳が欲し衝動に普通のフォーク体質の人なら襲って食らっていただろうと、自分が無傷で何処も損傷しないのは福沢だからこそ長く居ても況しては同居しても無事でいる。無事で済んでいるのはそれが何れくらい精神に脳に来るのかは分からないが並大抵の精神力ではないと出来ないと乱歩は思っている。自分がフォーク体質だったら、我慢出来ているか分からない。其れぐらいほぼ毎日お菓子や洋菓子、和菓子等食べているからきっと持たないだろうと思う、だからこそ云って更にはそれが恋人で恋人には我慢させたくないから云った言葉でもあった。

 そんな乱歩の言葉に、瞬きを忘れたかのように乱歩を数秒見た後。

「その言葉だけで、充分だ。 其れに仕事を終わらせたのは私の為でもある」

 恋人を想うのは、何も貴君だけじゃない。と内心で乱歩に対し思いながら、薄く微笑して何時もより柔らかな声音で諭すように聞かせるように徐にそう口にする福沢は、一週間分誉めて貰いに来る頃だろうと乱歩が思い付く前に予感していて自分も来る前々から恋人になった乱歩と一緒に過ごしたいと思っていたから、半分半分だった。自分の為と乱歩の為に仕事を終わらせて今日半日は過ごそうと思っていた。昔と同じようにはいかないがそれでもなるべく居たいと思ったから、例え、フォーク体質のままとしても、フォーク体質じゃなくても居たいと。

 たが、其れは長くは続かないだろう。と福沢は同時に思っていた。理由は、簡単だ。自分と乱歩は年が10才以上離れている。端(はた)から見れば親子としか見られず、下手したら孫と祖父だ。以前、鏡花を咄嗟に孫だと云ったが、其れはそれで致し方ないとは思っているが、其れに加えて同性と色々障害を伴う。

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/BL 】福乱 ( No.17 )
日時: 2019/06/06 21:30
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その3

 関係ないね、僕には。 だって、好きに偽りも嘘もないから気にならない。
左右されちゃあ駄目だよ。人に云われたからって好きを捨てたらね、もうきりがないでしょ?

 本当に。本当は、自由な筈なのに、足枷が重りが増えていくのは何故だろうか。堂々としたら良い、他人は君たち、恋人が羨ましいだけ。
__________________________

「それって......福沢さんも僕と同じで、一緒に居たいって思ってたの?」

 思考を巡らせて今後の事を考えていた福沢は、乱歩の言葉で意識を乱歩へと戻した。乱歩の髪を更々と櫛で梳(とか)すように優しい手つきで上から下へ撫でてはまた上から下へ撫でてを一定のリズムで繰り返してつつ、乱歩を見る。此方からは後ろ姿しか見ることが出来ないが、乱歩の耳は仄かに赤くなっていて見なくても声で嬉しいことが分かり、自然と表情が和らいでいくのが自分でも感じて 

「嗚呼、そうだ。 乱歩と一緒だ、私も一緒に居たいと思っていた」

 静かにそれでいてよく通る落ち着きのある声が、乱歩の耳に落ちる。乱歩にだけ聞こえるような声で少しだけ愛しさが含まれているような恋人だけに聞かせる声音が、すとんと心に入っていく。声だけ聞いても愛されているというのが、分かる。他の人には聞かせない声、こんなにもそう大切にする人は居ない。嗚呼、そういや......そうだった。

 乱歩が思い返すのは、敦が入りたてでポートマフィアに拐(さら)われ未だ災害指定獣だった時に言った福沢さんの言葉だ。

『仲間が窮地、助けねばならん。 それ以上に重い理屈がこの世に有るのか?』

 あの時の言葉。だから、勝てない。何時までも勝てっこない。否、勝てなくて良いとさえ思ってしまう。まあ、言いくるめられた気がして、やる気出なかったけど、あの時の褒美は嬉かったなあ。思い出したらして欲しくなってきた。あの時よりも

「......福沢さん。 あの時より沢山、たくさーん、褒めて呉れる?」

 一番欲しいのを呉れる。名誉とか地位なんてそんなのはどうでも良い。誰かに認められる。褒められる事は何よりも欲しいもの。其れが好きな人にならば尚更だと感じる。ただ褒めるだけで良いと云う解釈をお持ちなら今すぐに褒めるのを止めた方が賢明だ。そんなのは、相手にすぐ伝わってしまう。褒めるだけで良いと思ってしまった時点で暖かさなんてない。

「乱歩、それは」
「勿論、ねだるものじゃないって分かってるよ。けど、僕は諭吉さんの恋人だからね」
「!」
「恋人の頼みなら、それも良いでしょ?」
「......」
「ね、諭吉さん?」
「嗚呼、分かった。 今回だけ特別にだ」 
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_________
 普段呼ばれない名前を呼ばれてしまえば、敵わない。其れが最愛の人。恋人なら尚更。普段呼ばないからか、呼ばれた時の威力は予想を遥(はる)かに越(こ)えて理性を吹き飛ばしに掛かってくる。

 その為か、少し思考停止したものの乱歩の声で直ぐに戻り何事もなく過ぎ。今は、乱歩は福沢の膝に頭を乗せて余程疲れていたのか、数分しない内に安らかな寝息を立てて寝てしまった。

 福沢は、暫くの間。乱歩の頭を撫でていたが、扉の前に人の気配がして撫でている手を止めると同時に静かに扉を2回ノックする音がして

「用件は......?」
「用件は、あの......。前々から云われてる件で、お話が」
「あの件なら私の方から断りの電話をした」

 扉を2回ノックしたのは、春野だった。春野は、福沢さんに用件を聞かれて扉越しにやや言いにくそうに言葉を濁(にご)しながら用件を云い切る前に遮(さえぎ)るように福沢は、声音は変えないものの、うんざりしたようにため息を吐(つ)いてから静かにそれでいてはっきりとした声で春野に云う。

 春野の用件は、前々から来ている縁談の話だ。今は、仕事が忙しいと。その気はないと。自分でも分からないほど断り続けていた。だが、今ははっきりと自分が何で断ってきたのか分かる。自分の心に乱歩の存在があったからだ。

 自分に持っていない明るさや発想。切り替えの速さ、自分に良くも悪くも正直な所が乱歩にはあっていつの間にか惹かれていた。その傍若無人とも云える自由さは、いつの間にか当たり前になり一番自然に自分が出せて一番安らぎがある。良く全てが好きと云う人が居るが、間違えではないと福沢は思いながら、春野の声に耳を傾(かたむ)ける。
 
「其れが、本国で騒がれているケーキ体質、フォーク体質を無くす、生み出す異能者が縁談の条件になっているそうで、縁談をもう一度断れば、社の一人以外全員フォーク体質にすると云われまして......」

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/福乱】BL ( No.18 )
日時: 2019/06/20 22:59
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その4

___________ 
 ケーキ体質、フォーク体質と異能者と云う単語を春野から聞いて乱歩が、異能者の仕業と云っていたのを思い出した。そして、乱歩が近々相手から接触するとも。其処まで推理したとなれば、乱歩が縁談を知っていても可笑しくはなかった。ただ、今は乱歩が寝ているので、社長室で話すのもこのまま春野が立ったまま話続けるのは気が引けるのもあってか、

「春野、場を移す」

 福沢は一言、春野に云えば、乱歩の頭の下に手をそっと入れゆっくり僅かに浮かせれば、横へと自分の身体をずらしてからそっと頭を下ろしてソファーから立ち上がり、扉へと向かおうと歩き出そうとする。

 しかし、歩き出そうと前へ踏み入れる前にくんっと後ろへ弱く引っ張られて思わず踏み入れようとした足を引っ込めてソファーの上に居る乱歩の方を振り返るも、起きた様子はなく深い眠りについているようだった。

 それでも、何かを感じたのだろう。福沢の着物を掴む手はまるで、行かないで。と云っているようで居ると云った傍から離れる事になるとは福沢でさえ思いもしなかった事。だからってケーキ体質、フォーク体質で成り立ち優越やフォーク体質の人がケーキ体質の人を襲ったり最悪フォーク体質の人がケーキ体質の人を喰ってしまう事件も増えてきて早急の対処、解決が政府からも依頼が来ていて個人的な依頼も増えつつあった。

 個人的な依頼は、ケーキ体質の人の護衛が多く、護衛に当たる社員もケーキにしろ、フォークにしても辛い仕事だと云うことは福沢にも分かる事で異能で出来た体質と云えど一般市民が相手となると勝手が違うのもあり、社員の数と依頼の数が合わない状況が続いている。私が出れば多少は変わるかも知れないが何分怖がられてしまう事があると福沢は、表情の乏(とぼ)しさを自覚しているからかそれが密かな悩みでもあり、何とも歯痒い思いをしつつその為か、社員に回すか断るしかなかった。

 事は思った以上に重大で故に断ると云う選択はない。無いのだが、寝てても引き止めようとする乱歩を残すのはしたくはない。しかし、守れる自信はあれどわざわざ危険に成りかねない場所に乱歩を連れていくのは違うと感じてその手をそっと引き剥がすと乱歩の額に触れる程度の口づけを落とし

「行ってくる。........待っていろ、乱歩」

 すぐに戻る。なんて口にしたくても出来そうにない約束はしない。例え、乱歩が寝ていてもそれは、変わらない。それに恋人はすぐ戻ると口にすれば信じてしまう。と福沢は思う。
一時保存。

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/福乱】BL ( No.19 )
日時: 2019/06/03 12:04
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その5

__________一時保存。

Re: 【文豪ストレイドッグス】福乱【r18/BL】 ( No.20 )
日時: 2019/06/04 22:20
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その6

一時保存。__________________________

Re: (新)【文豪ストレイドッグス】織太【r18/BL】 ( No.21 )
日時: 2019/06/19 00:11
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

太宰誕生日〜織太【傍に居たい。ただそれだけ】

 この本で出来たパラレルワールド。その世界は唯一織田作が小説を書くと云う夢が実現できた場所。まあ、私が頑張ったのだけれど。ミミックには手が焼いたなあ。......嗚呼、織田作が書く小説読んでみたかったなあ。

 降下する自分の身体。明滅する意識の中でそれがそれだけが心残り。欲を云えば、この世界の織田作が私の友人であったら......と、知らないのは織田作がポートマフィアじゃないと分かった時から覚悟していた。していたが、望んでしまった。つい、久しぶりだなんて、織田作だなんて。

......莫迦だな。私は莫迦だ、そんな美味しい話があるわけがないのに。でも、織田作が生きてるだけで良いとしようか。本当に、この世界は壊れてしまわないように願うよ。

 私は最後に横浜の景色を目に焼き付けて穏やかな気持ちでそっと目を閉じた。

________これで、この世界とはさよならだ。

______________

_________

____

「太宰っ」

 え? 聞き慣れた声が、耳に届いた。そんなまさか、そんな筈はないと太宰は、耳を疑(うたが)った。下を見れば、織田作之助、織田作が降下する太宰を受け止めようとしているのか、両手を広げ迎えているのが見えた時には織田作の腕の中で

「お、織田作......?」
「嗚呼、俺だ」
「なん、で? だって、私の事」
「さっきは悪かった」

 そう云う織田作の表情に僅かに翳(かげ)りがあった。声音は先程とは、違うもので大好きだった織田作の友人に掛けるような親しみがある声音で、ぐずりと視界が滲んでいくのが自分でも分かり、見られたくないのとどう向き合えば良いかも分からず俯いてしまう。

「この世界の俺が......迷惑掛けた」

 太宰という特異点が無くなる直前に太宰の思いが強まって成し得たもので、今の織田作は、太宰が知っている織田作本人。否、元々魂の根元は同じなのだから、この世界の織田が太宰と友人だった事を思い出したと云っても過言ではなく、この本の僅かな時が過ぎれば、友人の太宰を忘れ、敵の太宰だと云う認識だけが。

 否、それはない。と織田作は思う。あの傷付いた顔、今にも泣きそうな顔、悲しげな顔、あの時間でどれだけ沢山の表情を見たか、ずっと引き摺ってしまうか。或いは、何かをするときに思い出してしまう印象的で忘れられないだろうと織田作は感じた。

 自分が、そうさせた。知らないときの俺は、あんなにも冷たくなるのか。と思ったほどだ。

「良い、良いんだよ。 私が、つい舞い上がっていただけなのだから」

 織田作が謝ることじゃない。と小さな声で、しかし何度も首を左右に振って俯いたまま云う太宰。そんな太宰を宥めるように背中を優しく擦り、

「......この世界のお前は、ポートマフィアの頭領だったな。 今は違うんだろ?」

 お前の話が聞きたい。と織田作は、自分が悪いと再び云ったとしても頑として譲らないだろう。と互いに譲れないと感じたものは何故か同じが多かったからか、先に折れる形で黙って受けとれば、謝罪の代わりに太宰の話を時間の許す限り聞いてやろうと思い、思った事を口にした。

 暫く俯いていた太宰だったが、その言葉を聞いてかばっと顔を上げて、徐々に蕾が開花するように表情が明るくなり、笑みを浮かべて

「勿論だよ。織田作に聞かせたいこといっぱい数えきれない程あるのだからね」

 今は、この世界の織田作と同じ探偵社でね。とぎゅっと織田作の手を握ってあのバーに向かいながらも浮き足で、語り始める太宰は、以前より否、あの迷子だった時に比べて楽しげで明るかった。

__________

_____

___

 酔い潰れた太宰を、この世界の織田作が暮らしている探偵社の寮。部屋に連れて帰ってきた。正直、言って此処しかなかった。ホテルとかも考えたが、どうやら話を聞いていると太宰の部屋でもあるらしく、不思議な感覚になりながら、それならと思い此処で寝かせることにした。

 本人が寝てしまったので、直接云えないが、起こすのも悪いので寝かせたまま。そっと太宰の頭を撫でて徐に口を開け、その言葉を口にしようとしたが、

「織田作、それは云っては駄目だ。 私は、私はね。織田作」 

 ただ、傍に居たい。出来るだけ出来るだけで良いから。と織田作の口を塞ぐようにして指で唇を触り、云いたかった言葉を云おうと聞いて欲しくて口早に声に出すが、織田作は、太宰が全て言い切る前に、感情を押し殺したような目で太宰を見て、軽く自分の口を塞ぐようにしてある指をやんわりと退(ど)かし首を左右に振って

「俺も、太宰と一緒だ。 ......居られないことも、分かるだろ?」

 もう、俺を気にするな。太宰。とまた泣かせてしまう自分が酷く苦しい。やっと思いが通じたのも、全て。だけど、そう。太宰に云いたかった。太宰が此れからも生きていられるように生きることに自分を見出だして欲しい。

「誕生日おめでとう、太宰。 ......ありがとうな」

 心から、そう口にした織田作は、最後に太宰と口づけを短くも深く交わして消えっていた。切なさと一瞬にして消える甘さ。だけど、確かにそこには織田作の温もりがあった。


End

Re: (新)【r18】文豪ストレイドッグス ( No.22 )
日時: 2019/07/21 21:19
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

文ストで福乱。【乱歩似の猫、拾いました。】その1

 ポートマフィアの頭領でもある森に、公の場で猫に話掛けていると云われてから、社員に猫好きだと云うことが、猫には弱いと云うことがバレてしまった。

 隠しているつもりなどない。皆、乱歩以外は聞いてこなかった為に隠していたと云うことになっていた。最近は、そう。

「社長。あの、太宰さんが......僕の異能が労いになると聞いたので......どうぞ?」

 おずおずと遠慮がちにそれでいて、何処か役に立てるという思いが瞳に表れているようでキラキラとした眼差しで此方を見て云ってくるのは新人の中島敦だった。

 云うと同時にひょこっと出てくる虎耳。猫科も勿論、大好きな福沢には例え其れが異能だとしても人の頭に生えているとしても虎耳は間違いなく本物で、心を揺さぶるものが其処にはあって

「.....痛いなど、あったら言って呉れ」

 触って欲しいと云わんばかりに、目の前に差し出された敦の虎耳に触る前に静かにそれでいてはっきりと口にした福沢は、そっと敦の虎耳に手を伸ばす。

 ふに。もふ、ふにふに。もふもふ。

「〜〜ッ、あ。 んんっ...」

 やんわりと優しく痛くないように触り、撫で、耳をもふられて、ただでさえ感じやすい耳にそんな刺激を与えられれば、そんな気はないのに変な気分にされてしまい、出したくもない甘い声が口から洩れる。

 自分から云ったことで、探偵社に受け入れてくれた社長に感謝と、好きというか、そう自分でも変だと感じるもそうだとしか思えない。敦は社長に福沢さんに懐いていたのだ。飼い主。否、飼われたいと思うほど。だから、触ってくれるだけでも幸せでこの甘い声が出てしまうのもそのせいだと敦は思う。けれど、それは叶わないかもしれない。

____この虎は嫌いだけど、社長にこんな優しい表情、笑みを見せるのは、猫と乱歩さんだけ。

 この笑みは、僕にじゃない。虎にだ。もしも、僕がこの虎は自分だとはっきり分かるのなら、この笑みもそうだと云えるのに。

「もっ、と......社長、御願いします」

 僕にも、分けて下さい。そんな感情、思いで社長に耳を触られもふられ、撫でられて体が火照り、荒くなった吐息混じりに懇願にも似た声で切なく乞う。 

 何時の間にか、虎耳だけではなく尻尾や敦の両腕も虎の前足になっていて、良く見れば足までも虎化していた。猫のように敦の顎を指の腹で喉仏辺りから顎に掛けて撫でを繰り返すと、気持ちが良いのか目を細めて喉を鳴らし尻尾をくねらす。

「ふ、んぅ......はああ、ふ。 あっ、そこぉとっても、いいです」

 完全に虎化しても社長なら.....否、僕じゃなきゃ嫌だ。と完全に虎になってしまいそうな程気持ちが良い。蕩けそうと敦は気持ち良さと社長に撫でられている。社長を独占出来るこの一時(ひととき)が至福で、もう蕩けた顔を社長に晒しているがこれ以上に蕩けてしまいそうで意識を虎に譲ってしまいそうと危惧してしまう程。気持ちが良い。蕩けた顔でふわふわの思考で甘い声のまま吐息混じり云う様は、色っぽく艶めいていて他の人が見たら襲ってしまうかも知れない程だ。



_________一時保存

Re: (新)【色々版権】駄作・雑多缶【r18/文スト福乱執筆中】 ( No.23 )
日時: 2020/10/02 13:05
名前: だらく ◆zF1sqJtLLk

文ストのMMDを見て聞いて創作意欲がちょい出てきたので上げさせて頂きますね。多分とり間違っていると思いますが本人です。まあ、以前も今も文章上手くないですが以前より下手になっているのでご了承くださいま

※やっぱり、トリ違いましたねー。このコメントは乱歩似の猫、拾いました。の続きを書くスレにしますので、後々消させて頂きますね!いや、残すか。まあ、今のところ福敦になってますが、いやだって猫科ですよ?!猫好きなら虎も行けますよね?!というより福沢さんと虎似合わないか?絵的にもさ!←
 
しっかし、トリなんだったかな。忘れちまったぜ。