官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: Это убивает【11/1本編更新】 ( No.21 )
日時: 2014/11/13 08:30
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM
参照: http://sp.nicovideo.jp/watch/sm11984141

Thirdstory―An informer's true purpose―


「おはよう嵜」
「おはよう曙」

あの夜から一夜明け。
曙は廻間の家へと全員を連れてきた。
家というより、別荘と言った方がいいだろう。
家というには、随分と豪華すぎ、随分と広すぎるのだ。
大理石でできた床、至る所にガラス細工を施された窓、やたらと高い天井。
どれをとっても普通とは言えない家なのだ。
むしろ、金持ちの持つ別荘と言われた方が、しっくりくる。
それがなぜ、廻間の家となっているのだろうか。
実は随分前に、放ったらかしにされていたこの別荘を、廻間が勝手に買い取ったのだ。
幸いこんな郊外に建っている別荘なんて、誰もほしがりはしなかったためか、あっさり廻間の家になった。
しかもこの別荘、とある金持ちの別荘だったらしいが―――――
その話はいずれ明らかになるであろう。

「珍しいね、凪より嵜が起きてるなんて」
「凪、頭いたいって」
「何で?それこそ珍しい」
「4日連続は流石にきつい、だって」
「廻間か」
「うん」

こくりと嵜は頷いた。
そう嵜の言う通り、2人は4日連続で例の仕事をこなしていたのだ。
流石に疲れがたたって、体のどこかをおかしくするわけだ。
だがそれでも体を崩さない嵜はある意味すごいのかもしれない。

「そっか。嵜、いつもの低血圧は?」
「今日は調子がいいんだ」
「あ、そうなんだ。じゃあ制服持ってこなきゃ―――――」
「いらないよ」
「へ?」

そう曙の言葉を遮るように、嵜はそうつぶやいた。

「うちの学校、私服だから」
「……………へっ!?いやでも凪は制服」
「学校変えたんだよ」
「いつの間に!?」
「ちょっと前。通信制自由登校の学校に」
「………あ、あーね。そういうこと」

曙は納得したようにぽんと手を打つ。
確かに、嵜は例の低血圧によって、欠席日数がかなり多くなっていたのだ。
そのためか、留年の道へと突き進んでいるのだ。
このままでは本当に留年してしまう。
それをなんとか避けるためにとった方法が、『自由登校制の学校への転校』だった。
この方法をとったことにより、手続きがいろいろと面倒くさいことこの上なかったが、嵜は留年を免れたわけだ。
ただ一ノ宮はどこか納得がいっていなかったが。
曙はふうと息をつき、ソファに座る。

「今日は行くの?」
「テキストやる」
「てことは行かないのね。わかった。じゃあ桜庭高校には凪の休みの連絡入れとかなきゃね」
「よろしく」

曙はまた立ち上がり電話を入れるために、ホールともいえる居間を後にした。
嵜は、曙がいつの間にか持ってきていたコーヒーを一つ取り啜った。
曙は凪ほどではないが、コーヒーを作るのがうまい。
いつも好み通りに作ってくれる。
これであの性格じゃなかったら完璧なのに、と一瞬思うことがある。
しばらくしていると、廻間が降りてきた。
何時もの白い紙に白い法衣、両腕につけられた重々しい鎖、という不審者スタイルは相変わずだった。

「あ、おはよ嵜」
「おはよう廻間」
「やっぱ4日連続は流石に無理があったか………ターゲットが結構いたからねえ」
「なんなんだこの街」
「まず1日目は殺人がその場で起こったからすぐに対処、2日目は特になかったけど見回ったじゃない?3日目はまた夜の見回り、んで昨日か例の殺人鬼」
「2日目と3日目は一体」

嵜は呆れたようにまたコーヒーを啜る。
なんだ仕事ないじゃん。
そう思いつつソファにもたれる。
今朝は調子がいいんだといいつつも、やはり眠いのだろうか、瞼が重そうに見える。

「頭痛薬買ってくるか………」

そういった後、嵜はまるで死ぬかのように眠りについた。
その寝顔はやけに清々としていた。





寝ちゃったか。
まあ無理もないか。
なんせ曙よりも先に起きてたって話らしいしね。
あの早起きの曙より起きるなんて、大したことだと思うよ。
それにしても、頭痛か。
嵜もさっきぽつりと頭いたいって言ってたっけな。
もしかしてシンクロしてる?
もしもそうだったら……別に驚くことないか。

だって、凪と嵜は『実の双子』だもんね。

「廻間起きたのか」

やあおはよう曙。
いい朝だね。
1人はグロッキーだけど。

「それは君のせいだろう」

あはは、やっぱそうか。
んーん、やり過ぎちゃったか。
今度はスケジュール決めなきゃ。

「その前にそうそう殺人鬼なんていないだろ。スケジュールもなにもないって」

ですよねー。
わかってましたともうん。

「全く………というか、君の本当の目的ってなんだい?例の凄惨な殺人事件を起こした犯人を殺す以外にあるんだろう?」

あー、やっぱバレてましたか。

「なんとなく察してはいたがな。で、何が目的なんだ?」

決まってるだろ。




『ソイツ』に『会う』ことさ。この街にいることは確かなんだから。会ったら1度ぶん殴ってやる。凪と嵜の分までね。





To be continued