大人二次小説(BLGL・二次15禁)

D灰(bl短編集
日時: 2018/08/23 07:39
名前: 白楼雪




  神田メイン。

  神×ラビ 神×アレ ラビ×神 アレ×神 時々ラビ×アレ アレ×ラビ

  サブキャス コムイ クロス元帥



  流行り廃りなんて、愛があれば関係ない。←命言

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Re: D灰(bl短編集 ( No.1 )
日時: 2018/08/23 07:41
名前: 白楼雪




     ※ 兎と月 ※

Re: D灰(bl短編集 ( No.2 )
日時: 2018/08/24 02:17
名前: 白楼雪

「クソジジイ、容赦ないさ」
暖かな談話室。読み終えた山のような書物。片側に黒の眼帯を身につけた人物は溜め息を溢した。
最後の一冊を読み終えるとラビは、疲れを癒すようゆっくりと背伸びをする。
体温より微かに暖かな室温は疲れた思考に微睡みをもたらし、寝室へ向かう気力を奪っていく。
談話室は暖かいし、少しくらいの仮眠なら体調を崩す心配もないだろう。
ほんの少し、数十分。
そんな思いを浮かべ、ラビは緩やかな眠りに意識を譲り渡した。


 *****

月明かりが照らす廊下に、艶やかな黒髪が靡く。
任務を終え報告書を片手に廊下を進む神田の内には、飄々とした笑みを浮かべるラビへの苛立ちで満たされていた。
もう二週間もあの馬鹿兎の顔を見ていない。
任務続きの日常はエクソシストとして、当然の生活で、数ヶ月前迄はそれについて何の不満もなかった。
だがラビと恋人同士となってからは、すれ違う日々に空虚な思いを抱いてしまう。
あの兎は今頃どこにいるのだろうか?
窓から見える月を見つめ、自身の思考に苦笑を覚える。
「…らしくねぇな」
柔らかな月明かりを置き去りに科学班へ向かおうとする途中、意味もなく談話室へと続く廊下が気になった。
いるとは思ってなどいない。お互い忙しいのだから、期待するだけ無駄だ。
だが、それでもここ数日彼奴に会える気がして、談話室に立ち寄るのが日課となっていた。
期待はしない。会えないのはいつもの事だ。
努めて冷静な精神で談話室を覗くと、そこには---。

Re: D灰(bl短編集 ( No.3 )
日時: 2018/08/25 08:27
名前: 白楼雪



 *****

夢を見ていた。
ここ数日会えていない恋人の夢を。
いつもの不機嫌な声と、怒ったような表情。
「おい、こんなところで寝るな。風邪引くぞ」
夢の中でもしっかりと聴こえる神田の声は、それだけ彼の声を記憶している自身のせいだろうか?
「んー、ユウ…もう少しだけ…このまま…」
幸せそうな笑みを浮かべ、ラビが呟く。
が、その瞬間何か硬い棒の様なもので頭を叩かれ、痛みで意識を覚醒させられてしまう。
「いったぁ!?なんなんさ?突然!」
飛び起きて頭を擦すり涙目で辺りを見ると、そこには先ほど迄夢で会っていた思い人がいつもの不機嫌な眼差しでラビを見つめていた。
「ユウ…?本物?」
ラビは呆けた表情を浮かべたまま、目の前の恋人に触れようと手を伸ばす。
これで触れる事が叶わなかったら。空を切るだけになってしまったら。
意味もなく沸き上がる不安がラビの動きを緩めていく。
「本物に決まっているだろう。俺と会わない間に幻と浮気でもしてたのかよ」
ラビの仕草に苛立つよう、神田は強引にラビの腕を掴んだ。
「な、ユウ!?」
焦るラビを無視し、神田は自身の胸にその手のひらを柔らかく押し当てた。
「俺は俺以外の何者にもならない。この身体が冷め、鼓動が止まるまで、俺は俺以外在りはしない」
神田の胸から伝わる鼓動と体温に触れ、ラビは小さく微笑む。
「そう、だったさ。ユウはユウのままだ」
例え夢でどれ程愛しき人に会えたとしても、そこにユウはいない。
例えラビがいつか去るとしても、彼は最後の時まで彼のままなのだろう。
そうあって欲しいと思うのに、なぜその日を思えば思うほど寂しさを覚えてしまうのだろう。
なぁ、ユウ。いつか俺がいなくなったら、少しは寂しく思ってくれる?
俺がいなくなった後、いつまで俺を覚えていてくれる?
ラビ自身、あっさりと切り捨てるというのに、そんな事を何故聞けると言うのだろう。聞けるわけがない。
自身の内に灯る哀愁の思いを掻き消すよう、ラビは神田を柔らかく抱き締めた。

Re: D灰(bl短編集 ( No.4 )
日時: 2018/08/26 06:59
名前: 白楼雪



 *****

「おい、ラビ?」
突然の抱擁に神田は動揺を隠せないでいたが、ラビの様子がどこかいつもと違う。
こんな姿を他の奴等に目撃されれば何を噂されるかわからない。
いつもの神田ならば、些か強引な手段を使ってでも引き離剥がすだろう。
「…何か、あったのか」
だが今は、今だけは、この安堵する温もりに少しだけ身を許したい。
すれ違う日々。虚しさを覚えた心身。それに不満を懐いたのが神田だけでないのなら。
ラビも同じ思いを日々懐いていたとするのなら、僅かな抱擁くらい問題はないはずだ。
「…んーん、何でもないさ」
抱き締める腕を緩め、ラビは神田に笑みを返す。
何時もと変わらない飄々とした笑み。
だが、神田にはそこに何か憂いが見えた気がした。気にし過ぎだろうか。そうかもしれない。
どちらにせよ、ラビから口にしない限り追求するのは良くはないだろう。
それよりも今は、早急に解決すべき事がある。
「おい、いつまでそうしているつもりだ」
煩わしさを声にだし、神田はラビの腕から逃れようと抵抗を開始する。
先程から思っていたのだが、ラビが落ち着いたのならこの場で抱き締められ続ける理由などもう有りはしない。こんなところでラビと二人きりという事すらも噂になりかねないのに、抱擁など見られては誤魔化しきれるかも怪しいものだ。
なのにこの馬鹿ウサギは「せっかく久しぶりに会えたんだから、もう少しくらい触れ合いたいさ」などとアホな事をいい始めたのだ。
今すぐこの場でウサギの挽き肉にしてやろうか。
怒りにフルフルと拳を震わせ、目の前の馬鹿に怒鳴り散らす。
「…っ…の…、馬鹿ウサギ!!少しは場所を考えろ!!」
鞘のついた六幻でラビの頭を殴り付ける。
加減はしたがそれなりに力を込めた神田の殴打に、ラビは再び涙目となり不満を洩らす。
「場所ったって他に都合のいい場所なんて……」
そう言って言葉を止めたラビを眺めていると、ラビは閃いたと言わんばかりに笑みを浮かべた。
その様子に何か嫌な予感を抱いた神田は恐る恐る声を発する。
「…なんだ、何が言いたい…」
「人目がない場所なら良いんさ?それならあるさ」
上機嫌の声をあげ、ラビは神田の腕を掴む。
「あ?お、おい、どこに行くつもりだ」
「すぐ着くさ。楽しみさぁ」
戸惑う神田を引き摺り、ラビは談話室を出る。
愛しい筈の恋人の抵抗を無視し暗闇に溶けていった。

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