大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 文豪ストレイドッグス【r18/BL 】福乱 ( No.17 )
日時: 2019/06/06 21:30
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU

福乱でケーキバース〜【2】【同性、年の差なんて、そんなの】その3

 関係ないね、僕には。 だって、好きに偽りも嘘もないから気にならない。
左右されちゃあ駄目だよ。人に云われたからって好きを捨てたらね、もうきりがないでしょ?

 本当に。本当は、自由な筈なのに、足枷が重りが増えていくのは何故だろうか。堂々としたら良い、他人は君たち、恋人が羨ましいだけ。
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「それって......福沢さんも僕と同じで、一緒に居たいって思ってたの?」

 思考を巡らせて今後の事を考えていた福沢は、乱歩の言葉で意識を乱歩へと戻した。乱歩の髪を更々と櫛で梳(とか)すように優しい手つきで上から下へ撫でてはまた上から下へ撫でてを一定のリズムで繰り返してつつ、乱歩を見る。此方からは後ろ姿しか見ることが出来ないが、乱歩の耳は仄かに赤くなっていて見なくても声で嬉しいことが分かり、自然と表情が和らいでいくのが自分でも感じて 

「嗚呼、そうだ。 乱歩と一緒だ、私も一緒に居たいと思っていた」

 静かにそれでいてよく通る落ち着きのある声が、乱歩の耳に落ちる。乱歩にだけ聞こえるような声で少しだけ愛しさが含まれているような恋人だけに聞かせる声音が、すとんと心に入っていく。声だけ聞いても愛されているというのが、分かる。他の人には聞かせない声、こんなにもそう大切にする人は居ない。嗚呼、そういや......そうだった。

 乱歩が思い返すのは、敦が入りたてでポートマフィアに拐(さら)われ未だ災害指定獣だった時に言った福沢さんの言葉だ。

『仲間が窮地、助けねばならん。 それ以上に重い理屈がこの世に有るのか?』

 あの時の言葉。だから、勝てない。何時までも勝てっこない。否、勝てなくて良いとさえ思ってしまう。まあ、言いくるめられた気がして、やる気出なかったけど、あの時の褒美は嬉かったなあ。思い出したらして欲しくなってきた。あの時よりも

「......福沢さん。 あの時より沢山、たくさーん、褒めて呉れる?」

 一番欲しいのを呉れる。名誉とか地位なんてそんなのはどうでも良い。誰かに認められる。褒められる事は何よりも欲しいもの。其れが好きな人にならば尚更だと感じる。ただ褒めるだけで良いと云う解釈をお持ちなら今すぐに褒めるのを止めた方が賢明だ。そんなのは、相手にすぐ伝わってしまう。褒めるだけで良いと思ってしまった時点で暖かさなんてない。

「乱歩、それは」
「勿論、ねだるものじゃないって分かってるよ。けど、僕は諭吉さんの恋人だからね」
「!」
「恋人の頼みなら、それも良いでしょ?」
「......」
「ね、諭吉さん?」
「嗚呼、分かった。 今回だけ特別にだ」 
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 普段呼ばれない名前を呼ばれてしまえば、敵わない。其れが最愛の人。恋人なら尚更。普段呼ばないからか、呼ばれた時の威力は予想を遥(はる)かに越(こ)えて理性を吹き飛ばしに掛かってくる。

 その為か、少し思考停止したものの乱歩の声で直ぐに戻り何事もなく過ぎ。今は、乱歩は福沢の膝に頭を乗せて余程疲れていたのか、数分しない内に安らかな寝息を立てて寝てしまった。

 福沢は、暫くの間。乱歩の頭を撫でていたが、扉の前に人の気配がして撫でている手を止めると同時に静かに扉を2回ノックする音がして

「用件は......?」
「用件は、あの......。前々から云われてる件で、お話が」
「あの件なら私の方から断りの電話をした」

 扉を2回ノックしたのは、春野だった。春野は、福沢さんに用件を聞かれて扉越しにやや言いにくそうに言葉を濁(にご)しながら用件を云い切る前に遮(さえぎ)るように福沢は、声音は変えないものの、うんざりしたようにため息を吐(つ)いてから静かにそれでいてはっきりとした声で春野に云う。

 春野の用件は、前々から来ている縁談の話だ。今は、仕事が忙しいと。その気はないと。自分でも分からないほど断り続けていた。だが、今ははっきりと自分が何で断ってきたのか分かる。自分の心に乱歩の存在があったからだ。

 自分に持っていない明るさや発想。切り替えの速さ、自分に良くも悪くも正直な所が乱歩にはあっていつの間にか惹かれていた。その傍若無人とも云える自由さは、いつの間にか当たり前になり一番自然に自分が出せて一番安らぎがある。良く全てが好きと云う人が居るが、間違えではないと福沢は思いながら、春野の声に耳を傾(かたむ)ける。
 
「其れが、本国で騒がれているケーキ体質、フォーク体質を無くす、生み出す異能者が縁談の条件になっているそうで、縁談をもう一度断れば、社の一人以外全員フォーク体質にすると云われまして......」