官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: Это убивает【新キャラ募集】 ( No.20 )
日時: 2014/11/01 22:12
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM
参照: http://sp.nicovideo.jp/watch/sm11984141

※今回終盤にR-15グロ要素を含みます。苦手だという方はブラウザバックを推奨します。

月が満ちる夜。
とある場所に二つの影があった。
一人は幾分か大人びた青年。
余計に長い黒髪を、後ろで適当に下でまとめている。
もう一人は年齢にあったような少女。
こちらは黒髪を肩のところで、バッサリと切られており、整われた短髪だった。目が悪いのだろうか、メガネをしている。
そんな彼らの傍らにあるのは、その容姿に合わぬ、一本の刀と二丁の銃。
明かりがそれらを鈍く光らせる。
そんな場所にもうひとつの影がやってきた。
白い法衣を身にまとい、白い紙で素顔を隠している、男とも女とも言えぬ人物。
白い肌が月明かりに照らされ、見事な輝きに包まれていた。
お察しの通り、彼らこそ凪と嵜、それに廻間だ。

「やあやあやあ。お二人さん今晩は。いい夜だね。月が本当に明るいし空気もよく澄んでる」
「本来なら、いい夜だと言いたいところなんだがな」
「そうとも言えないからね、特に今日は」
「まあそりゃ、こんないい月が出てるってのに、人殺しの夜となっちゃあねえ。準備は大丈夫?」

廻間の口から人殺しの夜、という言葉が出た。
そう、彼らの本業は『殺人鬼を殺す殺人鬼』。殺人鬼だけを殺すことを生業としている。
ちょうど今日が、その『殺人鬼を殺す殺人鬼』の活動日だった。
二人は当たり前だというように首を縦に振った。

「よしじゃあ目標の説明をするね。ターゲットは最近巷で有名な殺人鬼。主に女子大生が狙い目みたい。そいつに捕らわれた人は、強姦された後に惨殺死体となって発見されてるらしい…………んだけど、知ってた?」
「よくそういうニュースが流れてると思ったらそいつの仕業か」
「まあここら辺は知ってたか。んで、そいつの特徴なんだけど。そいつねえとんでもない性癖の持ち主で、犯した女をメッタ刺しにしたくなるらしくて。しかも人体収集癖も持ってるみたいで…………集めてんのはs…………うげえ吐き気が」
「なんとなく想像ついた」
「私も」

廻間のその説明を聞き、げっそりとした顔になる凪と嵜。
凪から手渡された袋に吐瀉物を吐き出し口を近くの水道で濯ぐと、廻間はまた説明を再開する。

「そいつは普段スタンガンで気絶させてから家に連れ去るみたいなんだ。絶縁Tシャツ来てきたよね?」
「そう言う事だったのか。納得」
「もちろん着て来てる」
「よし。それで今夜そいつがまたやるらしくてさ。追っているところを狙って殺して欲しいんだ」
「成程な。んじゃ早速ひと仕事行くか。行くぞ嵜」
「御意」

一通りの説明を聞いたあと、凪と嵜は人間離れした跳躍力でその場を去った。
廻間はそれを見届けたあと、ちらりと後ろを伺う。
その後ろからまた新たなる影が現れた。
笑顔を浮かべたまま、その者は近づいてくる。
そんな人物に廻間は、渾身のドロップキックをかました。
モロに食らって転ぶその人物。

「やあっとお出ましかい。曙。もう彼らは行ってしまったよ。お仕事にね」
「だからと言ってドロップキックを予告なしでやるのはやめてくれないかな!?」
「予告したらよけるじゃないか」
「痛いのはやだからね!!」

涙目になって反論する人物。
その人物こそ、廻間の知り合いである『曙(アケボノ)』であった。
彼は自称博愛主義で、常に笑顔を絶やさない人物だ。
だがそういうのは表の仮面で、裏は拷問が趣味というとんでもない性格の持ち主なのだ。
どういう訳か、凪たちとは面識があり、相談役を一役買っているのだ。
ただ彼は拷問が趣味なので、殺してしまう彼らには些か不満もあるようだが。

「ほら早く立って。見に行こ」
「ごめんの一言すらないとは」

そんな言い合いをしつつ、彼らもまた人間離れした跳躍力でその場を去った。



「目標…………あ、あれかな」

凪と別行動をとってから数分。
ひと足早くターゲットを見つけた嵜。
そこには一人の男が気持ち悪い笑みを浮かべながら、血なまこにして獲物を探していた。
髪型も服装もあまり綺麗ではなく、小汚いほうだった。
目はぎょろりとしており、どこぞの怪物のようであった。
嵜は廻間から事前から手渡されていた写真とその男を見比べて、それが今回の目標であることを確認すると、すぐに凪に電話をかけた。

「目標発見」
「了解、今そっちに向かう。ターゲットから目を離すなよ」
「襲われそうになったときは、殺しても構わないんでしょ?」
「構わん」

それだけ会話をすると、嵜は例の目標に目を向けた。

「今回はそれなりに、いい相手なんだよねェ?期待どおりだといいなァ」

どことなく、ギィッと言葉を連ねながら。

そう数分も経たないうちに、凪はやってきた。
いつもの涼しいカオで、凪は目標の男をちらりとみる。

「うっわ、見るからにそれっぽいやつだな………」
「着てる服も、どことなく血の香りがする」

言っていることは間違いではなかった。
確かに血の匂いがするのだ。

「さてと、さくっと殺っちゃうか」
「うん。さくっとね。首を」

そんな談笑をしつつも、彼らは各々の獲物を構え、その男に音もなく近づいていった。

その男は探していた。
今日の獲物を。即ち女子大生を。
こんな夜遅くまで出歩いている学生と言ったら大学生くらいなものだ。だから女子大生を探しているのだ。
胸は大きい方がいい。
スタイルもいいに限る。
そう思って探していたその時だった。

突如悪寒が走った。

誰かに狙われているそんな気がした。
後ろを向いてもどこを向いてもその者はいない。どこにいるんだ。
気配を殺してこちらに来ているのか。
それとも気のせいなのか。
男は落ち着かなかった。
懐からスタンガンを取り出し、威嚇のようにそれを構えた。
だが一向に悪寒が消えることはない。
それどころか冷や汗までも流れ出す始末だ。
男はたまらず逃げ出した。
走って走って走りまくった。
けども妙な恐怖心は消えてはくれない。
何なんだ、一体何なんだ。
男は次第に涙目になり、息をせききって体力のある限り走った。
ある程度走って、もう大丈夫だろうと思い呼吸を整えている時だった。

「みーつけた」
「みーっけた」

二つの声が重なり、男に向けられた。
慌てて後ろを向くとそこには意外な人間がいた。
まだ未成年であろう男女の二人組だ。
だが男には彼らが普通の男女の二人組には見えなかった。
彼らには武器があった。
男の方は上等な日本刀。女の方はレア拳銃が二丁。
そして、尋常じゃない殺気。
それが彼らを包んでいるかのように男は見えた。

「ここがお前の今日の寝床だ」
「いや、今日からの寝床だよ」
「誰にも見つからない冷たい寝床さ」
「良かったね。新しい家見つかって」

無感情にそう言い放つと、男は刀を抜き、女は二丁の銃を構えた。
その矛先は間違いなく男に向けられていた。
男は逃げようとしたが、目の前が壁であることと来た道をその男女の二人組に塞がれていることに気付き、身動きが取れなくなっていた。
スタンガンを使おうとするも、まさかの自らの手にそれは握られていなかった。
逃げるときに落としたのだ。
絶望的な状況に男は何を思ったか、男女の二人組に殴りかかった。
しかし二人組の青年の方に、かるくねじ伏せられ、首のあたりに刀がヒタリと押し付けられる。
やけに冷たかった。

「散々やっといて死にたくないとかなしな。今度はお前の番」

その言葉で、男は全てが潰れた。
男が最後に見た光景。それは――――


清々とした笑顔を浮かべた若い男女の二人組だったという。



二人の目の前には、かつて人間の形をしていたモノ。
今ではすっかり腹を引き裂かれ、ありとあらゆる内蔵が取り出されて空洞になっていた。
首から上はすでに無く、四肢でさえ跡形もなくなっていた。
それはまるで、化物にくわれたかのよう。
目玉もくり抜かれ、そのくりぬかれた目玉は既に嵜がすり鉢のようなもので潰していた。
ちなみにどうやってくり抜いたかというと、ピーラーの芽を取る部分で目玉を抉ったという。
凪はそのピーラーで皮膚という皮膚を剥いてしまった。
当然爪の生皮もべりっと剥がした。
だがまだ足りないというような顔をしていた。

「やあお疲れ様ー………くぁwせdrftgyふじこlp!?」
「おわー………」

ちょうどその時、タイミングを見計らったかのように廻間と曙がやってきた。
しかし廻間はその場の状況に卒倒し、曙は曙で珍しく青ざめていた。

「ねえ、凪、嵜。これどういう…………」
「「見てのとおり」」
「…………」

さらっと答える彼らに対し、曙はただただ絶句していた。
これだけ派手にやってもまだ足りないのか………
曙は少しドン引きしながらも笑顔を保つ。 

「と、とりあえず仕事終わったんでしょ?そろそろ帰って寝ようか…………ねえ?」
「わかった」
「御意」

遊び足りないとでも言いたげな彼らをよそに、曙はさっさと倒れた廻間を抱え、来た道を戻っていった。
それについていくように、凪たちも家へと帰っていった。


後には、無残に殺された『殺人鬼だったもの』があるだけだった。


End