大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 【BL】ダイヤモンド・ダスト【オリジナル】
- 日時: 2016/12/03 19:35
- 名前: マザー
雪が今日も降り続く。重々しくたたずむ灰色の建物の群れを埋め尽くしていくようだった。
ざくりざくりと踏み出す足に踏み潰されていく純白。足跡は薄汚れ、汚らしく茶色になる。
この季節にはいつも雪が降る。寒い寒いと従来の人々は分厚いコートを着込む。
目的の建物の前には、痩せて背が曲がり、腹が出た老人が裸同然の少女を連れて誰かれ構わず声をかけていた。
「よう。そこの若者よぉ、こいつはどうだい? まだまだ可愛い顔してんでさぁ」
娼館の前に立つ背の高い銀髪の青年は、無感情な冷たい氷の目で老人を見下ろしていた。よれたジーンズに突っ込んでいた片手を出すと、ひらひらと横に振り、人差指で入口の横――奥の事務所に続く小道を指し示す。
「あ? ……あぁ、そうかい。あんたが今度雇われたっていう小僧か」
老人は大きく舌打ちをすると、下を向いたままはだしでがたがたと震えている少女を引き連れて、己の仕事に戻った。
青年はただその様子を観察するように眺め、何をすることもなく、淡々と歩を進めて事務所へと足を踏み入れた。
はじめまして、マザーというものです。
ここでは完全オリジナルの長編を書いていきたいと思います。
文章ぐっだぐだで進行遅いと思いますが、どうかよろしくお願いします。
永久に雪降る異国の地でのお話。
グロ、エロ、一応R18、スカトロとかも注意です。
執筆開始日2016/12/03
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- Re: 【BL】ダイヤモンド・ダスト【オリジナル】 ( No.1 )
- 日時: 2016/12/03 22:35
- 名前: マザー
◆T
「……こりゃあ派手なのが来たな」
町の娼館『チェリー』の用心棒であるビルは、新人を見た瞬間、思わずそう呟いていた。
銀髪の短い髪に氷のような薄水色の鋭い瞳。高身長で体格もよく、いかにも軍隊上がりといった風である。無表情な青年は店から配給されたナイフをベルトに挟み、装備を確認している。
徴兵され、一定の期間軍に尽くした後に解放された若者は町でその鬱憤を発散することが多い。退役時にもらうちょっとした金で覚えたギャンブルにはまり、身を滅ぼすものも少なくない。そんなならず者は危険な仕事を引き受けるしかなかった。
しかし、この青年はどうやら違うようだ。身なりも整っており、退廃的な雰囲気はない。目線も安定し、身のこなしも軽やかだ。
「おい、新人さん……えーっと、名前、何だっけか」
ビルは6年ほど前からこの娼館の用心棒をしていた。まだ良心が残っているほうで、まとめ役として新人の世話も引き受けることが多い。
ビルのにこやかな対応に、青年も装備チェックから顔をあげていた。必死に名前を思い出そうと首をひねるビルをしばらくじっと見つめる。
「……ジョシュア」
「ジョシュア? ああ、そうか、思い出した、お前はジョシュアだったな。よろしく」
低い声で呟かれた名前にビルは素早く反応し、愛想のいい笑みを浮かべて見せた。無表情な青年――ジョシュアはビルの差し出した手をためらいもなく握り返す。
ビルは黒人であった。それゆえ、白人の多いこの国ではそんなビルの手さえ握るのをためらう連中もいた。もちろん、この店の中にもそんな奴はちらほらいたが、この新人はそんなこともないらしい。いいことだ、とビルは心の中で頷いた。
「じゃあ、取りあえずここでの仕事を覚えてもらうか。用心棒の仕事はここで初めてだったか? ……あぁ、そうか。まぁそうだな、仕事は軍の時やってた見回りみたいなもんだ。覚えているだろう?」
ジョシュアは特に不満を漏らすこともなく、ビルの言葉一つ一つに相槌を打ちながら店の中を何度も何度も廻った。物覚えが悪いようで、一人でいかせようとするとそのたびに客用の小部屋に迷い込んでいってしまいそうになる。小部屋の中からは女の嬌声が聞こえてくるというのに、この新人は迷うことはなかった。本当にここがどこなのか分かっているのだろうか。ビルはだんだんとこの新人を眺めながら案内を続けていた。
一通り歩きとおすと、ビルは新人を他の用心棒に合わせることにした。広いとは言えない店だが、隠し通路がいくつも入り乱れている迷路のような場所を一人で回りきることはできない。此処の用心棒は団体行動が基本だ。
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