大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: ハイキューの月島君受けの小説を書いてくださる方います? ( No.1 )
- 日時: 2019/07/29 19:04
- 名前: 枕木
「おい」
「何ですか王様」
「なあ、やめようぜ」
「……何を?」
振り向けば、自分に後ろから抱きついているしかめっ面の恋人。これが恋人に抱きついてるときの顔なのかと思うけど、まあこういう顔なのは元々だし。ていうか、この顔を好きになった僕もほんと可笑しいと思う。なんか、この顔見るだけで心臓おかしくなるし。
耐えられなくなって、暑いんだけど、と不機嫌に声を出す。すると影山は一度瞬きした後、僕の首に回した腕を片方残し、手を伸ばしてエアコンのリモコンを取ると、ピ、ピ、と温度を下げた。
「これでいいか?」
「……本当に育ちのいい王様ですね」
「? 何のことだよ」
形のいい眉をひそめ、首をかしげる影山。もうそろそろこの天然にも慣れたけど、やっぱりムカつくもんはムカつくよね。なにこのイケメン。意味わかんないんですけど。
もういいよ、と再びスマホに視線を戻す。顔が熱いのを知られたくなかった。でも、また影山が口を開く。吐息が耳にかかった。ぴくっと身体が跳ねる。
「だから、もうそろそろこの呼び方やめようぜ」
「王様のこと? なに、お殿様とか殿下って呼ばれたい?」
「そうじゃなくてよ……」
僕の心臓うっさい。少しは黙っててよ。
ぎゅっ、と更に抱き締められる。耳元に柔らかい感触。
そして、ヘッドフォンを着けてればよかったと僕が後悔した次の瞬間、そっと、それが吐息と共に入り込んできた。
「蛍」
「ッ……」
びくっと身体が大げさなくらい跳ねる。やだ、なにしてんの……
「蛍も、呼べよ。俺の名前」
「わ……わ、忘れた、あんたの名前とか」
必死で言葉を紡ぐ。バレてない。バレてないよね?
「忘れてるわけねえだろ。だって……
さっき、寝言で呼んでた」
かああ……と体温が一気に上がる。心臓がバクバク鳴る。手が伸びてきて、僕の顎にかかる。ゆっくり、振り向かされた。目の前に、にやっと笑った顔があった。なんで、こんなときばっかり。
「呼べるよな? 蛍」
「ッ」
「蛍……」
顔が迫ってくる。そろそろやばい。もう無理。この顔きらい。こんなにバクバクさせて、早死にしたらどうすんの。
すぅ……と息を吸う。ゆっくり、身体を振り向かせる。そして、ぽすん、と王様……恋人の、影山の、胸に頭を預けた。
そして、小さく、小さく、呟いた。
「……とびお」
ドサッ
押し倒される。ちゅっと口づけされる。
飛雄は、意地悪く笑っていた。楽しそうに。キラキラした目で。ああもう、ほんとムカつく。
「よくできました♪」
「ッ〜〜……お褒めいただき光栄です王様ッ!!」
「おい、もっかい呼べよ、蛍」
「やだ」
「蛍〜〜」
「い・や・だ!」
「け〜〜い〜〜」
泣きついてくる恋人に知らんぷりをして、ぷいっと顔を背ける。すると、そっと頬を撫でられた。
「もういい、無理矢理でも言わせてやる」
「はぁ? できるわけ」
「蛍」
ぴくっ
もう無理。絶対心臓が動きすぎて死ぬ。だって、きいてない。
「可愛いよな、お前」
……きいてない、こんなやさしい顔できるとか。
「さっきから顔真っ赤なの、誘ってるんだろ?」
「なっ……んでそうなるの、ばか」
「違うのか?」
「〜~ッ、ムカつくからだよ飛雄!!」
目を真ん丸にしたあと、嬉しそうに笑って、ぎゅっと抱き締めてきた。あーあ、とため息をついて、その背中にそっと手を回した。
本当にムカつく。
イケメンで、元王様で、イケボで、僕をバクバクさせて、こういうときばっかり変にかっこいい笑顔つくれて、それで、それで……
でも、一番ムカつくのは。
「さっきシたばっかじゃん」
「休憩中だっただけだろ。誰がこれで終わりだって言った?」
「ッ……明日の部活覚えといてよ。叩き潰すから」
「望むところだ」
みつめあって、自然に、ふっ、と笑いあった。
一番ムカつくのは、こんなヤツを好きになっちゃった自分。
本当に、コイツも僕もどうしようもないから。もう、諦めるしかない。
もう既に、ムカつくぐらい幸せだから。
「……責任とってよね、飛雄」
そう呟いて、そっと眼鏡をはずして、頬を引き寄せて、愛しい僕の王様にキスをした。
えんど