大人二次小説(BLGL・二次15禁)

1 ( No.2 )
日時: 2019/07/15 20:53
名前: 憑 ◆R1q13vozjY

【死ネタ/レイマリ】

霊夢が死んだ。その知らせが届いたのは、遊びに行く数十分前のこと。

死因は単純明快、老化。

霊夢はどんどん歳を重ねて、一人前の女に成っていくのに。
私は、いつまでも子供だった。

それもそう。

本物の魔法使いになった、いや、魔法遣いになったから。

この幻想郷では、人間が妖怪になることは禁じられている。

私は禁断の果実を食べきってしまった。


「れ、イム...何で」


息も絶え絶えに、襖を開けると霊夢は既にこときれていた。

無駄に達筆な置き紙が机の上にあった。内容はありきたりな遺書。

死ぬことを、知っていたのだろう。

『......あんたが妖怪にならなかったら、同じ様に死ねたのにね』
そういうみたいに、霊夢は私に背を向ける形で横向きになって、眠ってるみたいに目を瞑っていた。

回り込むと安らかな表情を浮かべていた。

黒くて澄んだ、真ん丸い瞳は最後に覗くことすらできなかった。


「ぁ、魔理沙さん...」
「よう、巫女さんよ。...霊夢も死んじゃったな、咲夜も、早苗も死んじまった。残るは私だけだ」


自虐に近い呟き。

せっせと働く、霊夢に似た新しい巫女。

だが怠け者でなくしっかり者。華扇は気に入ってるらしいが、私は...どうも、落ち着かない。


「私は、幸せな霊夢を見れてよかったぜ」


なんて、泣きそうなのを抑えて微笑む。

新しい巫女はふわふわとした、何処か悲しげな笑みを浮かべてみせた。


「私は、...哀しいですよ。これ、魔理沙さんにって、ね」


そう言って、巫女は三枚の封筒を私に渡した。


家に帰って例の封筒を破り開けた。

一つは私宛だったが、残りの二つは早苗と咲夜に向けたものだった。

...神奈子とレミリアにでも渡しておくか?

そう思いながら、私は中に封じられていた手紙に目を落とす。


『親愛なる魔理沙へ。

 あんたはいつも頑張ってた。
 気付いてないふり、してたけど。

 ね、妖怪になったのはどうして?』

『私は一緒に、死にたかった。
 
 だって、安心するでしょう。

 ごめんなさい』


......??

もうひたすらに、意味が分からない。

ごめんなさいって、なんだよ。

とかって思ってたら、くしゃくしゃでぐじゅぐじゅの紙がひとつ、あった。

どうやら続きらしい。


『あんたが、命懸けで異変解決してたの。
 気付かなかった。

 大切にしてたものって、いつか手離さなきゃならないのね』

『p.s

 私はもうすぐ死ぬ。

 どうしてか、...ずっと教えてくれなかったわね?
 妖怪になったこと。
 そこまで努力を重ねなくたって、私は好きだったのに』


......一枚、一枚、文字の筆形が違う。

書いた時期がバラバラだったのか。

くしゃ。

何かの落ちる音。

振り返ると、そこにはもうひとつの封筒。

...――魔理沙へ

中身をチラリと覗けば、感謝と謝罪ばかりの手紙と、今までの新聞が切り取られて押し込まれていた。

2 ( No.3 )
日時: 2019/07/15 20:54
名前: 憑 ◆R1q13vozjY

カチッ。


「――んなもので良いか」


もう何度目のビデオ。

使わなくなって、埃を被ったビデオが何本も連なっている。

私が死んだら、いや、死ぬから、決定的で、絶対的な...ビデオ。

辺りにはいつかの封筒が落ちていて。二人宛の封筒は、瞬間移動魔法でついさっき送った。


「異変なんてな。...今までは解決側だったのに」


嗚呼、私はもう死ぬんだ。あの、巫女に退治されて。

空が黒く染まった。雨がザーザー降りの、生憎な天気だった。


チーン、...。

悲しい音。

魔理沙が死んだ。

死にたいって、願うなんて。

外は命日のようにザーザー降りで、レミリア達が来れないからと、紅魔館で葬式をすることになった。


「全く、最期まで掴めなくって、憎らしくて、でも、面白い奴」


誰にも見えない、掴めない、透明な体でぼやく。

正面を見ると魔理沙は、立って其所に居た。

ふうん、もう、此方に来たんだ。


「久し振り、霊夢」
「馬鹿。私の分まで生きてほしかった。でもこんな状況じゃ言ってられないわね」
「此処に来る前に阿求の方に行ったんだけど、私の起こした異変は結構スケールが大きかったらしくて...。史実に刻まれたぜ」
「...刻まれたぜ、じゃあないわよ、全く。でも、中々踏み切ったことしてくれたわね。私の子供も苦戦した様子だったし」
「あ?まぁな、殺してくれなんていう異変主は居ないし」


相変わらず。

馬鹿。


――――――――――END.