そんな殺人鬼達を、逃さんと付け狙う者たちが幾つか。
「部長ー!例の殺人鬼の情報、入手しましたよー!」
「本当!?でかしたわ矢車くん!」
ここは、桜庭高校広報部。
いつものように、広告作りに励んでいた。
そんな中隅っこで、何やら殺人鬼というワードが飛び交う。
一体なんの記事を書いているのだろうか………
☆
一方こちらは警察署。
「で、例の殺人鬼については?」
「もう招待は掴んでます。あとは愛を注ぐだけです」
「ふん、愛か。ほんっとーに君は甘いな、大形。敵に慈悲など無用。徹底的に痛めつけてやらないとだめなんだよ」
「また貴方はそういうことを………」
「愛、愛ってことしか言わない君も大概だろう」
オレンジの髪をした男と、ふわふわな雰囲気をした男がいがみ合っていた。
ここでもやはり、例の殺人鬼、というワードが出た。
「大体、斗澤を誘おうとしたのに、あいつは単独で行動してるし、挙句の果てに誘った君は愛ってだけだし」
「五月蝿いですね。今ここで貴方に愛を注ぎましょうか?」
「いらないね、余計なお世話さ!」
そう言い争いながらも、彼らは警察署を後にした。
☆
「おい斗澤、何やってんだ」
「あ゙?」
「不機嫌そうですね」
「テメェらが来たからなァ」
所変わってここは桜庭公園。
先ほどの二人組と、斗澤、と呼ばれた男性が合流した。
斗澤と呼ばれた男は、顔も口調も不機嫌になっていた。
それでも彼らは動じず、ベンチに腰掛けた。
「例の殺人鬼の尻尾は?」
「それらしい二人組は見つけたのですが、何分、逃げ足が早くて」
「こっちとしても困ってたところだ。あいつら、俺らが追ってるって分かってるみたいだしな」
「ふーん、そんなのは園村に頼めば良かったんじゃね?」
「あいつは今海外だろ」
「戻ってきてるがな」
と、突然ガタイのいい男がやって来た。
どうやらその男が園村らしかった。
「よう園村。早かったな」
「仕事、切り上げてきたんだ。今はそっちの殺人鬼が気になる」
「大形くん、情報を開次したまえ」
「特徴としては、まだ未成年で、大体高校生くらいの感じでしたね。で、男女のワンペア。手に持っていたのは男の方は日本刀で、女の方はかなりレアなPC356を二丁」
「おいまてPC356とかかなりレアどころじゃねぇだろデザートイーグルとかそんなんじゃねえのか」
「僕の目に狂いはありません、あれはPC356でした」
「そんなことはどうでもいい。大形くん早く全部公開したまえ」
この時、怪しい男たちが数人集まって話し合っていることから、暫く公園に近寄る子供はいなかったそう。
☆
ふふーん、改めて見ると、なんかめんどくさい人達だねえ。
広報部に警察が四人…………しかも警察にあたっては、男しかいないなんて。こりゃあ厄介だねぇ。
それに、警察の二人は正体知ってるみたいだ。
どこで知ったんだか。
まあいいや。こっちとしては、やめるわけにはいかないんでね。
暫く、追いかけっこを楽ませてもらいますかね!
ああそう言えば。
さっき電話が来て、あの子が遊びに来るんだよなあ。
うーん懐かしい人だからなあ、顔覚えてるかなあ。
「もういるけどね?」
うわあっ!いつからそこに!?
「ほんの数分前からだよ、廻間」
はあ、いきなり出てこないでよ、心臓に悪いよ………
それにしたってさ、今日は何の用?
突然うちに来るなんて言い出してさ。
「ああ、実は『彼ら』の事なんだけど…………」
まって、話が長くなりそうだ。
ここはひとつ、茶でもしながら聞こうじゃないの。
丁度、いい茶葉が入ったんだ、話をつまみに、ね?
いいでしょ?『曙』。
「そうだね、じゃあ遠慮なく貰おうとしましょうか」
決まり!それじゃそこに座ってて!
『役者』は揃った。あとは……………
『アイツ』を迎えるのを待つだけ、か