大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- ハンターJ 完結!
- 日時: 2020/08/13 21:33
- 名前: モンブラン博士
再び大人カキコで連載したいと思います!
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- Re: ハンターJ ( No.1 )
- 日時: 2020/08/13 20:36
- 名前: モンブラン博士
無人の街に集められた12名の逃走者達は開始の合図がされると同時に、別々の場所へと駆け出した。老紳士は白い椅子に腰を下ろし、優雅に紅茶を飲んでいる。
これから、逃走者と彼との戦いが始まるというのに呑気な態度に見えるかもしれない。しかし、彼はイギリス紳士である。
いかなる時でも紅茶の時間を忘れないのが彼の流儀だ。
ティーカップを傾け、ダージリンティーを時間をかけてゆっくり飲む。
逃走者達はどこまで逃げたのだろうか。だが、彼は決して焦らない。
獲物は時間をかけて掴まえたほうが喜びが増すからだ。
ようやく椅子から立ち上がったジャックはマントを翻しながら、昼の街へ歩き出す。
ショートカットにアンダーリムの眼鏡が特徴の少女、小泉花陽はどこへ隠れようかと考えていた。目の前にはゴミ箱と電柱が見える。ゴミ箱の中は見つかりにくいが、見つかったらすぐに確保されてしまうだろう。一方の電柱は影に隠れれば発見されても走って逃げることができる。
「電柱にしようかな」
おずおずと言って控えめな態度で電柱の影へと身を潜めた。これでしばらくは大丈夫。
安心してため息を吐き出すと、ハンター接近の音が鳴り響く。
「ハンター!?」
「可愛らしいお嬢さん。お見知り置きを」
紳士的な会釈をするジャックを全力で無視して、花陽は駆け出す。腕を振り、足を動かし、運動は不得意ながらも、ハンターに確保されたくない一心で懸命に走った。
けれど不運なことに躓いて転倒。額を打ち付け涙目になりながらも立ち上がると、背後に殺気を覚えた。恐る恐る振り返ると、そこには片眼鏡をした老紳士、ジャック。
彼の手には小型のナイフが握られていく。
凶器の存在に少女は動揺を隠さない。
「確保するだけだよね・・・・・・?」
怯えながら訪ねる少女に紳士は指を振り。
「小鹿の少女よ。私の確保は貴方の命を奪うことです」
照り付ける灼熱の太陽。銀色に光る刃物。
紳士のスコープに映る花陽の姿は半分青い光に包まれていた。
恐怖の色だ。だが怯え、困惑も混じっている。
「やはり恐怖に飲まれつつあります。ですが、まだ完全ではありません」
「や、やめて・・・・・・」
「もっと見せてください。貴方の美しい色を」
「誰か助けてー!」
少女の助けを求める声はセミの鳴き声にかき消された。
抵抗する間もなく頸動脈をナイフで切られ、血が噴水のように噴き出す。
老紳士は血が付着するのも構わず、穴が開くほど少女を凝視していた。
彼の目には混じり気のない完全な青に染まった花陽の姿が映し出されていた。
頬を紅潮させ眼下に凄惨な光景を目の当たりにするジャック。
付着した血を白いハンカチで拭き取り、懐に収める。
「まずは1人目。スクールアイドルは初めてでしたが、この分だと、他の子ども達も楽しみですよ」
小泉花陽 確保
残り11名
へそ出しの海軍風のコスプレをした渡辺曜は橋を渡っていた。下には川が流れている。
少女は流れ出る汗を手の甲で拭いて呟いた。
「今すぐ川に飛び込みたいくらいだよ」
「その願い、かなえて差し上げましょうか」
「お断りだ曜!」
橋げたに立ち蝙蝠傘を広げて訊ねるジャックの申し出を断り、曜は踵を返して駆け出す。
しかし、どれほど力を込めて走っても橋からは抜け出すことはできない。
何かに足をすくわれ全く前に進むことができなくなってしまっているのだ。
視線を下に向けると猛回転するベルトの上にいることに気が付いた。
「いつの間にこんなのが!?」
「失礼。私が事前に細工をしておりまして」
橋げたから歩みを進め、曜の真横に立つジャック。
すぐにでも確保されそうな状況下に渡辺の鼓動は激しくなった。
ジャックは手を広げ「ロンドン橋落ちた」と謎のフレーズを連呼した。
恐らくは歌なのだろうが、曜は聞いたことも無かった。
すると紳士は軽く首を傾げ。
「聞いたことが無いようですね。まあ、いいでしょう。
日本の橋、落ちた」
突如言い回しが変わったことに異変を察知した瞬間、ジャックの手には小型のリモコンが握られていた。赤いボタンが押されると橋は瞬く間に崩壊し、曜の身体は川の中へ。
だが、普段から泳ぎ慣れている曜は落とされた程度では平然としていた。
ジャックは空中に張り巡らしておいたピアノ線に立ち、あたかも浮遊しているかのように見せつけながら、少女に言った。
「実はこの川には面白いものを放ってあります」
「え?」
「ホラ、もうすぐ近づいてきますよ」
途端に曜の右腕に激痛が走った。ピラニアが彼女の腕に噛みついてきたのだ。
小さく鋭い牙は皮膚を突き刺し肉を抉る。抵抗する曜だったが、何匹もの肉食魚に襲われてはひとたまりも無い。青い池を赤く染めながら、彼女は川の深くへと沈んでいった。
最期の時を見届けた紳士は、ぽつりと言った。
「どうやら先ほどのお嬢さんとは異なり、少し怒りの色が混じっていましたか。
完全な絶望に染めたかったのですが、今頃は骨になってしまったか・・・・・・
ですが、あと10人います。第一幕は中々の出来でした。第二幕目はもっと私を楽しませてくださいよ。逃走者のみなさん」
渡辺曜 確保
残り 10人
- Re: ハンターJ ( No.2 )
- 日時: 2020/08/13 20:59
- 名前: モンブラン博士
女は首を掴まれ、もがいていた。涙で視界がかすむ。手足を振り回して抵抗するが、男の力は緩まない。気道が圧迫され、意識が遠のく。彼女の脳裏に浮かんだのは、最愛の姉の顔だった。
「うゆ、お姉ちゃん・・・・・・」
最愛の姉に助けを求め、祈った時、少女の命の蝋燭は非情な男の手により消された。
首の骨を折られ涙に濡れた顔。紳士は顔を近づけ、少女を深々と眺める。恐怖の青色はある。けれどそれ以上に濃いのは紫色。つまり、悲しみの色だ。
ジャックは髭を撫で、思案した。
小心者で臆病な彼女を狙えば恐怖一色に染まるはずだと期待していた。
けれど、彼の思惑は外れてしまった。
最初の花陽は成功したが、次の2人の結果が思わしくない。
「どうやら戦法を変える必要がありそうですね」
ジャックは懐に手を伸ばし、愛用のハサミを構えた。
「第二幕はまだまだ終わることはできません」
黒澤ルビィ 確保
残り9人
普通の街と一口にいってもエリアは広大である。たった1人のハンターに、わずか12人のハンター。広さの割に人数が少ないので、逃走者同士でも出会うことは少ない。
だからこそジャックはこの街を指定し、1人、また1人と誰にも気づかれることなく、消していくことができるのだ。
その頃、ボーイッシュな外見の星空凛はユニと猫娘と合流していた。
「猫娘さん、ユニちゃん、会えて嬉しいニャ!」
「そうね」
「でも賞金を手に入れるのは私よ」
ねこ娘が同意すると、ユニが対抗意識を剥き出しにする。
口調や外見は違えど、3人はどこか猫を彷彿とさせる特徴を持っていた。
凛は語尾に、猫娘とユニは猫の妖怪と宇宙人である。
親近感があるのだろう、3人は共に行動することにした。
「はぁあ〜。かよちんが確保されちゃったにゃあ」
「大丈夫よ。牢獄にいるはずだから」
「だと、いいんだけど、なんだか不安にゃ・・・・・・」
凛がシュンと落ち込むと、猫娘が彼女の肩を軽く叩いて励ます。
「ところでふたりは賞金は何に使うつもりなの?」
ユニに話を振られ、凛はようやく笑顔を見せた。
「凛はラーメン代にするニャ!」
「ぜ、全部するつもりにゃん!?」
「ラーメンは美味しいよ。特ににぼしの出汁がおすすめだにゃ」
凛の常人離れした食欲に若干引き気味だったユニはねこ娘の顔を見る。
すると彼女は視線を逸らして片目を瞑る。
「私は、そうね・・・・・・旅行よ。ハワイとか」
「いいわね」
「いっぱい泳げて楽しそうだにゃー! テンションあがるにゃー! (>ω<)/」
ユニと凛は知らない。
ねこ娘が「鬼太郎と一緒に」の一言を隠していたことを。
和気あいあいとお喋りをしていると、ユニの獣耳がピクリと動いた。
近くにハンターがいることを察知したのだ。頭頂部にある彼女の猫耳は常人の数倍の聴力を有しており、ハンターの足音などは容易に聞き分けることができる。
彼女は真剣な、低めの声で言った。
「逃げるわよ」
「お嬢さん方、それには及びません」
ひらりとマントを靡かせ、地面に着地したジャックは、まるで鍵爪のようにナイフを指の間に挟んで構えている。
光り方からして本物であることは間違いない。
シュッと音がして、近くの電柱に一本が突き刺さる。
小型ナイフは暫く小刻みに揺れていたが、やがて停止した。
ユニは瞳孔を縮ませ、戦慄する。
「このハンター、ヤバイ・・・・・・ッ!」
ねこ娘は爪を長く伸ばして臨戦態勢を取る。
万が一のことがあった場合に凛を守る為だ。
猫の少女は背後の少女に言った。
「アンタは早く逃げな。ここは私が引き受ける」
「でも!」
「いいから、早く逃げな!」
逃げようとする凛に、落ち着いた口調でジャックは言った。
「どこまで逃げてもいずれはお友達のように確保される定めですのに」
「かよちん、かよちんはどこにいるの!?」
少女の疑問に紳士は虚ろな目をして、指先を天へと向けた。
「天国です」
悪びれる様子もなく言い切る紳士に、凛は茫然となった。
「確保されたら牢獄送りになるんじゃないの?」
「他の逃走中はそうでしょうが、今回は私の主催です。初めてでしたよ。
スクールアイドルをこの手にかけたのは。実に美しい色をしていました」
凛は全てを悟った。男が何をしたのかを。
「うわああああああああああッ!」
「凛!」
猫娘が制止するよりも早く、凛は行動を起こしていた。
大粒の涙を流し、怒りの形相で敵に向かっていく。
「かよちんを・・・・・・かよちんを返せええええええ!!」
「ほう。怒りの赤が強いですねえ」
「返せ、返せえ!」
「その願いは無理というものです。代わりに挑まれた勝負は誰であれ、受けることにしましょう。それが紳士というものです」
ジャックは1度は顔面に凛の拳を受けた。女子には紳士的に振舞うのが彼の生き様だ。
だが、2発目は上体を反らして躱し、背後から得物である巨大ハサミを生成して凛を挟み込む。
そのまま凛の身体を切断し、絶命させてしまった。
星空凛 確保
残り8人
「にゃあああああ!」
怒りに燃える猫娘が爪を振るうが、ジャックはナイフを投げて応戦。
それらを弾かれると、巨大ハサミで対抗する。
両者の武器が衝突し摩擦熱が上がる。生身と人工。
刃の勝負を制したのは猫娘の爪だった。
威圧感を与えるハサミは外見に反して脆かったのだ。
「これであんたも終わりよ!」
止めとばかりに爪を見舞うが、ジャックの身体に到達する前に急停止。
彼女の腹にナイフが深々と突き刺さっていたのだ。
「アンタ・・・・・・!」
「失礼、お嬢さん」
慣れた手つきで少女の腹からナイフを引き抜き、倒れたところをかかとで踏みつける。
首を踏まれ、猫娘は舌を出し白目を剥いて、生命活動を停止した。
猫娘 確保
残り7人
- Re: ハンターJ ( No.3 )
- 日時: 2020/08/13 21:08
- 名前: モンブラン博士
ジャックはユニを濁った瞳で見つめる。その生気の無い瞳にユニは戦慄しながらも、ワイヤー銃を使ってその場から退却する。
けれど、ジャックも同様の手段で追いかけてくる。
空中に留まる両者。条件は同じだ。
「お仲間もいなくなり、貴方だけとなりましたが、いかがしますか」
「決まっているじゃない。あんたを倒すのよ」
「かしこまりました」
懐から取り出したのは銃だ。銃弾を撃たれ、間一髪で躱したユニだったが、今度はナイフが飛んでくる。
全開の腋が切れ、赤い血が滲む。だが、まだ動ける。
ワイヤーをロープ替わりにして反動をつけ、空中ドロップキック。
飛んでくるナイフがなんのそのとばかりに、ユニの足は殺人鬼の腹にめり込む。
「ゴフッ・・・・・・」
吐血するが、ユニは彼の胸にレインボーパフュームを当て。
「プリキュア・レインボー・スプラッーシュ!」
虹色のエネルギー波をゼロ距離で放たれ防御することもできず、まともに食らってしまった。衝撃で両者のワイヤーが切れ、地面に放り出されるが、キュアコスモは猫特有の俊敏さで着地して難を逃れた。
一方、背中から墜落したジャックもよろめきながら立ち上がる。
普通なら浄化された時点で戦意は喪失しているはずなのだが、彼は違う。
絶対悪なのだ。悪過ぎる存在が並の浄化技などで癒されるわけがなかった。
歯を食いしばり悔しさを露わにする少女に、またしてもナイフの投てき。
変化球を投げ、そのうち1本がユニの脇腹に命中。
思わず片膝を突くと、ジャックは蝙蝠傘を差し。
「大雨にご注意を」
「きゃああああああああああ!」
空から降ってくる大量の刃にユニは全身を貫かれ、変身解除。
尚も降ってくるナイフに無抵抗で食らい、血だまりの中、息絶えた。
傘を閉じ、じっと少女を見るが、そこには恐怖の色は無かった。
「貴方は少しはできる方のようでしたね」
残り6人
街を歩きながら、ジャックは頭に疑問を浮かべていた。
自分が斃した少女達はほとんどが恐怖を見せることはなかった。
わからない。
人間は誰しも命を失う時は恐怖を覚えるはずだ。
では、何故、彼女たちは異なる感情を見せたのか。
どれほど思案してもわからなかったジャックは、残りを始末すれば答えにたどり着くだろうと結論づけ、歩みを進める。すると、懐かしい男に出会った。
「お久しぶりですね」
「ゴミ、俺が往生させてやる」
現れたのは鍛え上げられた肉体を誇る偉丈夫、不動仁王だ。
200年ほど前に彼らは面識があった。
「何の因果で貴様が復活したのかは知らんが、往生させてやるッ!」
「あいからず短気なお方ですね」
不動は瞬間移動で間合いを詰めると、ジャックの袋を鷲掴みにして破裂させる。
両の袋を失い、僅かに動きが止まったところに剛拳が炸裂。彼の細身の体はごろごろと転がりながら壁に激突した。服の埃を払ってから相手に向き直る。
銃を取り出し発砲するが、不動には効果が無い。
ナイフによる投てきも同様だった。
不動は口角を上げ、拳圧で周囲の建物を瓦礫に変えながら、歩を進める。
「ゴミ、お前はひとつミスをした。それは俺を怒らせたことだ!
ガキ共を何人も殺めた貴様を跡形も残さず往生させてやる!」
血走った不動には叶わぬとみて逃走を開始するジャック、追いかける不動。
まさかの立場が逆転してしまった。だが、不動は足も速い。数瞬もしないうちに追いつかれ、軽々と担がれ、錐揉み回転でコンクリートへこれでもかと叩きつけられる。
額が割れ、流血するジャックだが、彼から見た不動は深紅に染まっている。
つまり、怒り心頭している証拠だ。大きく拳を振り上げ、この世から消滅せんとした時、ニッとジャックは笑った。彼の手に収まっていたのは壺だ。
今度は不動が戦慄する番だった。猛暑だけではなく壺の恐怖から、彼は冷たい汗を掻く。
「まさか貴様がこんなものを持っていたとは・・・・・・」
「さすがの不動様も恐怖で青みがかってきていますね」
壺の蓋を開けると、不動は壺の中へと吸い込まれてしまう。
通称、封印の壺。
あまりに強力過ぎる力を持つ者を封じる為に生み出された壺であり、開けられたら最後、スター流のものでも自力で脱出はできない。
不動仁王 確保
邪魔者がいなくなり、殺人鬼は堂々と仕事を再開する。
残り5人
- Re: ハンターJ ( No.4 )
- 日時: 2020/08/13 21:32
- 名前: モンブラン博士
続けてふたりを殺め、残るは西木野真姫、矢澤にこ、エマ・ヴェルデとなった。
3人とも単なる女子高生。抵抗できる力は無いし、頼みの綱の不動仁王も封印されている。すなわち、このゲームの勝利者は自分となる。
残り3人が恐怖に染まる姿を想像し、思わず口から歓喜の笑みが漏れる。
と、殺人鬼の前にひとりの少女が立ちはだかった。これまでの少女と比較すると背が高く、体格もよく、発育も良い。赤髪を三つ編みにして顔にはそばかすがある。
エマ・ヴェルデだ。少女は目の前で手を合わせ、口を開いた。
「ジャックさん、もうやめて。こんなことをしても悲しいだけだよ」
「何を言い出すのかと覚えば・・・・・・私は幸せですよ。みなさんの美しい最期の時が見られるのですから」
「私はあなたのことを知らないけど、きっと、過去に何かあったんだと思う。
これ以上あなたの悲しみの連鎖をさせないために、私が止めてみせる」
「ご冗談を」
「私の歌を聴いて」
エマはアカペラで「声繋ごうよ」を歌い始めた。
構わずに殺人鬼が無数のナイフを投げるが、全て彼女の前で止まり、崩れ落ちてしまう。
不動の攻撃により倒壊した建物は見る見るうちに修復されていき、エマの周囲には草や花が咲き乱れる。曇った空は快晴になり、涼しい風が吹いている。
「!?」
あまりの超常現象に理解が追い付かないジャックだったが、街の時刻を刻む時計台に昇り、時計盤を円状鋸のように放り投げる。だが、巨大な刃が迫る中でもエマは目を閉じ、声を奏でる。ピタリと円盤の進行が止まり、塵となって消えてしまった。
凶器という凶器が生成する傍から消えていき、殺人鬼は丸腰を強いられてしまう。
何なのだ、この少女は。
戦力が半減しつつも、尚も挑む。体当たりを慣行するが、エマの舞いに躱され、拳も蹴りも通じない。そのうちにエマが微笑み、言葉を紡ぐ。
「あなたの心にも優しさが芽生えますように」
その時、老紳士はエマを直視した。その身体は真っ白な輝きに満ち溢れている。
果てしなき慈悲、無限の愛。
それは老紳士が少年時代に感じた母の愛を彷彿とさせるものだった。
「おおおおおおおおおおお・・・・・・ッ」
強烈な光に最強の闇が力が弱まり、尻餅をついた。
そして両手を上げて。
「私の負けです」
嘘ではない。本心から出た言葉だった。
世界最悪の殺人鬼は少女の純粋すぎる愛の力に敗れたのだ。
やがてスターの力によって、不動は解放され、ジャックを地獄へと連れていった。
命を落とした仲間は蘇り、街に平和が戻ったのだった。
おわり。
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